平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

青天を衝け 第26回「篤太夫、再会する」~この恥を胸に刻んで、今一度生きていく!

2021年09月13日 | 大河ドラマ・時代劇
 篤太夫(吉沢亮)の帰郷。
 これは必ずしも「錦を飾る」ものではなかった。
 平九郎(岡田健史)の戦死。
 このことで妹のてい(藤野涼子)に責められる。
 大出世の帰郷だが、一部では「変節漢」とも言われている。

 篤太夫も「変節漢」を理解している。
 攘夷、倒幕、一橋家、将軍家、異国かぶれという変節。
 当初の尊皇攘夷の志など、どこかへ行ってしまった。
 妻の千代をほったらかしていたことにも悔いがある。
 妻や子といっしょに過ごすことこそが幸せではなかったか、と考えたりもする。
 本来なら箱館におもむき、成一郎(高良健吾)や土方歳三(町田啓太)らと共に戦うべきなのにそれをしない。
 実際、医師の高松凌雲(細田善彦)は箱館で医療に携わっている。

 こんな篤太夫に亡き長七郎(満島真之介)は夢の中に現れて言う。
「悲憤慷慨していた世は崩れたではないか。これからはお主の励み時だろう」
 長七郎は篤太夫と違って「攘夷」で時が止まっている人なんですよね。
 そのまま何事もなし得ず死んでいった。
 だから、この言葉は重い。

 父・市郎右衛門(小林薫)も、徳川の恩を忘れず、新政府に仕官しなかった篤太夫に言う。
「お前は道理を踏み倒さず、誠を貫いた」

 こんなふうに自分を肯定してくれる人がいるって有り難いですよね。
 篤太夫も救われたことだろう。
 篤太夫は前に進む決心をして、こう語る。
「この恥を胸に刻んで、今一度生きていく」
 ……………………………

 そんな篤太夫が前に進むためには、慶喜(草彅剛)と会って話をしなければならなかった。
 鳥羽伏見からの遁走など聞きたいことも山ほどある。
 だが、数年ぶりに会った慶喜はすっかり枯れ果て、生きる力をなくしていた。
 パリでの慶喜の弟・民部公子の立派なふるまいを聞いて、少しうれしそうな顔をするのみ。
 京で権力闘争をしていた頃のような目の力は失われ、もはや前に進む気力はない様子。
 鳥羽伏見の遁走の理由は聞けなかったが、篤太夫は慶喜の心の内は理解した。
 だから、最後にこう叫んだ。
「もう何も申しません。しかし……どんなにご無念だったことでしょう!」
 ここ、泣ける……。
 この言葉だけは慶喜の心に届いたはず。
 それと、草彅剛さんの慶喜は絶品だ。

 心に傷を負って、それでも前に進もうとする者(篤太夫)
 心に傷を負って、抜け殻になってしまった者(慶喜)
 志半ばで虚しく死んでいった者(長七郎)
 志のために今も屈せず、戦っている者(成一郎)

 人生のさまざまを見事に描いていますね。
 自分の人生と照らし合わせて、いろいろ考えてしまう。


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