元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

時間外労働制限・所定外労働免除は同様名であるが具体的には所定外が厳格<育児休業法>

2021-06-27 09:44:50 | 社会保険労務士
 短時間勤務労働者は例えば所定時間6時間の場合それ以上は労働できない 

 育児に関する法律(育児介護休業法)の支援施策として、同じような名称の「時間外労働の制限」と「所定外労働の免除」がある。これは対象となる労働者が請求すれば、それぞれの制度に応じて、労働時間の制限・免除がかかってくるものです。

 「時間外労働」は法定の時間外の意味であり、「所定外労働」は会社が就業規則等で決めた時間外のことであって、所定外労働といえどもほとんどの会社では、法律に違反しない範囲で時間外を最大限に行うことになるので、法律の定める週40時間・一日8時間を超える時間外労働と同じか、ほとんど同じ時間外労働となっている。言い換えれば、実際に就業規則で定める労働時間は、法定の労働時間にほとんど等しいものになってしまうのである。

 したがって、この「時間外労働の制限」と「所定外労働の免除」は、差があるのかと疑問に思う方もいると思う。もちろん、「時間外労働の制限」は「制限」であり、1か月24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできないというものであり、一方の「所定外労働の免除」は、免除であって、所定労働時間を超える時間外労働を一切行わせないというものです。

 しかし、短時間勤務労働者にとっては、「所定外労働の免除」は、こういったすぐに目に見える規制等以外に、「時間外労働の制限」とは違い、使用者にとって明らかに厳しいものがあるのです。例えば所定労働時間が6時間となっているものにとっては、所定外労働の制限は、6時間を超える2時間(合わせて法定の8時間まで)まで認められるのではなく、6時間(所定労働時間)を超えたら、ただちに労働が出来なくなるという点です。これでは、短時間労働者にとっては、要するに全く時間外労働が出来なくなってくることになります。短時間労働者にとっての所定労働時間というのは、当たり前ですが6時間となるのです。このように、時に今日は仕事が多いからといっても、短時間労働者を利用しての残業をさせることはできなくなるのです。(※1)

 それゆえにというのでしょうか、労働者の対象は、法定時間労働の制限については、小学校に入学するまでの年齢ですが、時間外労働の免除は、3歳までしか認められていません。(※2)

(※1)正規労働者にとっても、法定の労働時間と所定労働時間が全く同じ場合には、所定労働時間を超えた時には、労働をさせられなくなります。差がでるのは、所定労働時間が1日7時間となっているような場合であって、法定労働時間であれば、あと1時間は労働をさせられることになります。
(※2)どちらも「事業の正常な運営を妨げる場合」は使用者は請求を拒むことができます。また、継続雇用期間1年に満たない者等この制度の対象外となるものは、所定外労働の免除については、労使協定により対象外としなければならないところはありますが、所定外労働の制限と時間外労働の免除は労使協定によって対象外とすれば、ほとんど変わりないものとなります。
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36協定の代表は①全ての労働者の代表②民主的手続きによる③管理監督者でないこと

2021-06-21 18:57:22 | 社会保険労務士
 ①②③を満たさなければ36協定を労働基準監督署に届出をしても無効

 時間外労働の制限が罰則付きで厳しくなったが、これをクリアーするための前提として、いわゆる36協定を労働基準監督署に届けて、初めて時間外労働の命令は認められることになります。そして、この36協定は、過半数を占める労働組合がない事業場では、まず「過半数労働者の代表者」を選出しなければなりません。この選出をいいかんげんにしておくと、例えば、社長がかってに指名した者にするような方法では、いかに労働基準監督署に36協定を届け出ても、その届け出は無効となり、有効な届け出となりませんので気をつけなければなりません。

 この過半数の代表者は、次の3つを要件をクリアーしていなければなりません。
 ①パート、アルバイトさらに有期労働者や管理監督者・監視断続労働者の時間外等規制の対象外の者も含んだすべての労働者の過半数を代表していること
 ②労使協定の代表者の選出であることを明らかにした上で、すべての労働者が参加する「民主的な手続きにより選出された代表者」であること (労働基準法施行規則6条の2)
 ③選出される代表者自身は管理監督者ではないこと (   〃   )

 ここで確認ですが、①のすべての労働者の中には、管理監督者を含みます。すなわち、①の過半数 代表となる労働者の「母集団」の中には管理監督者はカウントしますが、③の選出される代表者には管理監督者は該当しないということです。また②の「民主的な手続き」とは、具体的には、投票、挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の当選を支持していることが明確になる民主的手続きをいうものとされています。

 実は、当該要件は、通達で定められていたとはいえ、以前は労働基準法自体に定められていませんでした。平成10年の改正により、労働基準法36条で省令に委任した上で、規則で②③はやっと規定されたものです。※1 この制定に前後して、過半数代表者の資格が問題となったトーコロ事件の判決があったのです。この事件は、役員をも含めた全従業員によって構成された親睦団体の代表者との間で、締結した36協定により残業命令を行ったというものです。裁判所は、この親睦団体は労働組合ではないし、親睦団体の代表者は、36協定の代表者として選出されたという事実もないとして、前述のような民主的に選出されたものではないとしました。
 そして、そんな資格に基づいた代表者による労使協定を作成した場合には、その作成手続きに瑕疵がありこの36協定は無効であり、労働者は時間外労働をする義務がないとされたものです。(最判平13・6・22労判808、東京高判平9・11・17労判 トーコロ事件)※2
 
 このように、当該裁判と前後して、その適正な手続きによることが労働基準法令の中に規定された経緯もあります。確認のため、3つの要件を今一度チェックしておきましょう。監督署が届け出を受理したからOKというのではありません。後から問題になって、適切な代表者の選考でなかった場合は、最高裁判例にあるように、労使協定は無効となり、労働者に時間外命令が出来ず、泣きを見るのは経営者なのです。

※1 ①の労働者とは、事業場のすべての労働者とされ、これは解釈によるものですが、事業場全体の意思が必要となるものであり除外規定もない以上当然のことと思われる。 
※それゆえ、労働者の残業拒否を理由とした解雇は、無効としたもの
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育児休業は女性に認められるものは男性にも認められる!!

2021-06-13 09:20:29 | 社会保険労務士
 育児休業の権利の主体である「労働者」については男女の区別はない

 育児休業にあっては、現在は、女性に認められている育児休業は男性に全く同じ権利が認められています。確かに、育児介護休業法の初めにおいては、妻が専業主婦である場合には、労使協定によって、夫側の育児休業は「対象外」とし、育児休業を認めなくてもよいとするようなことがありました。今はそのようなことはなく、女性に認められるものは男性にも全く同じ権利が認められています。

 法律的にいえば、育児介護休業法では、権利の主体は「労働者」として記述がされているものであって、そこに男女の区別はありません。

 最初から総括的に説明すれば、以前は、妻が専業主婦であるとか、配偶者が育児休業を取得しているなど「配偶者が常態として子を養育できる場合」には、労使協定によって、育児休業の対象外とすることができていました。しかし、平成22年6月以降は、この規定は除外されており、男女ともに同じ育児休業が認められるということなのです

 この議論を取り上げたのは、育児休業法は、頻繁に改正が行われて、労使双方に頭がついてきていないことが考えられるからです。何度も言いますが、現在は、男女ともに同じ権利があると考えたほうが良いと思われます。むしろ、育児休業に限っては、現実には男性のほうが取得することが少ないためか、妻の出産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合は、育児休業は原則1回ですが、特例として、再度の取得が可能となっています。※注1※ また、改正された育児休業法は、この出産後8週間以内に夫のみが計4週間分の休みを利用できる「出産時育児休業」(男性版産休)が新設(22年10月施行の予定)されたところです。※注2※  このように、男性のほうが育児休暇に関しては、その権利として取れる可能性が増えてきています。

 また、数年前に会社を訪問した時に、育児休業の規定がないところが見受けられました。このような会社では規定がないので、周知も行われ難く、男性の育児休業となると「男性の育休。そんなものはない。」となることも考えられます。会社に育児休業規定はあるなしにかかわらず、法律に規定があるものですから、男性の育休も当然認めなければなりません。

 再度、申し上げますが、育児休業は、女性に認められているものは、男性にも認められるのです。ここに、法律上、男女差はありません。※注3※

 ※注1※ 後述の「男性版産休」が規定された改正育児休業法では、男女ともに2回まで分割可能。
 ※注2※ もちろん出産後8週間というのは妻にとっては産後休暇を取る期間です。
 ※注3※ ただし、日々雇用や一定の有期契約労働者は、育児休業の除外はあり、労使協定により除外した一定のものについては、除外することは可能。これは、男女差によるものではありません。
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おかえりモネの早めの「人の役に立ちたい」(気象予報士)は東日本大震災の経験からか

2021-06-06 09:13:15 | 第2の人生・老後・趣味と勉強
 人生をなんとなく過ごしてきた自分 / 人生の目的・自分に合った何かを見つけるのは至難の業

 おかえりモネでは、東日本大震災の重い現実を、朝ドラにふさわしい形で主人公モネ=永浦百音(清原果邪)の一つのテーマとしている。モネは「ものおじ」しない性格の反面、なぜか人生を前に進めない、鬱積したものを持っていた。その謎が、先週のドラマ(5・31~6・4)の中で明かされた。

 モネは亀島(今は橋で繋がっているが当時船のみの往来、実際は気仙沼市大島のこと)に生まれ中学生の頃、積極的に吹奏楽部を作って活躍、両親の勧めもあり仙台の音楽科のある高校受験をしたが失敗、合格発表に付き添っていた父(内田聖陽)は学生によく行っていたジャズ喫茶に誘い食事をする、帰ろうとしていたその矢先にバンド演奏が始まりそのまま聞き入ってしまう。そして、大震災が起こり島に帰れなくなったモネは本土側の高台で島の火の手を見ることになる。数日後に帰島したモネは、悲惨な島の実態を見ることになり、そのとき、おばあちゃん永浦雅代(竹下景子、語り手)もなくなっていたのである。

 その体験があってモネは音楽は止めることになり、何をしたらいいのか分からなくなるようだ。内地の登米市で知り合いの新田サヤカ(夏木マリ)のつてを頼って森林組合で働きだしたモネは、その震災の体験からか「人のために役立ちたい」という思いを、いつしか持つようになる。しかし、人のためにという思いはあっても、具体的な方法性をつかめないモネ。里帰りした実家の妹=永浦未知(蒔田彩珠)の種かきの研究(海水温・風向きの情報が必要)や、その時森林組合に訪れた気象予報士朝岡覚(西島秀俊)の影響から気象予報士を目指すことになる。

 東日本大震災を経験したモネ。それゆえに、人生の進む道を早めに見つけたモネであるが、モネのように人生の目的を若い頃から見つけていくのは、あまりないようだ。夏木マリが番組宣伝で、自分の場合はなぜか人に誘われさそわれここまで来たが、やっとこの頃、自分にあったものを見つけたように思うと話していた。大多数の者にとってだれしもそうであろう。最後まで、人生の究極的なものについて、実際味わう感覚を持たないことで、事尽きる人もあろう。

 ある人に言わせると人生は、<自ら命を断たないで>最後まで生き切ることに意味があるそうだ。しかし、生き切るとはそんなに簡単ではないように思う。誰しもとことん落ち込むことはある。精神的に参ることは何度かあるだろう。そこを命尽きるまで生き切ることは至難の業だと思う。そんな中で、人生の中で何かを自分に合うものに出会えた者は、実に幸せものだと思う。

 私は父の勧めで、何も分からないまま、地方の公務員になった、そして、定年まで勤めた。はじめは、それこそ「みんなのために働く」という目的(確信的ものではない)があったように思う。しかし、その思いはあっても、自分に合った仕事が見つかるかは別である。というのも、事務職である地方公務員は数年ごとに職場が変わり職の内容も変わっていくので、これが自分に合った仕事といえるものは見つけられなかった。というより、見つけたと思っても次の職場に異動だったのである。定年後は、社労士関係の仕事をしばらくしたが、軌道に乗る前に、70歳で自発的に再定年を迎えた。結局、今までこれが自分の仕事だと胸を張れる仕事は見つかっていない。残り少ない人生でそんなものは見つかりそうもない。

 自分に合った仕事を持つことができた人は幸せである。今後のモネの気象予報士としての活躍、そしてそれが「人に役立つ」ことを期待している。

 そういえば、高校の頃「地学」(今はこの科目はないのでは?)が好きで岩石採集も行い、また宇宙に興味も持った。ある日の定期テストで「フェーン現象」の説明があり、その部分だけは満点を取ったことを覚えている。昔は気象予報士という言葉もなく、今一つの職業・資格となっている気象予報士であるが、これが自分の興味の向くところであったことは間違いない。その意味で、気象予報士にあこがれる者の一人として、おかえり「モネ」の今後の展開に期待したい。
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