元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

自宅の車に乗ろうとしての事故、労災として認められる?

2011-05-10 04:57:51 | 社会保険労務士
 職場で実際に起きたケガの例ですが・・・<職場の事例(労災)> 

1 私が総務課長であった、ある職場の話です。ある係長さんが、指にけがをして、病院にいったら、労災と思われるので、手続してもらったらといわれたと、診療を終えて帰ってきました。聞いてみると、朝職場に行こうと出かけようとしたのはいいのですが、自宅の車庫の車に乗ろうとして、ドアーの開閉の際に指をひっかけたとのことで、結構,相当なケガをされていました。
 
2 労災の通勤災害は、前回のコンビニの買い物で話したように、住居と就業場所の間の往復移動中の事故であることが必要です。労災の通知では、「不特定多数の者の通行を予定している場所」を通勤途上であるとしておりますので、一戸建ての住居の玄関先における事故は、住居内の災害であって、通勤途上ではないとしております。まだ自宅の中での事故だとして扱うというわけです。
 係長さんの事故も、あいにく、このケースに該当することになり、認められません。

3 病院のことを悪くいうわけではありません。私、医療事務も8年間しておりましたので、理解はしているのですが、医療事務は、診療行為に対する、医療保険としての収入計算をすることが仕事ですので、収入の計算が間違っては大変です。特に少なく計算すると、本来もらえる収入が減ることになりますので、病院の収益に響きます。正確をもっとうに、日夜努力を重ねているのが医療事務の仕事をする者の心がけです。(医療事務の仕事をしている方は、私みたいにこんなに理解している上司を持てば幸せでしょう。)

4 そこで、労災の場合は、診療の収入の計算単価が、健康保険扱いより高いのです。その計算は、診療行為ごとに点数が決められ、その点数の総計で計算し、金額に直しますが、その単価としての1点は、健康保険は10円ですが、労災の場合は12円(非課税の病院は11・5円)として計算します。ほかにも初診料や再診料、諸管理料が高く設定されております。この理由は、労災独自の特殊性で説明されておりますが、ここのところは、(財)労災情報センターのHPに詳しく載っていますので、そこに譲ります。言いたかったのは、健康保険扱いと労災認定だと収入が大きく違うということなんです。病院の職員が、まさか健康保険で受診すべきであると思っていたのに、労災であると言ったとは思えませんが、労災であってほしいというのは、そういった医療事務の立場からは、さもありなん、同じ医療事務をやっていた私としては、分からなくはありません。                     

(ただし、誤解のないように、言っておきますが、このため、労災と認定する場合については、通知で細かく決められており、恣意的に労災か否かを決めることは、できません。あくまで、最後は、請求した書類により、労働基準監督署が判断し認定します。)
 
4 最後に、一戸建てではなく、2階アパートに行くところの階段で転倒した場合は、どうなんだということですが、もう一度、2をご覧ください。「不特定多数の者の通行の場所」が通勤途上ですので、アパートの階段は、この不特定多数の通行の場所となりますので、労災として認められます。アパートでは、玄関ドアーを出たところから、通勤途上というわけです。

  

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする