元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

公的年金の26年度改正は利用者からの不合理との不満が解消されました!!(NO.2)

2014-08-31 18:09:51 | 社会保険労務士
 利用者本人にとって将に切実な問題の解消がなされました!!  <第2回>

6 特別支給の老齢厚生年金の支給開始にかかる障害特例の取り扱いの改善について
 障害等級の1級から3級に該当している者は、本人からの請求に基づいて、請求の翌月から特別支給の定額部分が、報酬比例部分に併せて、支給される。もともと報酬比例部分しか一般の人には支給されなくなっているところ、障害者にあっては定額部分も支給しているものですが、支給に当たっては、請求日以降しか認めていなかったのですが、これが障害状態にあると判断されるまでに、さかのぼって支給するものです。これも、請求がないから、しめしめではなく、理にかなった措置です。

7 未支給年金の請求範囲の拡大について
 これは、別途説明したところですが⇒⇒ <⇒未支給年金の請求範囲の拡大 へ> 未支給年金を請求できる遺族の範囲が「請求を同じくする2親等以内の親族」から「請求を同じくする3親等以内の親族」(甥、姪、子の配偶者等)に拡大されました。

8 免除期間に対する保険料の取り扱いの改善
 従来は、保険料を前納した場合に、後から納付の免除を受けた時には、免除期間の保険料は戻ってきませんでした。これでは、前納することに二の足を踏まざるを得ませんので、保険料の還付を受けることができることになりました。また、遡及して法定免除に該当した場合には、前述のとおり保険料の還付ができますが、さらには、還付を受けずにその分の保険料を納めた期間のままとすることもできるとされました。保険料を納めることにより、年金の増額等に資することができるというわけです。

9 保険料免除の遡及期間の見直しについて
 国民年金の保険料免除期間の遡及は、従来は直近の7月までしかさかのぼれませんでした。保険料等の時効が2年であることからいって、バランスに欠く措置であると言わざるを得ませんでしたので、改正後は、保険料納付が可能である2年分まで遡及して免除を受けることができます。

10 付加保険料の納付期間の延長
 付加保険料については、改正前は、翌月末の納付期限までに納付しなかった時には、納付を辞退したものをみなすとされていましたが、改正後は保険料と同じく、過去2年分にさかのぼって納付することができます。

 以上のように、今まで、利用者からおかしいと言われていた問題<将に利用者にとって本人にとっては切実な問題があります>については、ほとんどが解消されています

<⇒第1回 1~5へ>

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編 
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公的年金の26年度改正は利用者からの不合理との不満が解消されました!!

2014-08-22 18:16:24 | 社会保険労務士
 利用者本人にとって将に切実な問題の解消がなされました!!

 平成26年4月1日からの年金改正については、今まで被保険者及び受給者(利用者)にとって、不合理と考えられていたようなものがほとんど改正されたような気がしています。というのも、ちゃんと制度を整えて、保険料の未納付の解消に役立てようとの政府の意図が感じられます。一つひとつの改正点を見ていきます。

 1、産休期間中の保険料の免除
  育児休業期間中については、保険料の免除を認めながら、その前から制度としてある産前産後休暇期間中については、認めていなかったものです。これこそ、育児休暇法と労働基準法という、よって立つ法律が違うというものの、バランスに欠く措置でした。厚生年金保険料・健康保険料と共に事業主の申し出により免除となります。

 2.遺族基礎年金の父子家庭への支給
 遺族基礎年金は、死亡した者に生計を維持されていた「子のある妻」または「子」に支給されていましたので、いわゆる寡婦の家庭に支給されていたものです。父子家庭には適用されていませんでした。これも公正性を欠くものです。そこで、「子のある父」にも支給されることになりました。

 3.70歳繰り下げ支給の取り扱いの改善
 70歳に達した後に繰り下げ支給の申し出を行ったときは、もともと65歳でもらえる年金は、最大限70歳までしか繰り下げはできませんが、その70歳時点ではなく70歳以降の申し出のあった月の翌月からの年金しか支給されないものでした。70歳までしか繰り下げをできないにも関わらず、70歳時点での繰り下げ支給の申し出を行わなかったのをいいことに、70歳からの支給はせずに、それ以降の申し出からしか支給しないという、しめしめとしか言いようのない制度でした。そこで、改正により、70歳時点で申し出があったとみなし、繰り下げの申し出を行うまでの期間の給付も行うものです。

 4.国民年金の任意加入者の未納付期間の合算対象期間への参入
 任意加入者は、年金額を増やすとか受給資格の取得のため、加入するのですが、加入したがために、何らかの理由で納めなかった場合は、「未納期間」と扱われていました。未納期間と扱われば、たとえば障害になって障害年金を受けたくても、未納期間が多ければ受けられないことになります。そこで、この期間を「合算対象期間」としました。これで、少なくとも「年金受給資格」の制限は、問題なくなります。

 5.障害年金の額改定にかかる待機期間の一部緩和
 障害年金の受給者の障害が悪化した場合の、額の改定請求について、新規に障害年金を受給権を取得した日から、あるいは、一度審査を受けた日から、一年を経たない場合は、改定請求はできないとされていました。ところが病名によっては、一年を待つずに悪化する場合もあり得ます。そこで、程度が悪化した場合が明らかである場合は、一年を待たなくても年金額の改定請求が可能となりました。
 その他、別途説明した、未支給年金の請求範囲の拡大など次回でさらに項目を追って紹介していきますが、今まで、利用者からおかしいと言われていた問題=将に利用者にとって本人にとっては切実な問題があります=については、ほとんどが解消されています。<次回へ続く>

<⇒次回 6~ へ>

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
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H26年度に60歳になる方は、厚生年金23年で年金の受給資格期間を満たします!!

2014-08-17 18:26:57 | 社会保険労務士<後見人>
 平成27年度に60歳になる方は、厚生年金の被保険者期間24年で受給資格期間を満たしますが・・・

 公的年金の老齢年金の受給資格要件として、受給資格期間があります。これには、保険料を納付した期間「保険料納付期間」だけではなく、生活が苦しくて納められない方等納付の免除を受ける期間「納付免除期間」も合計することにより、この期間が原則25年以上あった場合に、受給資格の期間が得られることとなります。さらに、これで25年にならなかった場合は、さらに、サラリーマンの妻が平成61年3月までは加入が強制ではなかったためにその期間を加えることができるなど、事項が多くてここで説明できませんが、「合算対象期間」(いわゆるカラ期間)を加えることができます。受給資格期間には加えることはできますが、もらえる年金の額には影響はないため、カラ期間と言っています。

 ところで、平成26年度に60歳になる方は、特例の報酬比例部分の厚生年金(定額部分は既に平成24年度から支給されなくなっていますので、今では報酬比例部分だけの「部分年金」の支給となっています。)の支給が、男性の場合は、60歳からではなく61歳からになってしまっています。その前の年度、すなわち、平成25年度に60歳を迎えた方からすでに61歳からしか特例の報酬比例部分の厚生年金が支給されなくなっています。誕生日で言うと昭和28年4月2日から昭和30年4月1日生まれの方は、男性の場合はすでに61歳からの部分年金の受け取りになっているのです。ただし、女性の場合は、60歳からの支給が61歳になるのは、5年遅れになりますから、平成30年度からになります。

 しかしながら、平成26年度に60歳を迎える方、すなわち昭和29年4月2日から昭和30年4月1日生まれの方は、まだ、一般にはないお得な受給資格期間があります。それは、厚生年金の期間が長かった人は、厚生年金の期間だけで25年ではなく、23年以上で年金が支給されます。これも平成27年度に60歳を迎える方、すなわち昭和30年4月2日から昭和31年4月2日の生まれの方は、厚生年金の被保険者期間が24年以上となり、次の年度には25年となり、一般と同じになってしまいます。

 これは、昭和61年4月1日から基礎年金である国民年金の一階部分に厚生年金という2階部分が一緒になりましたが、それまで厚生年金の受給期間は20年であったため、基礎年金の25年に合せるため、昭和61年4月1日時点で30歳になっている人には、特例措置があったのです。すでに今説明のように、それもなくなってきており、これが平成26年度・27年度に60歳を迎える方で終わりになっているというわけです。

 これとは別にこの受給資格期間が、平成27年10月から25年から10年になる予定です。これは、25年に足りなくて将来の年金がもらえなくなることを防ぐために喜ばしいことではありますが、その財源として消費税の10%の導入とセットになっているため、今後の政治の判断が待たれるところです。

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
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死亡の場合年金には必ず未払いが発生!!

2014-08-09 11:18:40 | 後見人制度<社労士>
 年金未払いの請求できる者が拡大されましたので、必ず受け取りましょう!!

 年金受給者が亡くなった場合は、必ずまだ支給していない年金が発生します。年金を受給している方は、2か月分をもらっていることには、当然気がついていると思いますが、その時支給されている分は、その前月までの2か月分であることには、あまり考えていない方も多いと思われます。年金は本人が生きている間、支給されるのに対して、年金の支給は後払いのため、本人が死亡してから、必ず未支給の年金が発生することになります。

 具体的には、年金の支給は、2月、4月、6月、10月、12月のそれぞれ15日に、年6回に分けて、その前月までの2か月分(年金額の6分の1)が支給されるため、2月15日の支給は、12月・1月の分(=生存期間)が支給されます。4月15日の支給は、2月・3月分が支給されますし、そのあとの6月15日支払いも同様です。仮に、年金受給者が12月に亡くなった場合は、12月分まで支給され、これは12月1日に亡くなった場合であろうと、12月31日に亡くなった場合であろうと、12月まで支給されるのは同じです。そこで、12月の死亡の場合は、今の理屈で行くと、死亡後の2月の支給のときに、12月分の1か月が支給されることになります。ただし、こういった死亡の場合は、2月の支給日15日を待たずに、早めに支給されるようになっております。1月に亡くなった場合は、12月・1月が未支給となるため、この2か月分が支給されます。このように、理論上、実務上も、後払いのため、本人が死亡の場合は、必ず未支給の年金が発生することになっているのです。

 この未支給の年金については、請求しなければもらえません。(死亡届を家族の方が窓口に出されるので、その時に未支給の年金があるからと言って、窓口で請求するように促されますので、普通は請求もれはそう多くはないはずですが・・・。※1 よけいなことですが、新聞等で話題になった故意に死亡届を出さずに年金を受給するのは論外です。)

 この請求できる者が、平成26年の4月から、拡充されております。今までは、死亡された年金受給者と生計を同じくしていた者で、1.配偶者 2.子 3.父母 4.孫 5.祖父母 6.兄弟とされていたものが、さらに5.上記以外の3親等内の親族とされました。生計を同一という点は変わらないのですが、3親等ですから、子の配偶者・配偶者の父母の他、おじ、おば、おい、めいやその配偶者など、下記のとおりに相当拡大されています。(優先順位は、この番号順です)

 ただし、簡易な支払いが認められており、例えば子供が3人いた場合は、そのうちの代表者が請求することになっており、窓口としては、その代表者に支給すればよいことになっています。

 未支給の年金の届け出先は、今まで届出等の窓口としていた所で、国民年金だけの場合は市町村の年金窓口、厚生年金の場合は年金事務所、共済年金はそれぞれの共済年金の窓口となります。(添付書類の関係もありますので、詳しくはこの窓口にお問い合わせください。)

 さて被後見人が死亡した場合、後見人としては、本人死亡の日から後見人の本来の活動業務は終了ということになっていますが、親族が年金等の届出にはすぐには思い浮かばないこともある上、この死亡届出が遅れると年金が過払いとなって返還をしなければならないことになりますので、できれば、死亡の届けと年金未支給の請求を行うよう、親族等の支援をすべきであると思われます。

 なお、年金の死亡の届け出も、戸籍の届け出義務者となっていますので、同居の親族・その他の同居者や家主、地主、家屋・土地の管理人が行うことになります。(ただし、後見人も戸籍の死亡届け出を行うことができるとされています。)


      記
 追加規定となった<これら以外の3親等以内の親族>とは?
  1親等;子の配偶者、配偶者の父母 
  2親等:孫の配偶者、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の祖父母
  3親等:曾孫、曾祖父母、曾孫の配偶者、甥、姪、おじ、おば、甥・姪の配偶者
     おじ・おばの配偶者、配偶者の曾祖父母、配偶者の甥・姪、配偶者のおじ・おば

 ※1 所在不明者高齢者の届出義務化
    このようなことのないよう、次の規定が平成26年4月から施行されました。
    ⇒年金受給者の所在が1か月以上不明となった場合、同居の親族等に対して所在不明である旨の届出を義務化し、年金の支給が一次差し止めとなる。

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
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一人に後を継がせる場合の「相続分のないことの証明書」の提出には注意を!!

2014-08-02 18:38:23 | 後見人制度<社労士>
 農家・個人事業主が亡くなった場合の相続方法について<後見人として> 

まだ健在であった父母がなくなったり、兄弟が不幸にして亡くなったりすることがあるが、このとき、亡くなった人の財産を相続することになる。この場合、後見人としては、被後見人の法定の相続割合を主張すべきであるとされている。夫が亡くなり、配偶者である母とその子2人が残された場合は、母1/2、兄1/4、弟1/4が法定の割合であり、母が被後見人であって、その後見人をしてる場合は1/2での財産の相続割合を主張することになる。

 ところが被相続人が農家や個人事業主での経営者であった場合は、法定の相続の主張をしていることができなくなることが多くなる。というのは、遺産が農家の場合は、農地となり、また、個人事業主の場合は、工場の機械や土地であり、商店の店そのものであったりすることになり、それを母親とか兄弟で遺産分割することになると、経営そのものがなりたたなくなる。こういった場合は、だれか一人に後を継がせることになり、例えば弟が次ぐと言い出した場合は、その後継者である弟がそっくりそのまま農地・工場等の財産を受け継ぐようにせざるをえなくなる。そのため、後を継がなかった兄やその母親は、その農地・工場等の財産を放棄することが必要になって、母親が被後見人であった場合は、その後見人は法定の分割を主張することが難しくなる。

 この場合でも、農地が工場は、弟に継がせるとしても、やはり後見人としては、法定の割合は主張すべきであるので、その農地等の財産の評価の上で、後継者からの金銭での精算をしてもらうという方法がある。もちろん、承継財産として現金・預金が相当あれば、現金・預金そのものでもらう形で、法定の財産割合を主張すればいい。そちらの方が、弟が経営資本となる農地・工場の財産を、被後見人である母は、確かな現金預金でという形で、民法906条がいう「遺産の種類、性質・・・各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状態」等を考慮して、分割するという法定の基準に合ったものとなる。

 ところで、工場・農地を一人に、例えば弟に集中する際、「相続分のないことの証明書」の提出を求められることがある。これは、民法が定めた財産放棄ではなく、相続の単純承認となり、もしも亡くなった父に「隠れ負債」が発覚した場合は、法定相続分の負債を背負うことになるので注意が必要である。

 
 「相続のないことの証明書」とは、工場・農地の承継を受けない者が、父の生前に遺産の分け前以上の贈与を受けたことにして、もらっていないにかかわらず、すでに相続相当分をもらっているので「相続分はない」という証明書を作成することにより、工場・農地を一人の者に承継することができるようにするものである。法上の財産放棄よりは、手続きが簡単なために良く行われているとされているところである。しかし、これは、あくまでも単純相続である。そのため、経営者であった被相続人が、他人の債務について保証していても、相続当時は分からないことが多いため、後から判明した場合、判明したマイナスの財産を受け次ぐことになる。よほど財産の状態を把握するか、正式な財産放棄の手続きを取った方が良いと思われる。

 
 いずれにしても、後見人にとしては、監督者である家庭裁判所と協議しながら事を進めていくことになる。

参考文献:成年後見の財産管理(額田洋一著、学陽書房)
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