宝くじの当選番号の中に俺の番号はなかった。全額東日本震災の復興資金に充てられることになった訳で、当初の目的は達することができたのだけど、もしも三千万円当たっていたらこんなことは考えなかっただろう。こんなことこととは、人件費をゼロにすること。税理士に指摘されるまでもなく、ウチの店の経営状況は悪化は辿っていて、このままいくと一月に約百万円ずつお金が足りなくなることは分かっていたのだ。これまでは何とか借金や俺の個人的なお金で補填してきたけど、遂に限界がきた。経営者としてもう無理と判断した。こう云うときに削減できるのはまず人件費だ。いま俺の役員報酬15万円をいれると合計60万の人件費がかかっている。これを切るしかない。今週の月曜日火曜日、一人で店をやってみた。Sちゃんたちが助けてくれたこともあって何とか一人でもやれた。水曜日と木曜日はO君が帰ってきたので楽勝だった。どうしても大変なことが予想される時は考えるとして、普通の時だったら一人でもやっていけると判断した俺は、開店する前に広島から帰ってきたMとO君に八月一杯で店をやめてもらうことになったと告げた。O君は約一年、Mは五年近くコレドの為に働いてくれた。二人に感謝したい。でも、それでも50万円の赤字だ。勿論経費の削減をこれまで以上にやる。まず初っ端はタクシー代をゼロにすること。これで七万円の節約になる。もしも電車がなくなったら朝まで営業してしまおう。一石二鳥だ。そして九月からはまた店をリニューアルだ。新しいコンセプトは「オジサンバー」。誰もこないか?