映画や歌が極限にいるひとの希望になる、その瞬間が丹念に描かれていて、極限の状態での命の軽さなどもあって、今のこの状況と(勝手に)重ねてしまった。 苦しい物語だからこそ主人公がどう希望と未来を手に入れるのかが気になり、一気に読みました。
尼崎・立花のあたりの映画館から物語ははじまります。
ここを作った祖父は何を思って映画館を作ったのか。
ここで主人公は祖父に交代。舞台は沖縄・西表島の炭鉱採掘に。まさに奴隷労働で労働、人権と近代の闇の時代。描かれる現実が重い。
この労働環境は読んでいて苦しかったけど、終戦によって台湾の人たちは解放されるんだろうなぁ(植民地にとっては終戦は解放という希望)、家に帰れるんだろうなぁと思って読み進めたけど実際には帰れなかったひとも多かったでしょう。
そうそう、嘉義農林がでてきて、映画「KANO」を重ねてギザ耳がアメリカで成功していてほしいと思った。「天下の嘉農」やから。
作中チャップリンにでてきた「スマイル」という曲をハーモニカで奏でる場面があって、これには歌詞がないんだ、と。 あれ?わたしが知ってる「スマイル」には歌詞があるからあれとは別か?と思ったら映画公開されてからだいぶたってから歌詞がついた歌になったとのこと。後半はこれを流しながら読みました。
さて、物語は描きすぎずに最終章に。
そして、映画館というハコの物語におさまります。