桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・3・10

2006年03月11日 | Weblog
昼間、やたら歩く。西麻布の部屋から店まで15分、店から赤坂のコピー屋さんまで5分、赤坂から六本木の銀行まで15分、六本木から部屋まで10分。この程度で「やたら歩く」なんて書いてしまうんだから、日頃は余程歩かないと云うことが推し量れる。店を始めてから本当に歩かなくなった。シナリオライターをしている頃は、〆切の電話が鳴り続ける部屋にいるのが嫌で、街中を目的もなく彷徨していた。女の子とデイトする時も、歩きながら話すのが好きだった。恵比寿から広尾へ、広尾から麻布十番へ、十番から芝大門へ、大門から……気がついてみたら海だったなんてこともあった。その娘はあなたと会うと疲れると二度と会ってはくれなかった。それが今は、すき焼を食べにおいでよなんて誘って女の子と会うのも最初から部屋。せいぜいその為に歩くのは肉を買いに行くだけだ。それじゃ足腰が弱る。女の子と会ってもすき焼以後の展開が望み薄だ。まだまだ58。まだまだ明日がある。毎日マカを飲んで、毎日歩こう。

2006・3・9

2006年03月10日 | Weblog
起きて、いつもの様に珈琲を飲みながら新聞を読んでいる内に、今日は何故か「洋食」が食べたくなった。そんな欲望が起きればそうする。冷凍庫と冷蔵庫を探して作ったのはミネストローネの缶詰を使ったリゾット風、ブルサントースト、鶏肉のロースト、グリーンサラダ、それにトマトジュース。結構ホテルの食事みたいで大満足。でも、天国の後は地獄が控えている。二月は売上がかなり落ち込んだ上に余計な出費もあって貯金通帳が限りなくゼロに近づいてしまった為、二月末までに払い込まなくてはならない消費税、法人税、固定資産税、確定申告費用、合わせて約70万円の捻出がまだ出来ないでいるのだけど、三月に入って売上は好調なものの、カードでの支払いが多く、今日現在、その支払いをする現金の余裕がない。いや、ギリギリ支払うことは出来るのだけど、それをしてしまったら毎月15日に支払うことになっている仕入れ先への支払いが出来なくなる可能性が出て来る。そればかりか25日の給料日や家賃の支払いが危ない。だからと言って、このまま税金を払わずにおける筈はなく、今月これから予定されている三つの大きなパーティの売上を含めて現金収入の見込みをたて(カード支払いの可能性もある)、いつ頃だったら払えるか頭を悩ますことに午後の時間を使ってしまったのだ。まぁ、ちょっと経営者っぽいひとときだ。疲れて仮眠した後、延び延びになっていたコレド通信の残りを書き、おでんの残りと塩辛と一夜漬けで軽い食事をして9時前に店へ。入った途端、Lちゃんと近所のMちゃんの姦しい(聞き役のTちゃんも含めて)エロトークが聞こえて来る。店が暇で、若い女三人が集まるといつも話題はそこになるらしく、一人カウンターにいた演出家のSちゃんは蚊帳の外に追いやられていた。いつもなら俺が来たところで終る筈のその話題も、その後人妻Iちゃんが来店したことで加速し、FテレビのSさんと来た女優のMちゃんもそこに加わり、延々と続く。そりゃ女性の方がエロくて当たり前だし、その話題を専門分野とする俺も話に加わって楽しんだのだから非難は出来ないのだけど、何だが店中にエロい匂いが溢れていた気がする。二時前、常連の俳優事務所社長Aさんが来店したが、三十分で帰って、店じまい。Lちゃんはタクシー帰りだったので、一人ラーメンを食べて帰宅。侘住まいは当然の如くエロっぽくない。

2006・3・8

2006年03月09日 | Weblog
二週間ぶり位にゆったりとした朝を迎える。のんびりと珈琲を飲みつつ朝刊を広げ、お湯をためてお風呂に一時間近く入る。その後、徐に食事の用意を始める。エボ鯛の干物、紫蘇入り玉子焼き、まいたけと菜の花とソーセージの中華風炒め物、わかめとネギの味噌汁、それにおでんの大根、納豆、塩辛を添える。うーん、豪華。食事はこうでなくてはいけない。桃井章は食事をコンビニのおにぎりやハンバーガーで済ませては絶対いけない。食後はクロスの洗濯や経理事務処理で少しバタバタするが、今日こそゆったりと過ごしたく、他の仕事をシャットアウトして、ソファに寝ころびながらポルトガルの詩人ペソアの書いた『ペソアと歩くリスボン』を読む。覚醒と微睡みの間に幻想のリスボンを歩く。俺の死ぬ場所はポルトガルだ。S女子大のAちゃんからの電話で現実の西麻布に戻る。卒業の挨拶がしたいと言われて、六本木で会う。ダイエット中なので食事はなし。バーでカクテルを飲みつつ、お喋り。2年生の時に知り合って約三年間、Aちゃんとは面白いことが色々あった。二人にしか分からない思い出話をとりとめもなくしていたら、無粋にも店から呼出し。携帯なんか持つもんじゃない。仕方なくAちゃんと同伴出勤。カウンターには高校の同窓生のT、アイドルのマネージャーのY、テレビAのプロデューサーIとKの四人、イベントスペースには四月公演予定の俳優H君たちが四人だけ。こんなことならAちゃんともう少し二人だけでお喋りしていたかったと思いつつ、H君たちの質問に答える。11時過ぎ、Aちゃんが帰り、Tたちも引き上げて、今日はこれまでかと思っていたら、Sミュージックの面々14人、先日常連に連れて来られた近所のイベント会社社長のEさんとバイオリニストのKさん、銀座ママのSさんとHさん、近所のコピーライターKちゃんと広告代理店AのプランナーMさんとSさんたちと続いた為、すっかり仕事モードに突入。2時半にLちゃんを帰した後、最後まで残ったKちゃん、Mさん、Sさんと話が弾んで四時過ぎまで。後片付けを終えて店を出たのは五時近かったけど、起きてからゆったりと過ごした為か、少しも疲労感はなく、帰り道が心地よい。その時ふと気づく。この何週間か毎日メールか電話があったAから今日は何の連絡もない。だからどうしたと言われれば、それまでなんだけど、ちょっと淋しくなるのは何故だ?

2006・3・7

2006年03月08日 | Weblog
秋に公演予定の一人芝居『ハナミズキの有る家』(作・荻原美和子)のリハの為、12時半に店へ。出かける前に荻原さんからお昼ご飯を持参しますから食べないでと電話があったので期待して待っていたら、俺の大好物の稲荷寿司。昨日もLちゃんが食べていた稲荷寿司を横から失敬して食べたのだけど、バタバタしている最中に餌みたいにお腹に入れたもんだから食べた気がしなかったので、今日はゆっくりと味わせて貰う。稲荷寿司はいくつ食べても飽きない。十年前、三十個以上食べて気持悪くなった程だ。リハは俳優座のベテラン女優高山真樹さんが台本を読みつつ、疑問点をチェックして行く形で進んで行く。すると、それまで何とも思わなかった部分が気になって、人物設定を掘り下げることになる。折角、決定稿にしたつもりでいた荻原さんには申し訳なかったけど、いい芝居にする為にもう一苦労をお願いする。それにしても演出家と云うのは(今のところ)いいポジションだ。他人の書いた台本をああでもないこうでもないと勝手なご託を並べているだけなんだから。5時過ぎLちゃんTちゃんに店を任せて部屋に帰る。溜まったクロスの洗濯や請求書を作成したりする事務作業があったのだけど、このところLちゃんライブやスペースレンタルその他で一週間以上お昼に店に出て朝方近く部屋に帰ると云う生活が続いていて、さすがの俺もグロッキー気味だったので、お客さん次第では夜中まで部屋で休んでいたかったのだ。でも、十時近くになって演出家のSちゃんから呼出し電話。出ていくと他にお客さんはプロデューサーのMさんだけ。この二人なら俺じゃなくてもLちゃんたちだけで対応出来るし、俺がいなくてもと思いつつ、店に出た以上はとSちゃんと飲む。他にお客さんは二時までに常連のSさんと近所のNさんとkさんだけ。閉店近くにLちゃんの友達Mちゃんが来たけど、これ以上店を開けておく元気はなくて、一緒に近くのファミレスに食事に行く。いつもなら深夜なのにステーキを食うLちゃんだけど、風邪気味なのかライブ疲れなのか、スープを飲んだだけ。Mちゃんがカラオケに誘っても珍しく今日は無理と断る。大丈夫か?Lちゃん?

2006・3・6

2006年03月07日 | Weblog
この数日、満足な食事をしてない。今日も朝起きてから新聞読みながら珈琲を飲んで冷蔵庫に残っていた頂き物のメロンを食べるのが精一杯で、12時から『西沢利明ひとり芝居・白鳥の歌』の準備にかかってしまう。1時からはビル全体の防火会議に3時近くまで拘束され、その後銀行に寄り、経理事務を終えた段階で既に四時半を廻っている。出勤して来たLちゃんが持参した稲荷寿司を四つ横取りしただけで『白鳥の歌』の会場セッティング。六時前には時間を間違えて来たお客さんがいた為、そのまま開場してしまった為、ちゃんとした食事をすることは出来なかった。これでお客さんが一杯だったら空腹も我慢出来るのだけど、何と今日の観客数は9人。公演中ビデオを撮っている手が空腹と虚しさで震えている。終演後は待って貰っていた四月公演予定の主催者Tさんと打ち合わせ、店で流す『白鳥の歌』PRビデオの撮影が続き、途中でAたち10人の脚本家グループが来店し、そのまま同席してしまった為、空腹は続く。何か出せと言われたので、昨日大量に作ったおでんを一杯出して、いかにも客みたいな顔しておでんをつまんで凌ぐ。その後も女優のKちゃん、文芸評論家のMさんたち、近所のSミュージックのNさんたちグループと続いて終ったのが四時近く。控室で居眠りしていたLちゃんを起こして、順延していたLちゃんの誕生日祝いにその時間から麻布十番に出向き、焼き肉を食う。二人共眠たいのに、一日の空腹感を満たす様にただ無言で食い続ける。美味しかったけど、胃によくない。こんな食事は嫌だ。明日こそと思うけど、明日もお昼から俺が演出する芝居のリハで12時出勤だし、駄目だろう。納豆、つけもの、鰺の干物、玉子焼き、海苔、豆腐の味噌汁なんて朝食を取れるのは何時だ?

2006・3・5

2006年03月06日 | Weblog
10時半起き。今日は昨年亡くなった映画監督那須博之を偲んで、彼の作品を上映しするイベントがあるので11時半に店へ。2時から上映開始。俺も見たかったけど、その後のパーティに備えて調理にかかりきりになる。パーティはごくごく親しい友人だけ、と言ってもヒット作品『ビーバップハイスクール』の主演俳優Nたち40人以上が集う。本当は2時間で終る予定が、一人一人思い出を語って行くものだから4時間近くになる。終了後も未亡人の那須真知子さんを囲んで12時近くまで十数人が残って思い出話が続いていく。今日はLちゃんがお休みで、Tちゃんも12時で帰したので、後片付けに3時まで。明日も西沢さんの公演で12時出勤だし、この数日、部屋には寝に帰るだけみたいな気がして来る。

2006・3・4

2006年03月06日 | Weblog
一時半『西沢利明ひとり芝居・白鳥の歌』のリハの為に店へ。西沢さんが一人で稽古している間に事務処理。今日はTちゃんがお休みなので、リハ終了後そのまま開店準備に入る。土曜日なので集客は望み薄だったが、大安吉日だったのか、近くの結婚式場の流れの団体客や結婚式帰りの常連客たちで結構賑わい、12時を過ぎてもカウンターは埋まり、イベントスペースも数組のお客さん。それなのにライブ疲れなのかLちゃんが風邪気味でダウン寸前だったので、ちょうど来ていた広尾時代のS女子大Aちゃんに応援を求めてLちゃんを帰す。そのAちゃんも2時がタイムリミット。その後は一人で後片付けをふくめて4時まで。帰宅後即寝る。

2006・3・3

2006年03月04日 | Weblog
昨日Lちゃんライブが終り、体力的にも精神的にも疲れ切ってしまって、食器を洗うのが精一杯で散らかしっぱなしになったイベントスペースをそのままにして帰ってしまったので、5時に寝たのに10時半には起きて、店へ飛んで行く。一昨日に引き続き某制作会社のテレビ番組の収録にスペースをレンタルしているのだ。一時間かけて片づけをして番組のスタッフにバトンタッチ。銀行に寄った後、部屋に戻って食事して仮眠していたら、A嬢からの電話で西麻布でお茶。本当なら寝ていたかったのに、どうして俺はこんなに女の子に弱いんだろ?婚約者と食事に行くA嬢を見送って再び部屋で雑用をこなして9時前に店へ。映画制作会社のプロデューサーAさんたちが来ていて、今月末に行われるパーティの打ち合わせ。他に出資者の一人Aちゃん、法律事務所勤務のNさん、松山から仕事で上京してきて寄ってくれた妹のファンのHさん、一年ぶりに出入り禁止がとけたNさん、女性雑誌の編集者NさんとMさんなど。金曜日なのに暇だったのでNさんMさんの恋愛相談に乗って二時過ぎまでお喋りしていて、ふと気づいたら厨房でLちゃんがシンクに顔をくっつけて居眠りしていた。俺も疲れたけど、Lちゃんの疲れは俺の比ではなかった筈。誕生日祝いをしようかと誘ったが、今度疲れてない日にしてと断られる。それでもお腹だけはすいたと近くのファミレスでステーキを食べるスーパー18歳。

2006・3・2

2006年03月03日 | Weblog
タカをくくっていた。今日で三回目のLちゃんライブ。初回は30人強だったけど、二回目はクリスマスイブなのに(或いはだったから)たったの四人しかお客さんが集まらなかったし、今回はバースディライブで前売り券が25枚売れ、予約が36人あったと云うものの、その三分の一の20人も来てくれれば何とか格好はつくと思っていた。ところが予想は見事に覆される。何とこの日Lちゃんの為に集まってくれた人は途中入場者もいれて42人。それもテレビ局のプロデューサーや演出家や広告代理店D社やH堂関係者などなどお歴々が一杯だ。企画した俺も正直凄いと思った。言ってみれば、たかが酒場に勤める18歳の小娘のライブと云う名のパーティによくもこれだけの人が集まってくれたものだと驚きを通り越して、ただ唖然。けど、企画者兼雑用係の俺は、ただ唖然としているだけではすまない。途中で入場する人がいる度に、補助椅子を出してスペースを確保するのに四苦八苦。そんな裏方の苦労も知らず、Lちゃんはご機嫌で七曲も歌い、生い立ちから現在までを余裕綽々でトークする。これにも驚かされる。リハの段階ではどうなることかと思っていたのに、三回目だと云うこともあってか、なかなかのものだ。何とかこいつの才能を活かしてやりたいと思う人間がいてもおかしくない。最後にお祝いの挨拶にたったコメディアンのBさんなんか、いつもの冗談と剽軽さを忘れ、何かを目指すのなら(Lちゃんがタレント志望だと勘違いして)と生真面目な訓話をする始末だ。そんなみんなとLちゃんの将来についてお喋りしたかったけど、ライブが終った後は料理の注文が立て続き、俺は調理人に変身した為、みんなとゆっくり話せなかったのが心残りと言えば心残り。とにかく祭りが終った。

2006・3・1

2006年03月02日 | Weblog
明日に迫ったLちゃんのバースディライブの為、本当なら午後の時間を一杯使ってリハをやる予定だったのだけと、過激な写真家AがトークするTV番組の収録にスペースを使いたいと云う申し込みが数日前にあり、売上不振でお金に目が眩んだ経営者は即座に予定を変更、Lちゃんライブのリハは午前中にすると云うことになってしまった。俺は勿論、LちゃんもTちゃんも午前中は弱く、ねぽけた顔して集合して、それでも何とか通し稽古を終える。TV番組の収録立ち会いはAと知り合いのTちゃんに任せて、Lちゃんは一人稽古、俺はたまった経理事務をこなす。7時にTちゃんとバトンタッチ。夜の営業はLちゃんと二人。明日のライブに予約しながら仕事で来れなくなったAN嬢がプレゼントを持ってきたり、雨にも関わらずカウンターは一杯になる。一時前に一段落したところで明日に備えてLちゃんを早く引き揚げさせて、後は一人で三時まで。部屋に戻り、缶詰を開けてコーンスープを作る。そこにご飯をちょこっと入れてスープかけご飯にする。温かくて、お腹も満足して、昔から大好物だ。