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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「べらぼう」 第20回「寝ぼけて候」~了簡ひとつで何でもめでたくなるものよ

2025年05月26日 | 大河ドラマ・時代劇
「あなうなぎ いづくの山のいもとせを さかれて後に 身を焦がすとは」

 狂歌──
 上記の歌のお題は「うなぎに寄せる恋」
 くだらないことを一生懸命やって、クソ真面目に論じて大笑いしている。
 その場かぎりのもので後には残さない。
 決して『古今和歌集』に残したいと考えない。
 世に広く評価されたいとも思わない。
 粋だねえ。
 無意味に徹して遊びまくっている。

 狂歌の大田南畝(桐谷健太)は言う。
 せんべいを独り占めできてめでたい。
 畳が焼けていてめでたい。
 障子に穴が空いていてめでたい。
「了簡ひとつで何でもめでたくなるものよ」
 粋だねえ。
 南畝はシンコクにならず軽々と人生を渉っている。
 ………………………………………………

 快進撃の蔦重(横浜流星)。
 利用されじわじわと追い込まれていく田沼意次(渡辺謙)。
 今回も前回と同じ構図で物語は進行していった。

 蔦重は市中の本屋に自分の本を売ることに成功した。
 市中の本屋には耕書堂のヒット作が並んでいない。
 だから市中の本屋は鶴屋喜右衛門(風間俊介)言う。
「そろそろ蔦重との取引を認めてもらえませんかね?」
 ここにあるのは商売の基本〝重要と供給〟だ。
 これにはいくら問屋が禁じていても抗しきれない。

 蔦重の進撃は続く。
 西村屋与八(西村まさ彦)の『雛形若菜』に代わる『雛形若葉』を出し、『細見』発行の邪魔をした。
 つまりライバル潰しだ。
 蔦重もダーティな戦い方をするようになった。

 そして今後の展開としては、今回の『狂歌本』の出版。
 次回、狂歌は江戸の大ブームになるらしい。
 喜多川歌麿(染谷将太)の描く絵も重要な商品だ。
 歌麿の描く絵は市場を席巻する。
 西村屋の錦絵を凌駕していくのだろう。

 果たして蔦重は鶴屋喜右衛門に「蔦屋の作った本を読みたい」と言わせることができるのか?

〝需要と供給〟という点では江戸城中でも。
 将軍家治(眞島秀和)の跡を継ぐ世継ぎがいないのだ。
 当然、世継ぎとして一橋家の豊千代がクローズアップされ、家治の養子となり、次期将軍になることが決まった。

 すべては一橋治済(生田斗真)の策略どおり。
 この過程で田安家の排除もなされたが、田安家の恨みの矛先は一橋治済ではなく田沼意次に。
 治済はすべてを意次のせいにして決してオモテに出て来ない。
 何というしたたかな悪党だろう。
 意次は「一橋包囲網」が出来ていることに気づいているが、されるがままになっている。
 意次の拠り所は、前回家治が語った「血筋は譲るが、知恵は譲らない」という言葉だが、果たして?

※追記
 今回の象徴は〝ワイン〟でしたね。
 意次も深夜グラスのワインをまわして飲み、大奥の高岳(冨永愛)もワインをまわして飲んでいた。
 いずれも一橋治済(生田斗真)の思惑どおりに進んでいるという象徴。


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快進撃の蔦重・追い込まれていく意次 (TEPO)
2025-05-27 00:40:27
>快進撃の蔦重。
>じわじわと追い込まれていく田沼意次。

蔦重パートは、これから彼を取り巻いてゆく文化人たちを個別に紹介してゆくだけで自然に明るくなってゆきます。
今回の大田南畝は徹底的な「プラス思考」を特徴として描かれています。
>「了簡ひとつで何でもめでたくなるものよ」
これは、「朋誠堂喜三二」=平沢常富や「恋川春町」=倉橋格のような地方藩の上級武士とは対照的な「貧乏御家人」としての境遇を強調するためかもしれません。
もっとも、Wikiによれば、文化人としての活躍もさることながら、武士(幕臣)としてもその才能故にそれなりの出世も遂げているようです。

営業面での「進撃」は
>蔦重もダーティな戦い方をするようになった。
『細見』の妨害は確かにダーティですが、「吉原対市中」の対立によるものと言えるでしょう。
『雛形若菜』潰しは、現時点では蔦屋の「秘密兵器」である歌麿が無名であることを逆手に取ったダンピング。
おっしゃる通り、やがて歌麿は「市場を席巻」し、正面から西村屋が抱える鳥居清長らと渡り合い、凌駕していくことになるのでしょう。

他方、意次パート。
>田安家の排除もなされたが、田安家の恨みの矛先は一橋治済ではなく田沼意次に。
>治済はすべてを意次のせいにして決してオモテに出て来ない。
「大奥」でも一橋治済は松平定信をけしかけて田沼意次を排除させていました。
「大奥」の治済でも十分に悪魔的でしたが、本作の治済の狡猾さはそのさらに上を行くようです。
もはや意次は将軍家治と自分の部下以外に味方のいないほぼ「孤立」状態。
家治存命中までと確定してしまった意次の命運の中で、意次がどれだけのことができるのか。
今から見るのが辛くなっています。
返信する
狂歌師たちの哲学 (コウジ)
2025-05-27 07:25:26
TEPOさん

いつもありがとうございます。

大田南畝は喜三二たちとは違う貧乏御家人なんですね。
狂歌に興じる南畝や狂歌師たちの心象はどのようなものなのでしょうね。
幕末の〝ええじゃないか〟のような閉塞した社会の憂さ晴らしみたいなものなのでしょうか?
それとも成熟した文化の行き着いた哲学に似た境地?

市中との戦い。
市中は劣勢で、春町も持っていかれましたし鶴屋喜右衛門に打つ手なしという感じですね。
鶴屋喜右衛門に反撃の一手はあるのでしょうか?
すべては人なんですよね。
自分のまわりに人がどれくらいいるか?

そんな中、田沼意次は──
>将軍家治と自分の部下以外に味方のいないほぼ「孤立」状態。
田安は治済の策略で、完全に田沼憎しになっていますしね。

蔦重の快進撃と意次の劣勢。
快進撃を続ける蔦重はいずれ市中に勝利し、劣勢の意次は敗北していくのでしょう……。
そして意次のいなくなった江戸城内が蔦重の新たな敵となって襲いかかる……。
それは〝弾圧〟?
見事な作品の構成ですよね。
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