ラスト5分の展開がすごかった!
前半~中盤は凡庸なミステリー。
・盗まれた毒薬アズチリン。
・コーヒーに毒薬混入して教授の宇佐美真一郎を心臓麻痺に見せかけて殺害。
・犯人が犯行後、毒薬を入れたコーヒーのカップをゴミ箱に捨てるところを防犯カメラが捉えていた。
・半年前の実験による天才少女の自殺。
・動機は実験によって、ふたりめの天才少女が自殺するのを防ぐため。
何だ、この凡庸さは!
〝天才〟や〝オカルト〟や〝共感〟を研究する〈認知科学〉を素材にして、それなりの体裁を整えているが、ミステリーとしては何の捻りもなく物足りない。
と思っていたら、これだけでは終わらなかった。
以下、ネタバレ。
…………
何と!
犯行をおこなった准教授の高野鞠子(冨樫真)の心理を操り、誘導していた陰の存在がいたのだ。
助教授の川村里美(佐津川愛美)。
里美は鞠子の殺意を知り、毒薬アズチリンの存在を教え、裏サイトで入手させ、殺害を促した。
里美は巧みに鞠子の背中を押したのだ。
まあ、ここまでだと、「そんなに簡単に他人の心を操れるのか?」「アズチリンの存在を知っても実際に犯行をおこなうかわからない」といった疑問が湧いてくるが、こうした疑問を払拭する設定が現れた。
何と川村里美は〝エンパス=並外れた共感力の持ち主〟だったのだ。
エンパスの里美は、周囲にいる人の心(=怒り、不安、ウザイ、死にたい、といった感情)を敏感に感じ取れる。
鞠子の憎悪も敏感に感じ取っていて、それが日増しに増幅しているのを把握していた。
だから、アズチリンという情報で導火線に火をつければ、鞠子が殺害に動くのは簡単だと考えた。
里美の動機もすごい。
日々増幅する鞠子の憎悪を感じていた里美は「このままでは自分も殺意に塗りつぶされる」と考えた。
それを防ぐためには教授を鞠子に殺害させ、憎悪を解消するしかない。
里美が鞠子の心を誘導したのは、教授への憎しみではなく、自分を守るためだった。
いいですね、こういう心理学的アプローチ。
〝里美=エンパス〟
という設定が、これまでの凡庸さを180度変えてくれた。
昨年、話題になった『屍人荘の殺人』(今村昌弘・著 東京創元社)も〝ゾンビ〟が登場したが、現在のミステリーはこうした特殊設定の段階に入っている。
トリックや状況設定が出し尽くされたミステリー界において、特殊設定が新風を巻き起こしている。
『相棒』だって例外ではないだろう。
さて、今回の『相棒』がすごいのは、これだけではない。
何と、エンパスの里美を操っていた第三の人物がいたのだ。
詳細は本編を見てもらうとして、第三の人物も登場したことで、僕は脱帽。
よくぞ、ここまで捻りまくってくれました!
見事なラスト5分間!
多少、強引な所もあるが、凡庸で退屈であるよりはずっといい。
前半~中盤は凡庸なミステリー。
・盗まれた毒薬アズチリン。
・コーヒーに毒薬混入して教授の宇佐美真一郎を心臓麻痺に見せかけて殺害。
・犯人が犯行後、毒薬を入れたコーヒーのカップをゴミ箱に捨てるところを防犯カメラが捉えていた。
・半年前の実験による天才少女の自殺。
・動機は実験によって、ふたりめの天才少女が自殺するのを防ぐため。
何だ、この凡庸さは!
〝天才〟や〝オカルト〟や〝共感〟を研究する〈認知科学〉を素材にして、それなりの体裁を整えているが、ミステリーとしては何の捻りもなく物足りない。
と思っていたら、これだけでは終わらなかった。
以下、ネタバレ。
…………
何と!
犯行をおこなった准教授の高野鞠子(冨樫真)の心理を操り、誘導していた陰の存在がいたのだ。
助教授の川村里美(佐津川愛美)。
里美は鞠子の殺意を知り、毒薬アズチリンの存在を教え、裏サイトで入手させ、殺害を促した。
里美は巧みに鞠子の背中を押したのだ。
まあ、ここまでだと、「そんなに簡単に他人の心を操れるのか?」「アズチリンの存在を知っても実際に犯行をおこなうかわからない」といった疑問が湧いてくるが、こうした疑問を払拭する設定が現れた。
何と川村里美は〝エンパス=並外れた共感力の持ち主〟だったのだ。
エンパスの里美は、周囲にいる人の心(=怒り、不安、ウザイ、死にたい、といった感情)を敏感に感じ取れる。
鞠子の憎悪も敏感に感じ取っていて、それが日増しに増幅しているのを把握していた。
だから、アズチリンという情報で導火線に火をつければ、鞠子が殺害に動くのは簡単だと考えた。
里美の動機もすごい。
日々増幅する鞠子の憎悪を感じていた里美は「このままでは自分も殺意に塗りつぶされる」と考えた。
それを防ぐためには教授を鞠子に殺害させ、憎悪を解消するしかない。
里美が鞠子の心を誘導したのは、教授への憎しみではなく、自分を守るためだった。
いいですね、こういう心理学的アプローチ。
〝里美=エンパス〟
という設定が、これまでの凡庸さを180度変えてくれた。
昨年、話題になった『屍人荘の殺人』(今村昌弘・著 東京創元社)も〝ゾンビ〟が登場したが、現在のミステリーはこうした特殊設定の段階に入っている。
トリックや状況設定が出し尽くされたミステリー界において、特殊設定が新風を巻き起こしている。
『相棒』だって例外ではないだろう。
さて、今回の『相棒』がすごいのは、これだけではない。
何と、エンパスの里美を操っていた第三の人物がいたのだ。
詳細は本編を見てもらうとして、第三の人物も登場したことで、僕は脱帽。
よくぞ、ここまで捻りまくってくれました!
見事なラスト5分間!
多少、強引な所もあるが、凡庸で退屈であるよりはずっといい。