平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

2007年08月03日 | 邦画
 映画版の「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。

 雅也はオダギリジョーさん。
 ラジオのDJで猥談をしたり、テレビの雅也よりワル。
 実際のリリー・フランキーさんに近い?

 演出・シナリオは抑えめ。
 盛り上がりを作って泣かそうとしない。淡々と描く。
 ボクとオカンの事実の羅列だ。
 この手法については意見の分かれる所。
 テレビ版から入ってしまった僕にはいささか物足りない。

 「東京タワー」には3つのモチーフがある。
★オカンの苦労とひたむきな愛。それに甘えてばかりのボク。
★癌のオカン。ボクの奮起と東京での生活。オカンの最期。
★オカンとオトンの物語。

 この中で最も僕の心をとらえるのはオカンの「無償の愛」だ。
 どんなに裏切られても息子を信じて与え続ける愛。
 見返りを求めない愛。
 息子の大学合格通知、卒業証明書、雑誌に載った息子のイラスト、そんなことに心から喜べる母の想い。
 人は他人に与えるが、時として裏切られる。
 人は他人に与えるが、ギブアンドテイク、見返りを求めてしまう。
 それが人の社会生活だ。
 しかし母の愛は違う。
 与えて与えて、それが喜びとなる。
 だから母の愛は尊い。

 また、この物語で二番目に感じるのは人の人生の意味だ。
 ある歳になると、人は自分の人生をふり返ってその意味を考える。
 オカン(樹木希林)にとってはやはり雅也。
 劇中オカンは自分の人生をこう意味づける。
「東京でのマーくんとの1年の生活で一生分の恩返しをしてもらった。ありがとう。結婚生活はうまく行かなかったけど、楽しかったよ」
 人生をこの様に意味づけできる人は幸せだ。
 オカンの場合はオトンとの結婚生活がうまく行かなかったり、人生の収穫期に病魔に襲われるという悲劇があったが、満足して眠りについた。
 人生において「大望」を抱くことは大切だが、満足して死んでいったオカンの人生に思いをいたす時、人の幸せや人生の意味とは何なのだろうと考えてしまう。幸せとか人生の意味なんてものは、本人の心の持ちよう、何気ない所にあるのだと思ってしまう。

 「東京タワー」は愛と人生について考えさせられる作品だ。


 テレビ版最終回のレビューはこちら

 
コメント (2)
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