休息時間は睡眠だけでなく生活・通勤時間や勤務実態等に合わせて一定の時間を設定
改正<*1>された労働時間等の設定に関する特例措置法(以下「労働時間等設定改善法」といいます。)により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務<*2>として設定されました。 大まかにいうと、勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、次の勤務までの間に、睡眠等の時間のため一定の休息時間を確保するための制度です。よく、仕事が忙しくなると、深夜まで働き翌朝いつものように出社して働くことがありますが、これでは十分寝る時間もなく、次に日の仕事の状態に影響してきますので、これを避ける制度といえます。
具体的には、労働時間等設定改善法第2条で、事業主が努力しなければならないものとして、労働時間の始業・終業時間の時刻の設定、年休を取得しやすい環境整備の他に、今回、「健康及び福祉を確保するため 必要な終業から始業までの時間 の設定」(勤務間インターバル制度)という項目が設けられ、事業主はこれらに関し必要な措置を講じるよう努めなければならないとされています。これによって、大臣の定めである労働時間等設定改善指針(以下「指針」という。)が出されていますが、勤務間インターバルについては、次のようにも述べられています。
勤務間インターバル(前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定の「休息」を確保することをいう。以下同じ)は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効であることから、その導入に努めること。なお、当該一定時間を設定するに際しては、労働者の通勤時間、交替制勤務等の勤務形態や勤務実態等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実効性のある休息が確保されるよう配慮すること <*3>
この指針では、「休息」とは、前日の終業時間と翌日の始業時間の間のことをいうことになり、勤務
間インターバル制度とは言いかえると、前日と当日の勤務時間の間に、全く働いていない時間であるこの「休息」時間を設けることと言えます。そして、この休息時間の設定に当っては、次の事を十分考慮することになっています。
〇労働者の生活時間 〇労働者の睡眠時間 〇労働者の通勤時間 〇交替制勤務等の勤務時間や勤務実態
なお、次のような特別の事情が生じた場合の適用除外規定を設けることも可能です。
〇重大なクレーム(品質問題。納入不良等)
〇納期のひっ迫、取引先の事情による納期前倒し
〇突発的な設備のトラブル
〇予算、決算、資金調達等
〇海外との現地時間に対応するための電話・テレビ会議
〇災害等避けることのできない事由(労基法33条の内容)によっての臨時の必要
この制度は従業員あっての健康・福祉のための制度ですので、従業員と十分話し合って決めることが必要です。また、勤務間インターバル制度は、労働時間の始業・終業に関することでもあるので、就業規則の絶対的記載事項です。また、必要に応じて、制度の申請手続きや勤務時間の取り扱いなどについても、就業規則の整備を行う必要があります。
前段の話で、就業規則に関して「勤務時間の取り扱い」の話がありましたが、例えば休息時間を11時間設けるとした場合に、残業を23時までした場合に、翌日の勤務開始は、10時からとなります。通常の開始時刻を8時とした場合には、この通常労働開始8時から当日開始時刻10時までの働いていない時間の2時間をどうするかが問題となります。余裕のある会社等の場合は、この時間を働いていた時間とみなすことのよって、この日の終了時間も通常の終了時刻と同じ17時とすることができます。
しかし、10時から働きはじめるわけだから、終了時間をそのまま2時間繰り下げて定時の17時ではなく19時とすることも可能です。この場合は、この日の残業はしない等の歯止めが必要となるわけですが・・・・。
<*1>2019年4月施行
<*2>努力義務ですので、今のところ罰則等の規定はありません。働き方改革に対応して、企業の努力をお願いするということでしょう。
<*3>同指針では、一定時間以降の残業を禁止し、やむえない場合に朝方に働くことについて、勤務間インターバルと同様の効果あるとしている。
改正<*1>された労働時間等の設定に関する特例措置法(以下「労働時間等設定改善法」といいます。)により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務<*2>として設定されました。 大まかにいうと、勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、次の勤務までの間に、睡眠等の時間のため一定の休息時間を確保するための制度です。よく、仕事が忙しくなると、深夜まで働き翌朝いつものように出社して働くことがありますが、これでは十分寝る時間もなく、次に日の仕事の状態に影響してきますので、これを避ける制度といえます。
具体的には、労働時間等設定改善法第2条で、事業主が努力しなければならないものとして、労働時間の始業・終業時間の時刻の設定、年休を取得しやすい環境整備の他に、今回、「健康及び福祉を確保するため 必要な終業から始業までの時間 の設定」(勤務間インターバル制度)という項目が設けられ、事業主はこれらに関し必要な措置を講じるよう努めなければならないとされています。これによって、大臣の定めである労働時間等設定改善指針(以下「指針」という。)が出されていますが、勤務間インターバルについては、次のようにも述べられています。
勤務間インターバル(前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定の「休息」を確保することをいう。以下同じ)は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効であることから、その導入に努めること。なお、当該一定時間を設定するに際しては、労働者の通勤時間、交替制勤務等の勤務形態や勤務実態等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実効性のある休息が確保されるよう配慮すること <*3>
この指針では、「休息」とは、前日の終業時間と翌日の始業時間の間のことをいうことになり、勤務
間インターバル制度とは言いかえると、前日と当日の勤務時間の間に、全く働いていない時間であるこの「休息」時間を設けることと言えます。そして、この休息時間の設定に当っては、次の事を十分考慮することになっています。
〇労働者の生活時間 〇労働者の睡眠時間 〇労働者の通勤時間 〇交替制勤務等の勤務時間や勤務実態
なお、次のような特別の事情が生じた場合の適用除外規定を設けることも可能です。
〇重大なクレーム(品質問題。納入不良等)
〇納期のひっ迫、取引先の事情による納期前倒し
〇突発的な設備のトラブル
〇予算、決算、資金調達等
〇海外との現地時間に対応するための電話・テレビ会議
〇災害等避けることのできない事由(労基法33条の内容)によっての臨時の必要
この制度は従業員あっての健康・福祉のための制度ですので、従業員と十分話し合って決めることが必要です。また、勤務間インターバル制度は、労働時間の始業・終業に関することでもあるので、就業規則の絶対的記載事項です。また、必要に応じて、制度の申請手続きや勤務時間の取り扱いなどについても、就業規則の整備を行う必要があります。
前段の話で、就業規則に関して「勤務時間の取り扱い」の話がありましたが、例えば休息時間を11時間設けるとした場合に、残業を23時までした場合に、翌日の勤務開始は、10時からとなります。通常の開始時刻を8時とした場合には、この通常労働開始8時から当日開始時刻10時までの働いていない時間の2時間をどうするかが問題となります。余裕のある会社等の場合は、この時間を働いていた時間とみなすことのよって、この日の終了時間も通常の終了時刻と同じ17時とすることができます。
しかし、10時から働きはじめるわけだから、終了時間をそのまま2時間繰り下げて定時の17時ではなく19時とすることも可能です。この場合は、この日の残業はしない等の歯止めが必要となるわけですが・・・・。
<*1>2019年4月施行
<*2>努力義務ですので、今のところ罰則等の規定はありません。働き方改革に対応して、企業の努力をお願いするということでしょう。
<*3>同指針では、一定時間以降の残業を禁止し、やむえない場合に朝方に働くことについて、勤務間インターバルと同様の効果あるとしている。