元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

加給年金は年金の「扶養手当」の名残!!

2015-01-26 04:39:39 | 社会保険労務士
今回は、昭和24年4月2日から昭和28年4月1日生まれの男性の65歳になる年金を考えます。<加給年金は年の差婚が有利?!> 

 今年度(2014年度=平成26年度、今書いているのは27年1月26日)といってもすでに終わりに差し掛かっていますので、もっと範囲を広げて来年度(2015年度、平成27年度)にも65歳(男性)になる人は、やっと満額の年金額がもらえることになります。私も、そんな年代に生まれましたので、この年代生まれの人に、焦点を当ててみたいと思います。さらに、この時代としては、一般的であった、夫が働き、妻が専業主婦ということをイメージしてみていただきたいと思います。(逆の場合も、置き換えて考えられますので念のため)

 
 勤めていて厚生年金に加入していた人で、生年月日が昭和24年4月2日から昭和28年4月1日の人(男性)は(この年代の人が今65歳になる頃です)、特別支給の厚生年金が60歳から年金がもらえるというものの、定額部分の年金はなくなって報酬比例の年金しかもらえていませんでした。それが、やっとのことで、65歳からは、国民共通の基礎年金としての国民年金が、定額部分として支給されて、さらに今までもらっていた報酬比例部分としての厚生年金が加わって、完全な形での年金が支給されるというわけです。基本的な支給額は(40年間働いたのを前提)、夫が厚生年金・国民年金併せて20万円程度、妻の国民年金(基礎年金)を合せて24万前後といわれています。

 これに加えて、妻が年下であれば、妻が65歳になるまでその間、加給年金が支給されます。これは、この時代の人のなごりで、いわゆる年金の「扶養手当」というもので、妻が専業主婦等(というのは、20年以上厚生年金に加入していないのも含む)であれば、支給されるというものですが、夫の方にも条件があって、20年以上厚生年金に加入しているということになっています。我々昔の人間は普通に働いていれば、脱サラという選択肢もあった時代ですがそれがなければ、20年の継続勤務は当たり前の時代ですので、もらえる方が多いと思われます。

 厚生年金は一般的に報酬比例というわけで給料額相当の納めた額に応じて支給されますが、この加給年金は、夫の生年月日に応じた定額が補償される形ですので、昔の給料額には影響しない、あまり厚生年金を納めていない方でも、生年が同じであれば、同じ額(今年度・来年度に65歳になる方で現在額にして386,400円)が支給されます。

 妻が年下であれば、ということを申し上げましたが、夫が65歳になっても、妻がまだ65歳に達していなければ、という形で、支給されます。私事で恐縮ですが、私共夫婦は同級生同士の結婚です。同じ年ですが、私の方が何か月か年上で、私が65歳になってこれがもらえる期間は、その数か月間だけです。

 これが、今はやりの年の差夫婦で、働いている夫の方が年上であれば、その年の差だけ、この加給年金が支給されることになります。それならと、今から年の差婚を考えても遅くて、将来的には、政府が女性の雇用の場を作っている現状において、扶養手当の名残であるこの制度が続くとは考えられません。この制度は「扶養手当」のあった今の65歳になる世代に適用される年金でして、今の現役世代が年金をもらえる世代には、税金面で配偶者控除の改正が取りだたされているように、新しい制度の年金が考えられていると思われます。

 妻が年下の場合だけ支給されるというのは、不公平ではないかという批判があがりそうですが、これは妻に年金が支給されていない間に支給されるもので、妻が65歳になると妻自体にに国民年金の受給権が発生することになります。さらに、この国民年金に「振替加算」として、加給年金額全額ではありませんが、一部が振り替えられて支給されるのですから、どちらがいいとはいえません。
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遺族厚生年金は妻本人の老齢厚生年金を必ず受給し、残りの額が支払われる。<その取扱いの理由?>

2015-01-18 17:54:01 | 社会保険労務士
 老齢に関する公的年金は課税、遺族厚生年金は非課税<予算獲得のうら>

  会社に勤めていた老齢厚生年金の夫が亡くなり、妻が残されました。妻も昔勤めていた時代があり、妻が65歳になったとき、妻は老齢厚生年金ももらえる資格があります。遺族厚生年金は、この場合、どんなもらい方になるのでしょうか。65歳からの遺族厚生年金は、次の2つの場合を比較して、高い方の額をもらうことになります。 
 1、「死亡した夫の老齢厚生年金の4分の3」
 2、「死亡した夫の老齢厚生年金の2分の1」と「妻本人の老齢厚生年金(子の加給年金額を除く)の額の2分の1」

 1は、夫の老齢厚生年金の額の全体の「4分の3」までもらえる形です。2は、妻自身も老齢厚生年金ももらえるため、その額の半分と、夫の老齢厚生年金の半分を、足した額をもらうという方法です。

 例えば、夫の老齢厚生年金(報酬比例)が120万円とすると、1の場合は、120万円×3/4=90万円となります。一方、2では、妻自身の老齢厚生年金(報酬比例)は、40万円だとすると、その半分の20万円と夫の年金額120万円の半分の60万円を足すことになり、80万円の額になります。1の方が高いため、90万円を妻は受給することになります。

 ここからが面白いところで、従来は90万円の額をそのまま遺族厚生年金として受け取っていました。現在は、90万円全額を、遺族厚生年金として受け取るのではなく、90万円のうち、妻本人の老齢厚生年金として、40万円は必ず支給されることになり、遺族厚生年金としての受給額は、90万円からこの妻自身の老齢厚生年金40万円を差し引いた50万円しかもらえません。しかし、このもらえる妻本人の老齢厚生年金40万円と遺族厚生年金の50万円を足すと、90万円もらえることには変わりはないのです。出すところの年金の種類が違うだけの話しです。平成19年4月からの改正でこのようになりました。必ず本人の働いた分の年金・老齢厚生年金としてもらってくれというわけです。

 厚生労働省の言い分としては、自分の年金はちゃんと全額を自分でもらった方がいいのでということを説明しました。しかし、どうも腑に落ちません。面倒な計算をして、こちらは遺族年金、こちらは妻の働いた分の妻自身の老齢厚生年金というのは、計算上の問題で、2つに分けることに意味があるとは思いません。額には変わりないのです。国の予算措置額としては同じことなのです。

 その辺の事情に詳しい人の説明では、これは、税金上の扱いの違いですよと言う。確かに、遺族年金としてもらえば非課税であるが、老齢年金としてもらえば、課税されるのである。財政健全化を図っている国としては、収入面でプラスに働くことは間違いない。どうしてわざわざ本人の老齢厚生年金を計算して、遺族厚生年金を老齢厚生年金に振り替えるのかという本当のところは、分からないが、事実として老齢年金は課税されるのである。予算財源のない国としては、そんな措置を取らざるを得ないことも考えられるかも知れません。税金を取る財務省・国税庁と年金を出す厚生労働省は、別でしょうという意見もあるが、予算折衝の面では敵味方になる両者であるが、予算獲得の面では、あくまでも推測であるが厚生労働省が配慮したということも考えられなくもない。もっと考えれば、予算折衝の面で予算を獲得の手段として、厚生労働省がその財源を予算確保の取引材料にしたこともあるかも知れないというのである。

 そういえば、思い出すことがある。某県職員として勤務していた時代のこと、病院事業にかかわっていたことがある。その時、予算獲得折衝のとき、財政担当から病院の診断書等の手数料をあげないかと持ちかけられたことがある。病院の診断書等の手数料は、手数料等条例によって決まっている。その手数料をあげないかと言われた。九州各県の手数料の診断書等の状況を調べたが、当県より高いと所はあまり見当たらないので、上げないことを財政担当に伝えたが、その時の財政担当の反応はあまりよくなかったのである。しかし、病院事業会計を預かっている自分としては、病院の診断書の料金をあげるという誰でもかかる病院の料金が上がるというこをを見過ごすことには、合理的な理由がない限りできないのである。その後の病院事業の予算獲得折衝にあまり良くない影響が出たとは、考えたくもないのであるが、財政担当者の心証を悪くしたことは間違いない。
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父子家庭にみる遺族年金の取り扱いについて<遺族厚生年金はもらう機会は少ない>

2015-01-12 18:34:00 | 社会保険労務士
 遺族基礎年金は、子のある妻から、子のある配偶者へ、これに伴う遺族厚生年金の改正もあるのはあるが・・・(平成26年4月改正)

 公的な遺族年金は、国民年金としての遺族基礎年金と厚生年金としての遺族厚生年金に分かれるが、遺族基礎年金は、もらえる対象となるのが限られていて、子のある妻(又は親が両方とも亡くなった場合等の「子」)にしか、もらえなかった。この、ほとんど母子家庭しか支給されなかった遺族基礎年金であるが、平成26年4月からは、「子のある妻」から「子のある配偶者」へ支給対象が拡大され、ようやく父子家庭にも支給されることになった。社会的には、女性の方が不公平な制度が多いのであるが、夫婦のどちらかが死亡して子供がいた場合には、いわゆる母子家庭の方が制度の面で優遇されているような感があった年金制度であるが、やっと年金についても父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるようになった。

 とは、子供が18歳を迎えての年度末(3月31日)まで、すなわち高校に通っているとすればその卒業まで支給される。また障害年金の1級・2級相当であれば20歳まで支給されることになる。

 ところで、厚生年金の遺族厚生年金の場合は、この母子・父子家庭については、どうであろうか。さすがにこの場合は、子のあることが条件とはなっていないので、子が既に「大人」になっていても、受給できることになる。しかし、遺族厚生年金を受けられる妻・夫について言えば、夫が死亡の場合は、その時に妻が何歳であっても受給できるが、逆に妻が死亡の場合の夫の場合は、妻の死亡時、夫が55歳以上になっていなけれならないことになっている。従来は、さらに55歳で受給権を得ても、60歳までは支給停止で、60歳まで待たなければ支給されなかった。

 遺族基礎年金で父子家庭にも支給されるのに伴って、平成26年4月から遺族厚生年金が改正になった部分は、「夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、60歳までの支給停止はなくなった点」で、55歳からすぐに遺族厚生年金が支給されることになった。ああよかったねとなるところであるが、夫は遺族基礎年金をもらう権利がなければならないとの条件が付くので、前に述べたように、子のある夫でなければならないことになり、18歳までの子、伸びても20歳までの子がなければならないことになる。55歳になって、18歳・20歳の子がいるところは、最近では晩婚となり多くはなったというものの、大半はすでに18歳を迎えて高校を卒業してしまっていることになるので、遺族基礎年金を受給できる機会は少ない。

 よって、せっかく、遺族基礎年金がもらえる夫については、遺族厚生年金について55歳からの支給になったからといって、この改正で救わえる者は、すくないと考えられる。今では大学進学や高校を卒業して専門学校を通うことを考えると、子の18歳までの年齢制限にも問題があるように思われる。遺族厚生年金については、妻には年齢の制約が付いていないにも関わらず、55歳の夫という年齢制限がある以上、この「夫」の取り扱いは、必ずしも喜んではいられないのである。(ただし、子には支給されるので、念のため)

 ちなみに、遺族基礎年金は、配偶者に772,800円に子が2人まで222,400円ずつの加算がつき3人目からは74,100円の加算となる。また、遺族厚生年金の場合は、おおまかにであるが、概略、死亡した配偶者のもらえる厚生年金額の3/4が支給されることになる。(H27.1現在の数字)
/ ⇔記事終了⇒以下は投稿者への回答↓/
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<投稿者への回答⇒投稿内容は当該回答の最後>なお投稿時点はH29.7月です(←年齢計算等があるため記す)
 父子家庭の遺族厚生年金についてお尋ねですが、死亡した妻の「要件」の話のようです。おおざっぱにいえば、民間の保険と同じように、1番目には厚生年金の被保険者(妻)の死亡=妻の在職中の死亡 であればOKですが、結婚して3号になっているのでこれは無理です。それではと用意されているのが2番目に、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者(妻)の死亡ということが考えられます。老齢厚生年金の受給資格期間を満たすとは、結局のところ、国民年金の受給資格期間を満たして、かつ厚生年金期間が少しでもあればいいということになり、保険料納付済+免除等+合算対象期間(=国民年金の受給資格期間)が25年以上あり(最近10年でも国民年金の受給資格可能とされましたが、この場合の遺族年金の場合は今までどおり25年以上ないとダメ)かつ厚生年金期間があることが条件となります。
 3番目は、老齢年金の受給権者(妻)、すなわち老齢年金をすでにもらっている人の死亡ですが、妻の年齢にもよりますが65歳からでないともらえる資格がないのでこれも無理ですし、後は、障害厚生年金1・2級の受給者(妻)の死亡や厚生年金の被保険者期間中(在職中)に初診日があって辞めて初診日から5年以内の(妻の)死亡とかがありますが、これは文章の中にでてきていませんので、これら3番目以降は考えませんでした。となりますと、2番目の保険料納付済+免除等+合算対象期間(=国民年金の受給資格期間)が25年以上あり、かつ厚生年金期間が少しでもあることが条件となります。<質問の年金事務所でいわれたのは、同様の事だったのでしょうか>
 そこで、これに当てはめますと、免除等は年金の不払いはないとされていますので、これはオミットしまして、保険料納付済み+合算対象期間(合算対象期間は俗にカラ期間という)となりますが、(妻の)3号期間は夫の保険料から支払ったことに制度上なっていますので、3号全体が保険料納付済み期間です。問題は (妻の)JAに勤めていた2号期間ですが、20歳前から働いていたとすると、この2号期間は20歳から60歳までという条件がありますので、2号期間自体は20歳からカウントします。しかし、20歳前の働いていた期間は合算対象期間となりますので、結局JAの働いていた期間は、保険料納付済み期間か合算対象期間としてカウントします。どちらでカウントするかの問題となり、保険料納付済み+合算対象期間=?においては答えは変わりません。結局、保険料納付済み+合算対象期間=3号期間(=結婚してからの期間)と合算対象期間を含めた2号期間(=JAに勤めた期間)の合計ということとなり、これが25年以上かどうかということになります。つまりは、妻がいつから働きいつまで働き、いつから結婚していつ死亡したかという、これらの期間をカウントして、25年以上かどうかをみることになります。あなたは、43歳で高校卒業後(18歳でしょうか)働いたとすると、ちょうど25年働いたことになりますので、妻も同じような年齢だとぎりぎりということになりますね。
 ただし、これで要件を満たした場合、遺族厚生年金の額は、定額ではなく報酬比例分ですので(JAに勤めていた頃の給与等に応じて)、妻の給料それ相応の額として計算されますので、念のため。
 いずれにしても、質問の内容からすると、年金事務所に年金の申請はされたようですので、上記の妻が働いた期間と結婚してから期間がちゃんと記載されていれば、遺族厚生年金が出るか否かは、確実に計算されると思われますので、年金事務所からの通知を待たれたらどうでしょうか。
 付け加えますと、遺族厚生年金が支給されるとした場合には(父子家庭の父が55歳未満のとき)、当記事の本文から分かるように、遺族基礎年金は父に支給され、遺族厚生年金は子に支給される(支給対象者に子がいるので子には支給される。父55歳未満には支給されません)ことになります。

 <投稿内容・主旨のみ> 父子家庭です。先日年金事務所に出向いたところ遺族基礎年金は振り込まれるでしょうが遺族厚生年金は支払わられないでしょうと言われました。理由を聞いたところ遺族厚生年金を貰うには25年間年金を支払っていないといけないと言われました。
 当方43歳、中学生の子供一人。高校卒業後サラリーマンでずっと年金を支払っておりに妻は20年前に結婚。それ以降ずっと妻は3号被保険者でした。そして2年前に他界してしまいました。ちなみに年金の不払いはありません。妻も結婚する前はJAに正社員として働いていました。やはり、遺族厚生年金は払われないものなのでしょうか?
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