桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・3・17

2006年03月18日 | Weblog
六時に松竹の試写室で六月公開予定の映画『やわらかい生活』を見る。三年前ヒットした映画『ヴァイブレータ』と同じ脚本家(荒井晴彦)、監督(広木隆一)、主演(寺島しのぶ)の作品だけに、どうしても前作と比較してしまいがちだが、作家たちは前作と違う線を狙う必要に迫られていたからか、表面上は全く別物の作品に仕上がっていた。だが、根底に流れるものは同じ。都会で生きる女の不安定な揺れる気持を前作では直線的に、今回は立体的に描いている。その意味からすれば今回の『やわらかい生活』の方が作品的に優れている。見終わってそんなことを思いながら試写室を出たら、待ち構えていた脚本家とプロデューサーに感想を聴かせろと近くの居酒屋に拉致される。こっちもひねくれているから、どうだった?と聞かれて、最初はラストまで眠らなかったよなんて答えていたけど、ビール二杯で素直な気持になって誉める。店があったので一時間ほどで中座したけど、後でその時はいなかった監督までウチに来たもんだから、こっちもいい映画を見た興奮を何とか伝えたいと酒の力を一杯借りる。おかげで三時半に店を閉めた時には、かなりの酩酊状態で、帰り道久しぶりに吐く。吐きながらも『やわらかい生活』は都会に生きているひとりぼっちの女性必見の映画だなんて感想を介抱してくれているLちゃんにまだ言っている。