銀座ママ兼作家のTさんが女性ドキュメンター作家のHさんたちと来てくれた。Tさんは先日俺が読んで感激した本の著者だ。間に共通の知り合いがいたもんだから電話で話したことはあったけど、会うのは今日初めて。いや、正確にいうと彼女が売れない女優をしていた頃に同じ番組をやっていて一度会ったことは会ったが、そのときは言葉を交わしたことはなかったので、殆ど初対面みたいなものだ。でも、言葉を交わす前から知り合い気分でいたもんだから、あっという間に打ち解ける。Hさんたちが先に帰った後も俺と話す為に一人残って、チラッと会った時からの三十五年間を回顧しながらこれからの生きかたについて話す。その内、モノ書きの姿勢みたいなテーマになって、少なくとも何かモノを書こうとする人間がブログでこんな日記を書いていてはいかんと俺を説教し始める。こんな日記なんかで執筆欲望を解消していたらモノは書けなくなるから即刻やめるべきだというのだ。モノを書くにはタメなくてはいけない。タメてタメてタメ尽くして、それでも書くときは抑えて抑えて書くのがモノ書きだと言われ、反論できなくなる。でも、次の瞬間、俺はモノ書きなのかと自問自答する。元々このブログだって店の宣伝を兼ねて始めたものだし、ここでダラダラとした文章を書いていたって何が悪いと居直る。そんなことを云ったら、だったら芝居もエッセイっぽい文章もやめて、店の経営だけに頭とからだを使いなさいよとTさんの酔っぱらった顔が反論しているように見える。そう、何もかもが中途半端。五月にやる芝居の台本はまだ見通しがたたないし、三月から始める店の新たな展開の準備もまだだ。こんなことじゃ虻蜂取らずに終わってしまうと悩みながら薬を何種類も口に放り込む。喉の薬と抗生物質。病気を治す方が先決だ。