本棚を眺めていて、手に取ったのは最初に読んでからだいぶ時間は経ちましたが、刺激的なタイトルの恐竜はなぜ鳥類に進化したのかです。確かに鳥、特に鶏などをじっくり見ていると、その眼付、脚などは恐竜のそれと変わらないと思います。しかし、この本の原題はOut of Thin Airというもので、地球大気の酸素量が進化を促したという話なのです。地球は大気にも海にも酸素が無かった時代のほうが長いのですが、カンブリアの大爆発と言われる生物の爆発的発生と進化は酸素が決めてとなりました。タイトルは本の売れ行きを左右しますが、本質は合っていますが枝葉に凝りすぎたタイトルのような気がしますね。
What's Next?を読み終えました。2022年のカールン・コー(6977m)の登山までが描かれています。このカールン・コーは二度目の凍傷で足指を切断してからの復活登山で、中島健郎と北西壁の登頂をを初成功させNHKBSでもこれを見ましたね。自分は中島健郎という登山家が好きで関西弁でひょうひょうとしゃべるのがいいんですな。平出和也とならぶ山岳映像家です。平出和也と中島健郎は世界初のK2西壁登頂を狙っていますが、平出が40歳を過ぎ体力的にも今しかないという頃なので、さて成功の言葉を聞くことができるでしょうか。
「What's Next? 終わりなき未踏への挑戦」平出和也 山と渓谷社
平出和也は陸上競技のかたわら(長野県出身ということもあり)幼少時からスキーもやっていて、ヒマラヤ登山でもスキーを担ぎ上げて下山時に滑って降りたそうです。でも最近はそういうシーンは見ませんね。最近は撮影をなりわいともしています。最初は自分の登山記録をビデオ化していて(市販のファミリービデオ機を使っていた)、でも一念発起してプロ用機材を購入、勤めいてた石井スポーツにも掛け合って、これを副業として認めてもらいました。なにせ今までの登山ビデオはcamp2くらいまでは上がれるカメラマンはいたかもしれませんが、8000m峰頂上で登頂成功を記録するということはなかったので、アスリートカメラマンとして自らもパーティの一員として登りつつ撮影も行うということができる数少ないカメラマンとなりました。田中陽希の百名山一筆書きシリーズのカメラマンもやっていましたね。陽希の登山ペースの先で待って登る様子を撮るのですから(時には走りながら)、並の体力ではできません。
平出和也の自伝的登山記を読んでいます。彼が登山を本格的に始めたのは大学2年の時で、それまで打ち込んでいたのは競歩だったそうです。今でいうトレランを取り入れてスピードと脚力をつけ、全日本で6位にまで入ったのですが、そこでもういいやと競歩は終了し、もっと自由なスポーツである登山にのめりこむことになります。当時は東海大学に在学中で、陸上部から登山部に転部しましたが、その時は登山部は3人しかいなかったとか。それでも各大学登山部対抗駅伝というのがあって出場し、4人で走るところ、平出が最初とアンカーを走りました。平出はなんとハーフマラソン1時間8分台で走ることができ、この速さは市民マラソンでは最上級のレベルでフルマラソンでも2時間30分を切ろうかというペースです。箱根クラスでも1時間5分を切る人はそうはいないでしょう。ですから登山部のレベルの競争では圧勝でした。なんてのは笑い話。その登山部から平出の山人生が本格的にスタートします。
過日、「槍・穂高」名峰誕生のミステリーという本を読んで、北アルプス生成の秘密を読みましたが、この本に写真を大量に加えて、想像図も付けた地学ノートという本が発売されていつか買おうと思っていましたが、kindleUnlimitedで借りることができたので、金田一耕助を昼間読んだ夜な夜な寝る前に読み進めておりましたが、ようやく読了となりました。北アルプスは穂高カルデラと槍カルデラが150万年から150万年前に起きてベースができたのですが、その後東西圧縮で隆起して3000mの山々になりました。そして氷河が削って急峻な岩場を作りました。日本にはカールという雪のたまり場の地形がいくつも残っていますが、自分もそうですが日本の氷河ってカールくらいしかなかったのだと思っていたのですが、実はそれなりの山岳氷河があったのですね。カールというのは氷河の源みたいなもので、そこから供給された氷が下流に流れていきました。アルプスに行ったことのある人はわかるのですが、例えば槍ヶ岳は槍沢という沢を登り詰めますが、ここは高いところから見るとU字谷を形成しているのがわかり、南岳・中岳・槍ヶ岳の下のカールから流れた氷が、おそらく300mの厚さ(今のヨーロッパの氷河並み!)の氷河を作っていた思われるそうです。穂高岳を形作る雄大な涸沢からも氷河が流れていて横尾山荘の近くまで流れていたのではないかと想像されるそうです。そういうのを知って山に入ると感動も違いますね。
「地学ノート」竹下光士 原山智 山と渓谷社
長らく読んできた教養の化学をようやく読了。副題は暮らしのサイエンスということで、マイアミ大学の先生が書いた、化学専攻でない学生の1学期分の教科書というものです。一般教養(今の日本の大学には無いそうですが)的な化学書です。でも社会人が学び直しに読むにはちょうどいいかな、化学とはこういうものなのかということがわかる本でした。絵や図版が多くわかりやすいですが、少なからず化学式が出てくるのでそれなりの素養を持っていないといけないですな。
「教養の化学」D.P.Heller・C.H.Snyder 東京化学同人
読みかけている教養の化学を少しずつ読み進めています。今日は麻薬の話などを読みました。ケシの花から作るモルヒネは麻酔剤としての効能もありながら麻薬として有名です。常用性を無くそうと開発されたのがヘロインですが、かえってひどい常用性が出てしまっています。ヘロインの取り締まりでは麻薬犬が使われますが、これはモルヒネからヘロインを作るときに酢酸が残るため酢の匂いに反応させているのだそうです。またかつてLSDという1960年代に若者やミュージシャンに愛用された麻薬は今では廃れてしまったそうです。でもアメリカではメスカリン(メキシコのサボテンに含まれる)とLSDが最重点規制ドラッグなのだそうです。
自治会で防災関係を担当している関係で、最近問題になっている宅地崩壊の学術書を読みました。20年も前の本で、ベースになっている地震は阪神淡路大震災と宮城県沖地震なのですが、今読んでも古くはないなと思いました。日本は平野が少ないのでどうしても傾斜地に宅地が作られます。ただの傾斜地ではなく、谷を埋めたり、丘を削ったりします。そういうところでは地盤が強固でないことが多いので、大きな揺れが来る、あるいは豪雨が来るというときに、地滑りや崩壊を起こします。そんなことの分析と対処について書いた本です。
「斜面防災都市」釜井俊孝 守隋治雄 理工図書
今日は読みかけている教養の化学を読みました。石鹸はどうやって汚れを落とすか、界面活性剤とはとはとか電池(アルカリとかの化学電池の原理)などです。ほかに、雑誌の東京人8月号の特集、時代考証の話も読みましたが、これは面白いです。