本屋で文庫を見かけてジャケ買い。文庫オリジナルで出たばかりのようです。
小説とは虚構であるので、すべて真実を書く必要もないし多少のウソなんてのはありなのですが、なんせホンモンの噺家さんが描く虚構の落語の世界とはどんなものなのかがまず第一の興味でしたが、「あれ?このひと、ほんとに噺家さん?小説家じゃないの?」と思うくらい筆が慣れてる!
二つ目になるのに七年かかった30半ばの噺家が主人公。しかも、どうやら東京の落語界においても異端的な立場のよう。
華やかなに活躍する後輩、落語に不向きな舞台での仕事、イケてないついてない。
でも、家族がいて、応援してくれるお客さんがいて、そして何より好きな落語があって、落語の力に救われて。
折々にくじけた主人公が励まされ、また自分で気づきを得ることにより乱れた心を落ち着けるプロセスが描かれており、読んでいるうちに主人公に自分を投影するような感覚にもなりました。
また、とりあげられる落語の筋が現実とリンクするような展開も落語好きにとっては気持ちがいい。
同じ時期に買ったというやよいさんより一足早く読み終わったので、やよいさんは号泣すると思うから電車の中で読まないほうがいい、と進言しました。
感想 わたしも小唄を習いたい←そこかい!