平成エンタメ研究所

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アントニオ猪木を語ろう①~相手の魅力を引き出す猪木! 猪木との闘いでスタン・ハンセンはブレイクした!

2022年10月04日 | スポーツ
 アントニオ猪木さんが亡くなった。
 報道で難病との闘病生活がとんでもなくハードだったことを知ったが、
 猪木さんは病に屈することなく、闘い、歩み続けたようだ。
 ご冥福をお祈りいたします。

 アントニオ猪木は相手の魅力を引き出すことに長けたレスラーだった。
 以下、敬称略。
 たとえばスタン・ハンセン。
 猪木と知り合う前のハンセンは突進することしか知らない不器用なレスラーだった。
 ところが猪木と闘うようになって化けた。
 猪木はハンセンのウエスタン・ラリアットを受けまくった。
 観客は「ウエスタン・ラリアットってすごい技なんだ」と衝撃を受けた。
 猪木はハンセンの長所を引き出したのだ。
 ここからハンセンのブレイクが始まる。
 必殺技ウエスタン・ラリアット!
 ハンセンはこれで自信がついたのだろう、どんどん輝いていった。
 試合の構成もラリアットを基本に組み立てていけばいい。
 人間って、ひとつ核を持つと強くなれるのだ。

 猪木もハンセンのブレイクに救われたと思う。
 当時の新日本プロレスの猪木の敵役と言えば、タイガー・ジェット・シン。
 でもタイガー・ジェット・シンはサーベルを振りまわすだけのレスラーで、
 猪木が見せたい「ストロングスタイル」とは噛み合わなかった。
 試合をすれば、シンがサーベルを持ちだして反則負け。
「腕折り」という衝撃的な事件があったが、それもストロングスタイルとは違う。
 結果、シンとの試合はいつも不完全燃焼だった。
 猪木はスタン・ハンセンを発掘することで、自分が目指すストロングスタイルを観客に見せることができたのだ。

 もうひとりの不器用なレスラーはハルク・ホーガンだった。
 ホーガンもまた「突進型」のレスラー。
 必殺技アックス・ボンバーも、ハンセンのウエスタン・ラリアットの二番煎じは否めない。
 猪木もホーガンをどう活かすか、苦慮していたことだろう。

 そして事件が起きた。
 IWGP選手権の決勝戦。
 誰もが猪木が勝って世界統一王者になるだろうと思っていたが、
 ホーガンのアックス・ボンバーを喰らって、猪木はリングから転落、舌を出して失神・敗北。
 これは観客にとって衝撃だったが、勝ったホーガンも戸惑っていた。
 ホーガンの戸惑いは。『私、プロレスの味方です』の村松友視氏も指摘していたが、
 ホーガンは目の前の事態にどう対処していいか迷っていた。
 この予想外の事態にどう対処するかは難しく、正解はないのだろうが、
 ホーガンはこんなふうに不器用なレスラーだった。
 一応、勝ち名乗りをあげていたが、目は泳いでいた。

 アントニオ猪木さんに関しては、あと2回書いていきます。


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