元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

テレワークと中抜け(=テレワーク時の私用による業務中断)の取り扱いについて

2021-02-27 10:51:34 | 社会保険労務士
休憩時間が原則にかなっているが就業規則変更の必要と変更例・時間単位年休の取得でも可能
 
 自宅での仕事というテレワークについては、家事等と切り離し、仕事中はその仕事に専念しなければなりません。しかし、自宅で仕事をしている以上、これが困難なことが起こる可能性は大いにありです。例えば、テレワーク(在宅勤務を想定)中に、子供がぐずりだしたとか、幼稚園で熱を出したとか、急に仕事を中断しなければならない時って、よくあります。この場合には、当然、仕事はできません。この時間を「中抜け時間」とよんでいるようです(情報通信技術活用の事業外勤務等ガイドライン)が、テレワーク実施にあたっては、この中抜けをどう扱うかについてのルールを決めておくことが必要です。

 (1) まず考えられるのは、仕事の合間に仕事から離れなければなりなせんので、休憩時間とすることです(休憩時間の自由利用の原則、途中休憩の原則にかなう)。そうすると、いつもの終業時間に仕事を終えるとなると、仕事時間が足りなくなってしまいますので、その休憩時間の分だけ、終業時間を繰り下げることとなります(休憩時間の変更)

 勤務(始業) いつもの休憩 勤務   私用の休憩   勤務    終了(終了時間繰下)
9:00   12:00 13:00   15:00  16:00 18:00  19:00
 ------  ======= ーーーーー ====== ーーーーーー ーーーーーー
 
 この始業時間・終業時間や休憩時間は、就業規則の必須記載事項ですので、就業規則を変更することが必要となります。
 <就業規則の例>
  中抜け時間(テレワーク時の使用による業務中断)については、会社の承認を得た上で休憩時間として取り扱い、当該中抜け時間分は終業時間の繰り下げにより対応するものとする。
 
 もちろん、「いつもの休憩」といった昼間の休憩時間等で対応できれば、それはそれで構いません。しかし、この「いつもの休憩時間」をずらす必要が出てくる場合には、一定の業種を除き、休憩時間の「一斉休憩の原則」が適用されていますので、その場合には、一斉休憩の適用除外に関する労使協定を締結することによって、個々の労働者でそれぞれ適当な時間帯の休憩をとることができるようにしておくことが必要です。 
 <就業規則の例>
  一斉休憩の適用除外に関する労使協定の適用される業務に従事する従業員は、休憩時間を変更することができる。

 (2) また、時間単位の年次有給休暇を取得できる会社であれば、その分の有給休暇の取得で変えることもできます。この場合は、終了時間の繰り下げは、当然、必要でなくなります。

 勤務(始業)  いつもの休憩 勤務    私用による休憩  勤務     終了 
 9:00    12:00  13:00 15:00    16:00  18:00 
 -------- ====== ーーーーーーー ======== ーーーーーー 
                            ↑
                        時間単位年次有給休暇取得
  
 参考 テレワークの労務管理のツボとコツがゼッタイにわかる本 秀和システム 寺林顕ほか著
    情報通信技術活用の事業外勤務等ガイドライン(厚生労働省)
 





 
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日本での経済学の一般社会への浸透は??例えば消費税の税込みなど(行動・実験経済学)

2021-02-25 11:48:01 | 社会保険労務士
 米国では有名な経済学者の一般向けの経済学の教科書が出版

 現在の経済学の主流は、行動経済学とか実験経済学だという。私のような昔ケインズ経済学を学んだものにとっては、これは心理学の分野だと感じるところのものである。

 アメリカでは、これを応用して、消費税の表示において、税込み表示と税抜き表示では、どちらのほうが消費を刺激するか、すなわち買いたくなるかという実験がある。たとえば、「11,000円(税込み)」と表示されたものと「10,000円(税抜き)」と表示された商品がある場合に、どちらの方を買いたくなるかという実験なのである。この結果、税込みで表示した場合には、税抜きで表示した場合より、8%も売り上げが下がるという。

 どちらもよーく考えると、同じ金額を支払うことになるのであるが、心理的にはどちらの行動を人々はとるかということを実証した結果なのである。

 国税庁は、消費税が導入された当初では、どちらの表示も認めていたが、最近では、税込み表示を原則としている。2021年4月からは、総額表示が義務ずけされた。これでは、実験経済学からいって、2重に消費を冷え込ませることになったといえる。

 これは、高橋洋一氏の著書(注)に書いてあったものからの受け売りであるが、以上のごとく、すべてにおいて、高橋氏いわく、日本では、経済学の成果が実社会に生かされていないという。

 アメリカでは、昔私が学んだ頃は、経済学の教科書として、経済学者サムエルソンが執筆した「経済学」上下があり、一般向けに、しかも大書であって、アメリカの現実の経済分析から理論的なものまでを著述したものがあったが、最近では、マンキューの「マクロ経済学」などが同様に出されている。

 日本では、まだまだ経済学が一般社会と乖離があり、なぜか現実の動いている経済とは別物という考え方があるのではないかと思う。

 (注)明解経済理論入門 高橋洋一 あさ出版
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テレワーク中の転倒事故は労災(業務災害)か=自宅かどうかは労災の要件ではない

2021-02-21 13:35:39 | 社会保険労務士
 業務災害は「業務起因性」「業務遂行性」によって判断=会社の事故と同様

  テレワーク中の業務に関する事故による負傷について、労災は適用になるのか。自宅の仕事であって、会社での事故ではないからといって、一概に、労災(業務災害)ではないとはいえません。

 労災(業務災害)の要件は、①「業務起因性」といいますが、簡単に言うと「業務による危険等によって実際に負傷等が起きたこと」、すなわち業務と負傷した事故等との関連性があることが重要なのです。また、②「業務遂行性」という「その労働者が事業者の支配下において、命じられた業務に従事しようとする意志行動」かどうかも必要となります。会社の命じられた仕事をするのであれば、自宅か会社か関係なく、この業務起因性に該当する可能性があるのです。この①業務起因性と②業務遂行性を判断して、両方とも満たした場合に、はじめて労災は適用になります。

 どこにも、会社での仕事中でないといけないとは書いてないのです。自宅で仕事中にけがをした場合に、必ずしも労災が適用にならないとはいえません。

 さて、労働基準監督署では「自宅で、会社の仕事としてパソコン業務を行っていた方が作業場所からトイレに立ち、作業場所に戻った際に椅子に座ろうとしたところ、転倒した事故」が労働災害として認められています。まず、業務遂行性については、端的に言えば、会社が自宅で仕事をするように命令して、その仕事をしている最中ですので、これはいうまでもなくOK。業務起因性はどうでしょうか。トイレ後に作業場所に座ろうとしたときに転倒した例です。業務による危険が現実に起きたことになります。トイレに行く行為はどうなのかという方がいるかもしれませんが、これは仕事中の「自然行為」です。会社にあっても、トイレに行く行為は認められますので、それに伴う一連の行為として起きた転倒事故と考えられます。そして、これは、まぎれもなく、業務遂行性と起因性によって起きた転倒ですね。一言申し上げると、転倒が労働者の不注意があったとかは関係ありません。労働者の不注意があったとしても、労災としては認められます。民法上の損害賠償とは違いますので、留意してください。

 しかし、焼酎を飲んでいて、飲みすぎた状態で、仕事をしていて、酔っぱらったことが原因で、けがをした場合はどうでしょう。酔っぱらったことが原因と書きました。これでは仕事に関して負傷したとはいえませんので、アウトでしょう。

 テレワークでは、だれも見ていませんので、業務が原因で起こったのかが分かりません。労働者も意図的でなくとも、自分に良いように申し上げることがないとは言えません。会社も自宅で仕事を命じた以上、労災事故なのかも分からないリスクがあることは考えなければなりません。会社は、日ごろから、在宅の就業場所、適正な労働時間、業務の進捗、私的時間の把握等を管理して、労災事故の危険に備えるようにしましょう。

 参考 テレワークの労務管理のツボとコツがゼッタイにわかる本 秀和システム 寺林顕ほか著

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テレワーク・在宅勤務を始める前にしておくべきこと=残業する時の事前申請について

2021-02-13 11:17:18 | 社会保険労務士
  事前届出(できれば事前許可)の申請を様式によって労使で確認しておくこと

 コロナ封じ込め対策として、緊急事態宣言下によりテレワーク・在宅勤務を行う場合のように災害等によりやむなく突入する際には、原則的に言えば、会社で行っていた時間帯と全く同じ働き方をするならば、就業規則は変更する必要はありません。これが長く続くようだと通勤手当・中抜け時間の取り扱いなどやはりそれ相応の就業規則などの変更は必要です。しかし、今回のように政府の要請等により一時的に在宅勤務をするということで、会社の勤務時間と全く同じ時間に働くのであれば、就業規則等はいじる必要はありません。

 しかし、その場合でも、どうしてもやっておかなければならないことがあります。自宅で仕事をすることになれば、自分なりの仕事のペースになり、だらだらとするものもいれば、逆に仕事の終了時間が来ても、のってきたからといってそのまま仕事を続けてしまうものもいるかもしれません。だらだらに対しては上司の連絡・通知等によりうまく動かせるかもしれませんが、問題は、逆に時間が来ても仕事を続ける組です。

 長時間労働になってしまいますし、これは労働管理上問題ですし、後から残業代を請求されてもどうしようということにもなりかねません。残業は会社が命じるものです。労働者の方から残業する場合は、一般的には、就業規則に許可を受けるとなっているはずです。この許可規定がない場合にあっても、会社の命令によって行うことには変わりありませんから、かってに残業しましたとはいかないことになります。(ただし、事前許可申請によって、許可制にすることをちゃんと就業規則にうたうことをお勧めします。)

 したがって、テレワーク・在宅勤務を行うにあっては、まず、残業する際には必ず届け出(許可)を受けることを徹底させなければなりません。確定した{残業申請書(許可申請書)}(上欄)様式には、「所属・名前、期日、予定時間、業務内容・申請理由」を記入し、同様式で{報告書}(下欄)として、「実績の時間」を書き、予定時間より長引いた場合等を書く「業務内容等」の欄を設ければ十分でしょう。

 もともと就業規則に様式まである場合もあるかもしれませんし、事前に申請することは就業規則に記載してあるはずですが、少なくとも、テレワーク・在宅勤務を始める前に、これらの残業する場合には、様式を示して、労働者としてどうするかを使用者は確認(または指示)しておくべきです。このとき、就業規則にテレワーク等が規定されていない場合は、職務命令として、まずをもって、テレワークを行うことを命じることとします。※
 
 ※ 就業規則等の記載がなければテレワークはできないとの論もありますが、ここは一時的にということで、職務命令で可能ということでテレワークを命じることにします。
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光秀は謀反人か・孟子の禅定と放伐(政権交代)・朝廷の勅使を安土城で待つ意味

2021-02-07 22:00:00 | 社会保険労務士
 「光秀の謀反人」は秀吉の戦略>徳川では謀反人の影は薄れたこと

 明智光秀は「謀反人」か? 戦国時代にあっては、謀反は普通の日常茶飯事であったのではないか。どうも信長の実質的な後継者となった豊臣秀吉から、謀反人としてうまく扱われたのではないかと思う。別の言い方をすれば、下剋上の世の中にあって、謀反人とそうでない者の違いってなんだというわけである。
 
 山崎の戦いで信長を打った明智光秀に勝った豊臣秀吉が、自分が信長の後継者として世を治めるため、彼を謀反人として悪人として扱ったのではないかということである。というのも、豊臣政権が倒れ徳川政権の世になった時代には、彼の謀反人としての影は薄れ、世にもてはやされるようになったのである。

 当時武士がたしなむ「孟子」に、政権交代として「禅定」と「放伐」という用語がある。童門冬二氏※は、これを次にように分かりやすく説明しています。 ※徳川3代の人間学、童門冬二著、NHK出版

 人民を治める王にはがなければならない。徳がなければ仁の政治がおこなえないからからだ。徳を失った王は徳のある後継者に後を譲るべきである。この話し合いによる平和な政権移動を禅定という。
 徳を失ったにもかかわらず王が、いつまでも王座にしがみつくときは、徳のある者が実力を行使してその王を排除することができる。これは謀反ではない。なぜなら、徳を失った王は単なるつまらない人間にすぎないからだ。この実力行使を放伐という。

 では、徳がないとかあるとかとは誰が判断するのか。光秀が一人判断したのであれば、それは独りよがりではないか。以前の論で、信長の企業は、すでにパワハラ化、ブラック起業していたと述べたが、それを光秀一人で判断したのであれば、それは独りよがりにすぎなく、正統性はない。しかし、織田家の中においては、誰もが徳がなくなっと感じていたはずである。

 放映された「麒麟がくる」の中で、その契機となるような出来事から、著者の脚色もあることも考慮しても、次のようなことがある。
 
 ・信長の光秀への家康接待時の暴行 ・信長が昔からの重臣である佐久間信盛の働きが悪くなったゆえの追放 ・光秀が正親町天皇から横暴な(?)信長のいくすえを見守るよう依頼される ・信長が正親町天皇へ譲位を強要 ・信長は将軍足利義昭追放にあたって罪人扱い ・信長は四国長曾我部と始め協定していたが畿内に縁を持つ三好氏に接近し長曾我部と対立=光秀は長曾我部と親戚だったので両者の板挟み ・比叡山延暦寺の焼き討ちにおいて女・子供の殺害を信長は光秀等に命令 ・家康が光秀に築山殿等の殺害を信長に命じられたことを光秀に相談 ・荒木村重や松永弾正の信長への反発からきた謀反 ・光秀の尊敬する「道三ならどうしただろうか」と父道三に性格が瓜二つである帰蝶が、光秀に聞かれたときのセリフ「信長を作ったのは光秀など、ならば、それを作った光秀お前が始末するしかない」と 
 *しかし信長の最後の命令が、光秀が昔仕えた将軍足利義昭を殺せとはビックリしました、これでは信長か義昭かということになり、本能寺の変は不可避となる。「麒麟がくるー最終回」
 (思いつきまま記述したので、出来事順ではない)
 
 彼の中で、放伐の実施は、自分だけの判断だけでないという思いが芽生えたとしても不思議ではない。

 つまり、光秀にいわせれば、悪役非道を行い、人心が離れる信長に対して、麒麟の来る平和な世の中を治めるために、「放伐」を行ったのである。光秀の主殺しは、彼なりの「義」を重んじる結果であったのであろう。※
※戦国時代の争いはすべて孟子の説く「放伐」の実行であって、光秀が信長を殺したのも、家康が豊臣家を滅ぼしたのも、この放伐の論理によったものであるという。(徳川3代の人間学、童門冬二著、NHK出版)

 そこで、光秀は、信長討伐の公認そして信長後継者として、後付けであるが、朝廷の詔勅を得る必要があったのである。「本能寺の変」後に安土城に入り、4日間もそこにとどまったのは、信長の居城である安土城で勅使吉田兼見を迎える必要があったからといえる。この間に平定の軍備を整えるよりも、なによりも義という論理を重んじた結果、勅使を待った。しかし、そこへ秀吉の「中国大返し」による思いがけない急襲によって、光秀は敗れることになる。
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