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活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【3月31日】

2024-03-31 | 単行本

著者のポール・ナースは裕福な家庭から有名な大学に進学した人ではありません。それどころか大学進学に際して6回もフランス語の試験に落第しているそうです。そして自分は姉の子だということが、アメリカのロックフェラー大学学長に就任するためにグリーンカードを取るときわかったそうです。そういう人生の中で酵母菌の細胞周期を研究しcdc2という遺伝子の発見でノーベル賞を受賞します。生命とは何か、生命の定義はまず、自然淘汰を通じて進化する能力、二つ目に生命体が「境界」を持つ物理的な存在であること、三つめは生き物は化学的、物理的、情報的な機械であること、この三つが合わさって初めて生命は定義されるということです。この三つにすべて従って機能する存在は。生きていると見なすことができる、としています。
科学分野の翻訳で活躍する竹内薫の訳ですが、ご本人曰く、今までで一番感銘を受けた本だと言っています。

「WHAT IS LIFE ?」ポール・ナース ダイアモンド社

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【3月30日】

2024-03-30 | 単行本

WHAT IS LIFE?は数式や図表は1枚もなく、著者の語りだけでできています。細胞からDNA、進化を経て生物が生きていることは化学であるということに進みます。確かにアミノ酸のかたまりであるタンパク質は特定のタンパク質と結びついて、価値ある変化または毒を生み出したりします。タンパク質の高分子体はいうなればガムテープをくしゃくしゃに丸めたようなものという表現が納得でした。くしゃくしゃの一部分に一原子がはまり込んで特定の化学反応が起きるということです。この一原子(電子)がはまり込むというのが生命の不思議なところだと思いますね。それが細胞内で同時に何千もの変化が続くのです。

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【3月29日】

2024-03-29 | 単行本

地球で生物と言われる条件は細胞を持っていることです。生物はたった1つの細胞が38億年前の海中で生まれ、それを共通祖先として分化、進化して現在にいたっています。生物は大きなドメインとして、細菌(バクテリア)、古細菌(アーキア)、真核生物と3つに別れます。古細菌とは名前からすると細菌の前段階のようなイメージですが、全然違うもので、むしろ最近は真核生物の前にアーキアという段階を経ている、つまりドメインは細菌(原核生物)と真核生物の二つではないかということになりそうなのだそうです。アーキアがバクテリアを捕まえて、つまりミトコンドリアを内包するようになったのではないかと研究されているのです。ウィルスは今のところ生物とされていないのですが、もしウィルスが生物だということになれば、それは新しいドメインだそうです。そして、生物は遺伝子によって子孫を作り続けます。WHAT IS LIFE?の著者ポール・ナースは遺伝子学者です。

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【3月28日】

2024-03-28 | 単行本

2001年にノーベル生理・医学賞を受賞したポール・ナースという人は生命科学の世界的な重鎮です。そんな人が2021年に一般向けの本を初めて出したのが生命とは何か(原題WHAT IS LIFE?)です。同じ題名で有名なのが物理学者シュレジンガーの生命とは何かがあり、これは1944年に出た本ですが、著者はこの本に啓発されたと言っています。この本は5つのステップで書かれていて、細胞、遺伝子、自然淘汰による進化、化学としての生命、情報としての生命となっています。先ずは最初の細胞について読み始めました。

 

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【3月10日】

2024-03-10 | 単行本

恐竜はなぜ鳥に進化したのかをようやく読み終えました。2008年に出たばっかりを買って1回読んでいるのですが、この間地球史の本を何冊か読んで改めて読んでみて、内容が古いということもなく、進化と酸素濃度の関係を語った本もこの本くらいかなということもあって、面白く読みました。酸素濃度の他には地球の自転時間とか色々な要素がある様にも思いますが、大全滅は低酸素の時に起きて、新種が生まれ、高濃度の時に種は数を増やすということが連綿と続いていたということには納得でした。白亜紀の終わり、6500万年前小惑星による大全滅が起きた後、500万年ほどはおとなしい世界が続きましたが、その後哺乳類が一気に勢力を伸ばします。これは酸素濃度が上がったということとリンクするのではないかと著者は考えます。胎児は母親から酸素をもらいますが、母親が十分な呼吸で酸素を得ないと、胎児も貧酸素になって育たないからです。なるほど、と思いました。

「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」ピーター・D・ウォード 文藝春秋

 

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【3月8日】

2024-03-08 | 単行本

地球ではかつて五大全滅といわれる生物の大全滅がありました。その中でも最大のものの一つがペルム紀の大全滅といわれるもので、これをもって地史学的に古生代から中生代へと変わります。2億5100万年前のことです。ペルム紀は氷河期と高酸素濃度でした。高酸素は後の石炭紀と言われる大森林時代に作られましたが、二酸化炭素の濃度低下によって植物の繁栄は終わりを告げます。そして気候も温暖化を加速し、やがて地球史に見る低酸素濃度かつ高温になります。酸素濃度は一気に三分の一減って12%くらいになり、これは現在の標高4500mに匹敵するそうです。0mでこの濃度ですから、ちょっとした丘に登るのも厳しい状況で、これが動物の往来をなくし、山には動植物は無くなりました。またこの時期に大陸が集合してパンゲア超大陸を作ったのです。何故大全滅したかは諸説ありますが、硫化水素の濃度が上がったからという説が有力です。温泉や火山地帯で匂うアレです。動物の90%がいなくなり、植物もコケ、地衣類しかなくなったそうです。これが回復するのに100万年かかったらしいです。

 

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【3月7日】

2024-03-07 | 単行本

石炭紀からベルム紀初期は高酸素時代でかつ氷河期であったらしいです。この時代に現在の地球上の石炭鉱床の90%がこの期間の地層から発見されていうということです。現在の地球では木が枯れて倒れても石炭になることはないそうです。微生物が分解してしまうんですね。石炭紀はまだそういう生物がいなかった。だから地中深くに埋もれて、そして圧力によってやがて石炭になったのです。微生物が木を分解するときには酸素が消費されるのですが、それが無かったので木は光合成で酸素を作りますが溜まる一方だったといことで高酸素時代になったらしいです。

 

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【3月6日】

2024-03-06 | 単行本

大気中の酸素濃度と炭素濃度の変化をみてみると、概ね逆相関の関係にあるようです。酸素濃度が高い時は炭素濃度が低く、酸素濃度が低い時はその逆となっています。史上最も酸素濃度が高かったのは通称石炭紀と呼ばれる時代で、なんと35%もありました。これくらい高いとちょっとしたことで発火するので、この時代にタイムトラベルすると森林火災の影響で煙ったい大気だったようです。そして酸素濃度が高いと外骨格を持った生物、昆虫の類が大型化するようです。トンボはカモメくらいのサイズがあり、森林を歩いて最も怖いのは1mを超えるサソリのようです。捕まったらもう終わりです。現在の昆虫の大きさは濃度21%の酸素に準じているのです。

 

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【3月4日】

2024-03-04 | 単行本

恐竜はなぜ鳥に進化したのかは恐竜と鳥にフォーカスしたのではなく、地球の生命史として絶滅も進化も酸素濃度が決め手であるという観点で書かれたものです。地球史では酸素濃度の低濃度時代と高濃度時代が交互に訪れていますが、進化は低濃度時代に進んだことがわかっています。低濃度に合わせれば高濃度に対応できますが、高濃度に合わせると低濃度に対応できません。すべての動物はATPとADPの作用によってエネルギーを得ていますが、それには酸素が必要です。酸素あっての動物であるわけです。

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【3月2日】

2024-03-02 | 単行本

生物は35億年(またはそれ以上)前に生まれましたが、動物は6億年近く前に発生しました。30億年近くをかけてようやく単細胞から動物へと進化したわけです。6億年前はまだ海中の動物でしたが、地上に出てくるには酸素が必須でした。酸素も大気中に十分に濃度が満たされるのにはとてつもない時間がかかりました。それは植物が地表に出てこなくてはならなかったからです。そして現在の酸素は21%の濃度ですが、恐竜の生きていた時代は10%以上も少なかったことがあるのです。今でいえば標高5000m位の条件ですね。人類は通常の生活は行えません。それ以前も現代よりも濃かった時代はありますが、おおむね現代よりも酸素濃度は薄い時代の方が長かったのです。

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