桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・3・20

2006年03月21日 | Weblog
この一カ月、恋愛モードになっていたこともあるけど、日々の雑務をこなすのに目一杯で、一日のばしにしていたデスクワークを今日一日かけて処理する決心をした。「月曜コレドシアター」のPRビデオの構成台本、コレド通信で発表した「女優競作シリーズ」の募集要項、水曜日に迫った文化庁の芸術振興基金の申請書作成、出資者への決算報告書などなど。日曜と祭日の谷間なので、店はLちゃんとTちゃんに任せることにして午後からパソコンに向かう。でも、集中力と云うか体力が続かない。詰まるとすぐソファにひっくり返る。脚本家時代はもう少し粘れた気がしたのだが、もう独りぼっちは向かない体質になってしまったんだろうか?結局、十一時までパソコンに向かって、完成したのは近々にナレーションを取る予定になっている構成台本と「女優競作シリーズ」の募集要項の草案のみ。自己嫌悪に陥りながら店へ出る。それまで女性客が四人きりしかいないと言われていたので、今日は早々に店を閉め、帰って又パソコンに向かおうと思っていたら、俺が店に出てしばらくしてから制作会社のIさんたち、映画カメラマンのSさんと照明のYさん、S出版社のSさん、大手音楽版権会社のTさんたちオジサンたちでカウンターが埋まる。結局店を閉めたのは三時過ぎ。Lちゃんと二人今日も又いつものファミレスで夜食を食べて四時半過ぎに帰宅。ことはなかなか思うように運ばない。

2006・3・19

2006年03月20日 | Weblog
Tちゃんと二人きりでいることにまだ慣れてない。Lちゃんとは去年の初めから半年間、人件費の都合上仕方なく二人で働いていたから、お客さんがいない時なんかに二人きりで何時間も過ごすことに慣れてしまっている。でも、Tちゃんとは、彼女が去年の7月にウチの店で働きだしてから平日はいつもLちゃんが一緒だし、日曜祭日にはAちゃんがいたから、二人きりでいることが殆どなかった。けど、二月にAちゃんがやめて、日曜日に俺が開店時間から出ることになって、Tちゃんと二人きりでいる時間が必然的に多くなった。これが結構息苦しい。いくら若い女性と話すことになれている俺と言っても、Tちゃんはスタッフだし、デイトする相手と違って、エロ話も程度をわきまえないと、セクハラになってしまうから得意技を封じられた状態なのだ。エロ話以外に話すことはないのかと言えば、一杯ある。Tちゃんは俺以上に日本映画に詳しいし、美味い店も一杯知ってるし、お喋りのネタには困らない筈なんだけど、いくら時給を払っているからって、その時間俺のお喋りの相手をさせるのに何だか抵抗が生まれてしまう。いや、時給を払っているからかも知れない。つまり彼女は好んで俺と二人きりになっているんじゃないと思うことが、俺のお喋り度を低下させてしまうのだ。今日も開店時間が迫るにつれて、お客さんは望み薄だし、二人で何してようと考えてしまった末に買い物帰りにビデオを借りて来てしまった。幸いビデオをかけた途端に、K大生三人組が、続いて演出家のSさん、近所のMちゃん、法律事務所勤務のNさん、某国営放送局のSさんと来店してくれたので、時の過ごし方を悩まずにすんだけど、来週は何して過ごそうかと今から不安になってしまう。けど、若い女性スタッフと二人きりで過ごすのが楽しみになってしまったら、ちょっとやばいし、こんなことでいいのかもしれないと思い直す。それに時々ボソッと何か喋るTちゃんは魅力的でもある。

2006・3・18

2006年03月19日 | Weblog
午前中三日前に恋愛モードを解消したばかりのiと長電話。彼女の相談にまるで故郷の母親の様に(決して父親の様ではない)応じる。お昼過ぎ、去年八月に別れたAとランチ。当時は生きるの死ぬのと言っていたのに、こっちもそんなことがあったとはとても思えない程にフレンドリーな関係だ。こっちから別れたにしろ、別れられたにしろ俺はその人と後もつきあう。折角出会った男と女が、恋が終ったからって二度と会わないなんて勿体ないと思うからだ。その人たちには体で優しく出来ないから気持で一杯優しくする。つきあっていた時より桃井は優しいと言われる所以だ。なんてことも含めて最近の女性関係をお店に半年ぶりに来た女性脚本家のTさんに話していたら、相変わらずねぇと笑われてしまう。彼女だって昔は華やかな恋愛遍歴を重ねていて、俺と電話で話すことといったらその話題ばかりだったのに、今や18歳と13歳の男の子を持つ母親。Tさんの関心はついつい教育や社会問題に向かってしまい、男女問題は脚本の中だけだ。俺はTさんより14も年上だけど、彼女からみたら子供に見えるだろうなと思いつつ、まぁ、そんな男が一人ぐらいいてもいいだろうと居直って、また新たな恋の対象を探しに夜の街に出る。

2006・3・17

2006年03月18日 | Weblog
六時に松竹の試写室で六月公開予定の映画『やわらかい生活』を見る。三年前ヒットした映画『ヴァイブレータ』と同じ脚本家(荒井晴彦)、監督(広木隆一)、主演(寺島しのぶ)の作品だけに、どうしても前作と比較してしまいがちだが、作家たちは前作と違う線を狙う必要に迫られていたからか、表面上は全く別物の作品に仕上がっていた。だが、根底に流れるものは同じ。都会で生きる女の不安定な揺れる気持を前作では直線的に、今回は立体的に描いている。その意味からすれば今回の『やわらかい生活』の方が作品的に優れている。見終わってそんなことを思いながら試写室を出たら、待ち構えていた脚本家とプロデューサーに感想を聴かせろと近くの居酒屋に拉致される。こっちもひねくれているから、どうだった?と聞かれて、最初はラストまで眠らなかったよなんて答えていたけど、ビール二杯で素直な気持になって誉める。店があったので一時間ほどで中座したけど、後でその時はいなかった監督までウチに来たもんだから、こっちもいい映画を見た興奮を何とか伝えたいと酒の力を一杯借りる。おかげで三時半に店を閉めた時には、かなりの酩酊状態で、帰り道久しぶりに吐く。吐きながらも『やわらかい生活』は都会に生きているひとりぼっちの女性必見の映画だなんて感想を介抱してくれているLちゃんにまだ言っている。

2006・3・16

2006年03月17日 | Weblog
朝から部屋でiと過ごす。食事を一緒にして、時々お茶を挟んで、2月13日に始まって今日3月16日に終ろうとしている、二人の関係の着地点を探っていく。ケモノ的に始まったのに、いま慈しみを抱いてiを見つめることの出来るようになった自分の感情の軌跡を検証していく。一カ月の祭りだったのだ。祭りは永遠には続かない。フィナーレが非日常の世界から日常の世界へと強引に連れ戻していく。7時、仕事に出かけるiを見送った後は、帳簿をつけたり、お釣りを用意したり、名刺の整理をしたりの日常的業務を慌ただしくこなして、8時過ぎ店へ。女優のTさんと映画監督のMさん、高校の同級生で近所の文房具店のMさんとその息子さん、妹のファンのAちゃんとその仕事仲間のSちゃん、遅くなって女性編集者のSさんと女優のKさん、名古屋のCテレビのKさん、Tさんと制作会社のUさん、三日続けて来店してくれた評論家のKさんと去年彼を連れてきてくれた常連のNさん、女性構成作家のSさんたちとお喋りして、一緒にお酒を飲んでいる内に、iとの濃密だったこの一カ月間が遠い過去の記憶のようになっていく。二時過ぎ、店を出たら雨は上がっていたが、風がやたら凄い。Lちゃんがお腹が減ったと云うので、コンビニでお握りを買って二人して強風に吹き飛ばされそうになりつつお握りを頬張りながら家路へ。部屋へ帰ったらクライアントと飲んでかなり酔ったiから電話。そのクライアントに恋心を告白され、キスされたと云う。どうしよう?って言われて、こうしたらとアドバイスしている自分がおかしい。

2006・3・15

2006年03月16日 | Weblog
週末から昨日にかけての売上を入金した段階で、今日が支払い期限の各仕入れ業者への振込が出来る金額が預金にあることを知って安堵する。後は25日の給料日が問題となるが、今から悩んでも仕方ないので極楽トンボを決め込むことにする。夕方一人すき焼で食事していたらLちゃんから店に妹が来ているからとの電話。本当は一杯やることがあったんだけど、仕方なく食事を途中にして店に向かう。妹はロス在住のUさんと一緒。Uさんとは俺も四十年ぶりの再会らしく、感激される。だが、俺はUさんに会ったことを全く覚えてない。まぁ、アルツハイマー気味の俺には、そんなことはよくあること。四月にクランクインする自分が監督する映画の話を妹はご機嫌に喋って二時間程でOUT。何だか肉親が来て帰っただけなのに、ホッとしてそこで一仕事終えた様な気になるから不思議。それ故か、この後来店してくれたAN嬢、俳優事務所のTさんたち、久しぶりに来店してくれた中古車ディーラーのSさん、評論家のKさんたち、演出家のSちゃん、近所のMちゃん、いつも着物の女優Aちゃん、三日連続して来店してくれた大阪のTさんと某大手音楽版権会社のTさんたちに何処か余裕で応対している。二時半、最後まで残ったMちゃんを見送って三時過ぎに帰宅。iちゃんが怖い話があるから聞いてとメールしてきたので、電話。ストーカー紛いに言い寄られ、メールで誘われ、答えずにおくと電話して来る中年男の話を聞いて5時まで。若いiちゃんの恐怖も分かるけど、同じ年のその男の心情も分かって何だか複雑。

2006・3・14

2006年03月15日 | Weblog
お昼過ぎ、牛肉のバター大蒜炒め、グリーンサラダ、鮭の塩焼き、胡瓜の浅漬け、納豆、塩辛そして昨日Tさんから貰ったいかなごのクギ煮で食事した後、四時前に店へ。飲食店ガイドの担当者と打ち合わせ。その後銀行に寄ってから予約していた美容室オランジュジャポンへ。髪を切ってイメージが変わるのが昔から大嫌いで、何処をカットしたのか分からない様にカットして貰う。Kさんは俺のわがままとお喋りにいつもにこやかにつきあってくれるので、散髪嫌いの俺が美容室にいくのが楽しみになっている。終った後、近くのエノテカでワインの仕入れ。ついでにホワイトディだったことを思い出し、チョコレートのお返しにシャンパンを買う。かなりの出費、痛い。広尾の雑貨店SでKさんとお喋りした後、一度部屋に戻って雑用をこなして九時前に店へ出るが、お客さんは誰もいない。まだノーゲストなのとLちゃんとTちゃんが欠伸をかみしめている。バレンタインディとかホワイトディとかクリスマスイブとか男女が楽しく過ごす日って、広尾時代からウチの店は極端に暇なので又からと思う。それでも遅くなってから昨日に引き続いて大阪のTさん、常連の評論家Kさんが俺の高校時代の同級生でK出版社の局長Sたちと、近所のNさん、銀座ママのSさんがいつものHさんと、そしてCテレビのKさんたちなどが来店してくれて、何とか格好がつく。二時閉店。Lちゃんとラーメンを食べて帰る。

2006・3・13

2006年03月14日 | Weblog
郵便局でコレド通信を発送した後、iと待ち合わせて一時に下北沢の本多劇場へ。来年一緒に芝居することを企画しているAが出演している加藤健一事務所公演『エキスポ』を見る。翻訳物が多い加藤健一事務所にしては珍しいオリジナル物(中島淳彦作)だったが、とてつもなく面白い。花粉症の薬を飲んだ上に、午後一時なんて確実にオヤスミタイムだったにもかかわらず、笑い転げて一睡もすることが出来なかった。今流行りの一種の風俗喜劇と云う奴なんだろうが、風俗も喜劇も超えている気がした。本当は楽屋に寄ってAと話したかったが、これだけ感激すると、うまく感動が伝えられない気がして会わずに帰る。iとお茶して別れ、本当なら九時頃社長出勤するつもりだったのだけど、用事を思い出して開店前に一旦店へ。けど、アルツハイマーが入って来ているのか、店へ出向いた用事を忘れてしまい、Lちゃんたちに笑われる。仕方なく部屋に戻って食事をとっている間も思い出そうとするが、駄目。遂に初老性アルツハイマーにかかったか?と落ち込んでいたら、店から電話でTテレビのRさんが十人で来店すると云うので、アタフタと再び店へ。系列局の懇親会の流れ。月曜日で他にお客さんがいなかったこともあってRさんの希望でカラオケ大会になる。みんなが歌う曲を入れ、歌を聞く間も忘れた用事を考えている。俺は何しに店へ寄ったのか?12時近くにカラオケ大会が終る頃には、カウンターも近所のNさん、エステシャンのMちゃんと彼女の友達で鹿児島から遊びに来ているYちゃん、演出家のSさんたちで賑わいだしている。一時近くに最終の新幹線で上京した大阪のTさんが帰ったのが二時ちょうど。グッドタイミングと階段の電気を消そうとしたら、俳優事務所のFさんが階段を下りて来て、一杯だけと三時過ぎまでLちゃん相手にお喋り。途中、ふとしたことで夕方店に来たのは、六時までに銀行に寄る予定だったので、バッグに入れたままになっていたカードを取りに来たのだと思い出す。何だ、そう云うことだったかと思い出したことで脱力感。帰宅後、iと今日の芝居の感想など電話でお喋り。その間に何だか自分が今日の芝居でAが演じる少しボケの入った老人とダブって見えて来た。

2006・3・12

2006年03月13日 | Weblog
一時に今日で18歳になった息子に会う。白金まで移動して、俺の母(彼の祖母)も呼んで食事。大学は志望校に入れず、落ち込んでいると思いきや、浪人はせずに滑り止めに入った大学で資格を沢山とって頑張ると意外なほど元気。プライドだけが突出して大学に行けなかった自分と比較して、18歳にして案外大人なんじゃないかと頼もしく思ってしまったのは親馬鹿か。白金から六本木まで色々なことを話しながら歩いていたら、Lちゃんから電話。俺が息子と会っているのを知っていて、仕事の口実をつけて何とか会おうとする。あんまりしつこいので六本木の喫茶店で会う約束。息子に挨拶しているLちゃんを見ている内、さっきとは違う思いに陥る。同じ18歳なのに、Lちゃんに比べて息子はグーンと子供に見える。血がつながった息子と、他人なのに毎日十時間以上一緒にいるLちゃん。ホンの僅かの時間だったけど、生まれた日が十日しか違わないのに、全く違う人生を歩んで来た同じ18歳の男女の、俺と云う人間を真ん中にした人間交差点。息子と別れて六時から店。開店早々、Tちゃんの友達のOさん夫妻とRちゃんが来店してくれる。Oさんはこの日記で俺が書く食い物へのこだわりを知って来てくれたと聞いて恐縮する。最初から知っていたら、それなりに準備したのにと悔やむ。お客さんは他に四月に公演予定の俳優のM君、常連の演出家Sちゃん、日曜出勤したSミュージックのIさんの六人だけ。
今日あたりから花粉症の発作がおき、薬を飲んだせいかやたら眠い。

2006・3・11

2006年03月12日 | Weblog
今日はTちゃんが休みで6時前に店へ出勤したけど、土曜日で12時閉店だし、そうお客さんが多くないだろうからと楽観(悲観?)していたら、早い時間から出資者の一人Tさんたち5人、宝石デザイナーのAさんと人妻Iさんたち4人、一年ぶりに来店した女性作家兼脚本家のTさんと某国営放送局の演出家MさんとSさん、最近常連になったEさんたち、遅い時間に近所のMちゃんと設計事務所のMさんなどで土曜日にしてはまぁまぁの賑わい。それでも12時近くには殆どのお客さんが引き上げたので、Lちゃんをを引き揚げさせ、後は近所のMちゃんと設計事務所のMさんと馬鹿っ話。1時過ぎ、二人共かなり飲んでいるので、もうそろそろ閉店かと思っていたら、そこに着物姿の女優Kさんが酔って来店。二人のMさんも帰るタイミングを失い、それから一時間ばかり三人+俺でお喋り。二人のMさんは二時半過ぎ帰ったが、俺がトイレに行って戻ってきたらKさんはカウンターで眠っている。勿論起こす。でも、寝不足とお酒が相まったKさんは完全に熟睡してしまって起きない。去年の暮れにもこういうことはあったけど、男なら放り出せるが、若い女性だとそうもいかない。仕方なくこっちも仮眠してKさんが目覚めてくれるのを待つ。結局店を出たのは6時近く。これも若い女の子と朝まで一緒に寝たことになるのか?