飲食店を開く時には営業する前に何十項目にも渡る施設基準というものを満たしていなくては保健所の許可が貰えない。そしてその施設基準というものをそれぞれの店にいる食品衛生責任者が営業後も守っていかなくてはいけないのだが、往々にしてルーズになってしまうので、七年に一度、検査を受けて営業許可を取り直さなくてはならず、その日が明日と迫った。そう、施設基準をきちんと守っていれば何の問題もないのだが、ここでぶっちゃっけて告白しちゃうと、この七年の間にお客さんが見たらセーフだが、保健所の方が見たらアウトになっていることが一杯あって、今日はその取り繕いに追われる。××が足りない。△△が壊れている。六本木の近所には売ってなかったので今日の午後××と△△を求めて五反田から大崎にかけて午後から歩き回って漸く揃えたが、問題は今日の営業にも使うけど、お客さんがいる間には出来ないちょっとした工事。最後のお客さんのN証券のFちゃんとAちゃん、格安旅行会社のKさんが帰った後、三人がかりで突貫工事と作業に取り組んで二時過ぎに終了。でも、最後の最後になって●●機の調子が悪いことに気づいて何とか修理を試みるが、去年修理をして貰った時にも原因は建物の構造的欠陥だと言われた代物で、一時間近く悪戦苦闘して諦める。明日それを指摘されて営業許可が更新できなかったらどうしよう?