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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

陰日向に咲く ぽっかり空いた心の穴を埋める

2010年06月08日 | 邦画
 人は何か欠けた感じを持って生きている。
 心にぽっかりと空いた穴のようなもの。

 主人公(岡田准一)の場合は母親。
 彼は母親を求めている。
 また愛情の裏返しで憎むことで父親も求めている。

 オタク青年(塚本高史)は小学校時代、告白できなかった初恋の女の子を求めている。
 ホームレスの親父(西田敏行)も同じく叶えられなかった恋を追っている。
 何かを求めて満たされない彼ら。

 そして彼らはぽっかり空いた穴を代わりのもので埋めようとしている。
 主人公の場合は代わりの母親。
 オタク青年の場合はアイドル。
 そしてホームレス親父は埋めることを諦めて、ホームレス生活を続けている。(ホームレス親父は主人公やオタク青年の将来の姿か?)

 人は心の穴を埋めるために生きている。
 代用品でも何でもいいから埋めようとしている。

 それは主人公の代わりの母親になった老女もそう。
 老女は自分の子供を亡くしていた。亡くなったのは二歳。
 そのまま大きくなっていれば、主人公と同じ年頃。
 だから主人公を代わりの息子にして、疑似親子関係を結んだ。
 そして彼女は亡くなり、主人公に手紙を残す。
 「私はあなたの良い母親でしたか? あなたを幸せに出来ましたか? 聞かせて下さい、あなたと私が共に過ごした人生を」
 老女は疑似親子関係を結ぶことで、ほんのわずかでも母親となることが出来た。
 主人公の人生の歩みを聞くことで、いっしょに人生を歩んできたような気持ちになれた。悩みを聞くことで、息子の話を親身になって聞く母親になれた。
 彼女はそれで救われたのだ。

 人は心の穴を埋めるために生きている。
 たとえ代用品でも誰かを愛さずにはいられないのだ。


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