ある映画についての感想をここに書き記すのはかなり躊躇う。感激した場合だったらいい。でも、最悪だったりしたら実名をあげて書く訳にはいかない。今日知り合った××さんはとてもいい人でと書くことはできても、今日知り合った△△さんは最低の人だと書くわけにはいかないのと同じ。それに俺は喉の調子を含めて体調がよくない。こんな時に見ることになった映画は、本当はいい映画なのかもしれないけど、最悪の映画に見えてしまうことが往々にしてあるものだ。それに数々の映画賞を受賞し、興行成績もよくて、ウチのお客さんの中にもこの映画の圧倒的支持者がいるし、主演女優の所属事務所の社長もいる。大体映画館で見ないでベッドに横になりながらDVDで見て「映画」を見たつもりになっちゃいけない。そんなこんなでこの映画を非難中傷する勇気は今気弱になっている俺にはない。だから「非難中傷」ではなくて「教育的指導」とか「注意」だけにとどめておくけど、監督の××さん、「映画」を見せてください。この映画『K』ははっきり言って映画ではない。DVDで見たからじゃなくて、人間を描くという映画としての志を全く棄てた「映像ショー」だ。このDVDで延滞料を取られるのは不愉快なので調べている時間はないけど、この「映像ショー」でのスローモーションの多用は目に余って、全編スローモーション(雲の動きは反対)と言っても過言ではない多用ぶりだ。スローモーションを使うと映画的になるとでも××監督は思っているのか?だったら幸せだけど、スローモーションの部分を普通の速度で撮影したら2時間弱の「映像ショー」が半分の時間で済んでしまいますよ、××監督。他にも駒落としやフラッシュバックなど「技巧」ばかりが眼について、登場人物はみなロボット同然の扱いをされている作品に「作品賞」はともかく「脚本賞」を与える映画祭ってバカっていうしかない……「なーんてね」(と、この映画の最後の台詞)