元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

事務所則は安衛法に基づく「規則」です。<事務所則の考察>

2011-05-30 06:04:17 | 社会保険労務士
事務所衛生基準規則(8) 事務所則の紹介

1 事務所衛生基準規則(事務所則)の紹介としては、シリーズの最終回となりました。事務所衛生基準規則といってきましたが、これは、もともとは労働安全衛生法(安衛法)に基づく規程です。

2 安衛法第23条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。(「風紀」日常生活の上で守るべき道徳上の規律、特に男女交際についての規律や節度~大辞林、具体的には、トイレや休養室の男女の区分のことを指しているのでしょうか。)

3 安衛法23条の規定に基づく「労働者の健康、風紀及び生命の保持のための必要な措置」として、具体的に定めたものが、この事務所則(省令)というわけです。健康・風紀・生命の維持の観点から規定しているのであれば、周知徹底が図られていないとはいえ、これを遵守しないことは、世間でいわれる単なるコンプライアンス違反以上のものがあるともいえます。
 事務所則を今までズズ~ズットと紹介してまいりました。老婆心といえるような、「そこまで規則で言うのかというようなものがある」との私の感想を述べたところもありましたが、そういった意味からの規定ですので、本当に大きな意義があると思われます。

5 老婆心といえば、まだ具体的に紹介していなかったものとして、「温度」の規制があります。
(温度)第4条 事業者は、室の温度が10度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
② 事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。
ただし、電子計算機等を設置する室において、その作業者に保温のための衣類等を着用させた場合は、この限りではない。
 (これは、以前からある条文ですし、労働者のための規制ということから考えますと、エコとか省エネルギーの観点からというよりは、労働者の健康への配慮と考えるべきでしょう。)

6 さて、事務所則には、罰則がついているのだろうかということになりますが、安衛法23条に基づいた、その具体的な措置を定めた事務所則である以上、安衛法23条に罰則があるならば、事務所則という省令であろうと理論的には、罰則があることになります。
 119条 次のいずれかに該当するのものは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 ① ・・・・  第20条から第25条までの規定に違反した者・・・・②・・・③・・・④・・・
となっており、努力義務を除いて、しなければならないとされているのは、罰則があることになります。
 そうであれば、もっと規定自体をも周知した上で・・・となるべきでしょうが、われわれ社労士にもその責任のいったんはあるとも言えますので、なんとも・・・・と歯切れの悪い言い方になってしまいました。失礼しました。


 
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事務所則のその他の規定をまとめて紹介。

2011-05-27 10:38:59 | 社会保険労務士
事務所衛生基準規則から(7) 事務所則の紹介

 事務所則は、今まで紹介してきたほかにも、あります。その紹介したものをも含めて、全体的にどういうことが書かれているかを以下に掲載します。


 第1条 この規則は「事務所」について適用し、労働安全衛生規則で同様の規制をした部分(この部分は、労働安全衛生規則の「第3編」となっています。)は、適用しない。

 第2条 労働者1人についての気積(底面×高さ、いわゆる労働者1人当たりの「空間」と解釈すべきでしょうか。)を10m3以上とすること。事務所の広さについて、規制しています。   
                <労働安全衛生規則600条、以下「労安則」と略します。>

 第3条 換気         <労安則601条>

 第4条~9条の2 温度、空気調和設備、燃焼器具、作業環境測定等
                <労安則606条~612条、危険な所=同576条~592条>

 第10条 照度        <労安則604条>

 第11条~12条 騒音 

 第13条~14条 給水・排水 <労安則627条>

 第15条 清掃        <労安則619条>

 第16条 労働者の清潔保持義務(廃棄物の決められた場所へすてること)<労安則620条>

 第17条 便所        <労安則628条>

 第18条 洗面設備      <労安則625条>

 第19条 休憩の設備     <労安則613条>

 第20条 睡眠または仮眠の設備 <労安則第616条>

 第21条 休養室       <労安則618条>

 第22条 立業のためのいす  <労安則615条>

 第23条 救急用具、     <労安則633条>


 第1条では、事務所則は、事務所について適用する特別の規定であり、同様の規制をした事務所以外の作業所などに適用する、一般的な規定としての労働安全衛生規則の第3編とは、区別しており、この労働安全衛生規則の第3編は、この事務所則で規定する事務所には、適用しないとしております。
 < >書きで労働安全衛生規則で同じようなことを規定する条項の番号を示していますが、全体的に言って、ほとんど同じ規制となっていますが、第4条~9条の2の温度・空気調和設備・燃焼器具・作業環境測定等については、ほとんど規制対象や規制内容等が違っていますので、注意してください。これらの違っている部分を除けば、事務所則にあっては、労働安全衛生規則の中から、事務所でも通用するような、労働安全衛生規則のその一部を抽出して規制しているともいえます。
~労安則との相違

 
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室のホルムアルデヒドの規制も付け加えられています。

2011-05-26 04:41:17 | 社会保険労務士
 事務所衛生基準規則から(6) 事務所則の紹介

 事務所のホルムアルデヒドによる労働者の健康リスクを減らすために、ホルムアルデヒドの基準設定を行っています。平成16年6月30日施行です。ホルムアルデヒドといえば、目がちかちかする、涙・鼻水、のどの渇き・痛みなどの症状が出るシックハウス症候群の原因となるとされている代表的な化学物質ですが、室内での主な発生元は、合板等といわれています。しかし、最近では、建築基準法等で規制され、ホルムアルデヒドの使用は抑えられています。
 それを事務所内の環境基準に取り入れようとするのが、この条文です。
 (ホルムアルデヒドの基準設定・測定)事業者は、室の建築、大規模の修繕、又は大規模の模様替えを行ったときは、ホルムアルデヒドの濃度について(0.1mg/m3以下とすること、1気圧・25度Cのとき)、部屋の使用を開始した日から6月~9月までの間に一回、測定しなければならない。(事務所則7条の2、5条1項3号)
 最近の新しい事象に応じて、事務所則は作り変えられています。その留意すべきものとして紹介しました。


  
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あなたの事務所では、救急用具を置いていますか。

2011-05-25 03:54:33 | 社会保険労務士
 事務所衛生基準規則から(5)

1 (救急用具)①事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
 ②事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない。(事務所則23条)


2 いきなり条文を書いてしまいましたが、事務所には、救急用具を備え付けなければならないとされています。事務所では、全くケガをしないかというとそうではありません。かよわい私なんかしょっちゅう紙で手を切っていましたので・・・。(経験ある方はあると思います。あの手を切ったときの感触忘れません。) 以前ほとんど使ってしまって、必要なものがないという救急箱がありましたが、私がその職場を去る前になって、保健師さんがいた職場でしたので、その保健師さんが、備えなければならないものを見繕ってくださいました。これで、一応事務所衛生基準規則(事務所則)の規定はクリアーしました。

3 さて、この事務所則の規定については、全く同じ規定が労働安全衛生規則633条にあります。条文の書き方は一字一句同じです。事務所則では、1条で、事務所についてこの規制は適用するとして、事務所とは、「・・事務作業に(カード穿孔機、タイプライターその他の事務用機器を使用して行う作業を含む。)に従事する労働者が主として労働者が使用するものをいう。」となっております。これに対して、労働安全衛生規則では、一般規定になっており、さらに他の条項からいえることは、いわゆる作業場を念頭に置いています。(*法律的な言い方をすれば、事務所則が特別規定になっています。)。事務所則は、「事務所」を規制し、労働安全衛生規則では、それ以外の作業する場所等を規制しています。

4 そこで、この労働安全衛生規則では、さらに次の条文が追加されています。
 事業者は、次の品目を備え付けなければならない。
 一 包帯材料、ピンセット及び消毒薬
 二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれにある作業場については、火傷薬
 三 重傷者を生ずるおそれにある作業場については、止血帯、副木、担架等 となっています。
労働安全衛生規則634条)
 作業所等では、より負傷の危険性やその程度が大きいことから、備え付ける品目についても、言及しております。


    
  
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ちりをそこかしこに捨ててはいけません。

2011-05-22 11:15:27 | 社会保険労務士
事務所衛生基準規則から(4) 

1 当たり前ですが、こんな規定もあります。しかも、ほかの条文は、事業者に対する規制ですが、これは労働者に対するものです。

2 (労働者の清潔保持義務)「労働者は、事務所の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない。」(事務所則16条)
 廃棄物とは、産業廃棄物を連想させますが、一般のごみも一般廃棄物ですので、ごみをどこかしこに捨ててはいけないということですね。うーん、そこまで規定するかというやつです。

3 ついでにいうと、次の条文には、トイレの数の規制(労働者何人当たり1個以上といったもの)があり、清潔保持と汚物の適正処理を規定し、さらに次の規定があります。( 条文は「トイレ」でもなく「便所」と表現してありますが・・・)

4 「男女用と女性用に区別すること」(事務所則17条1項1号)
 昔私が現地指導に入った際(安全衛生法が労働基準法から分離独立して間もないころ)には、建物が古くて、確かに区別されていないのがありました。こんなところまで気を配って、細かに記述しているんですね。
そこで、最近では、洋式のトイレが普及し、男女が区別されていないのを見かけます。これって、どうなんでしょうか。事務所則から見た場合は、文字どうり解釈するとアウトなんじゃないでしょうか。


   
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