診療報酬のパターン化は効率化から必要であるが行わなかった場合等に医事に伝えるシステムを構築しておくべき
全国的にも有名な乳がん治療を専門的に行う地元の病院が診療報酬を不正に請求していたという問題、医療的には当然問題があるが、元医療事務を行っていた私からすれば、医療請求事務的にこれまた問題なのである。
ずいぶん前、コンピューターが普及していなかったころのことであるが、医療事務係(以下単に「医事」「医事係」という。)の職員は、一日の日課として、「ドクター詣で」をしていた。どんな患者が入院してどんな手術をするか、どんな検査をするか常に回って情報を集めていたし、例えば、ある手術について、ドクターと会話をして、どんな診療行為なのかどんな薬を投与するのか勉強するとともに、自分たちが請求する診療報酬に請求漏れがないかチェックしていたのである。
今では、パソコンの普及により、投薬情報や検査情報は医事がパソコンに打ち込まずに、そのほとんどを医師が行い、医療事務が直接データを打ち込まなくなった。だからと言って、昔のようなドクターとの情報交換が全く必要ないわけではない。診療報酬の請求もれもどこかでありうるし、それを補充するのは医事係というのを忘れてはならない。
といっても、診療報酬の請求について、最終的に責任を持つのはドクターである。月ごとに国保等への請求を行うこの請求書をレセプトというが、このレセプトとカルテを照合してちゃんとしたレセプトに仕上げるのはドクターの務めである。
術後の病理診断は、医学的には手術後の診療計画に必須であるとのことであるし、術中の病理診断についてはどこまで切るかという点で必要なときに行うものであるという。(この術中、術後の病理診断を行っていなかったにもかかわらず、診療報酬として請求していたということが不正請求とされている。)そうであれば、その術中については、本来ならば、医師が行ったか行わないのかを医事に伝えなければならないがその情報はどうしていたのであろうか。どうも、この病院では、全部の患者について術中の診断を行っていたということで、診療請求していたようにも読めるのである。そうならば、これまた必ずしも必要でない検査をしていたということで、問題であろう。
「ドクター詣で」は昔みたいに常時は必要ないのかもしれないが、やはり医事係が病棟を回り、検査技師等と情報交換をしていたなら、こんなことは起きなかったはずである。そして、最終的に、診療だけでなく、レセプトについて最終責任を負うのはドクターであって、ドクターが最後にレセプトを見ていたなら、こんなことは、また起きなかったはずである。この基本的に行わなければならない基本体制ができていなかったとしか言いようがない。
もうひとつ指摘しておきたいのは、術中の病理検査の診療請求のパターン化の件である。患者ごとに個別に診療報酬の計算することなく、全部の患者に術中の病理検査を行ったとして計算するといった「パターン化」する<<術中の病理検査を全部行うかは診療の話であるが、ここでは仮に全部行ったとして話を進める。それにしても、必要でない検査をしたとして、保険者から問題視される可能性はあるところ>>というのは、病院の効率化として必要ではある。例えば、血液検査をよくパターン化して検査する例はある。しかし、このパターン化が問題で、しなかった場合とか、他の方法を取った場合には、必ず医事に伝わる方法がないと意図しない不正請求が起こることになる。報道ではこのパターン化が原因の一つであるように伝えているが、そうであっても、パターン化できないところは、なんらかの形で医事に伝えなければいつでもこんなことは起こる。
いずれにしても、レセプトに関して、医事のサポートの体制、ドクターのチェック体制がうまく機能してなければ、「不正請求」は起こる。全く、医事と診療科との意思疎通はなされず、まったく別々に動き、独立した動きをしているとの「病院の話」には、私はまったく納得がいかない。意思疎通があって当たり前と思う。
最後に内部告発との話もあり、そうであれば、意図的な不正請求であるが、これは医師側、医事側どちらの側からの告発なのか。私のころよく言われ(自分は嫌いだったが・・・)た「縁の下の力持ち」である医事側からの告発だったとしたら、本来のレセプト請求の体制が出来ていないということの告発であるし、医師側からすれば、診療的に行わなければならない診療をしていないという良心のある医師からの告発であろう。病院の中にいた者としては、個人的には非常に興味がある。
全国的にも有名な乳がん治療を専門的に行う地元の病院が診療報酬を不正に請求していたという問題、医療的には当然問題があるが、元医療事務を行っていた私からすれば、医療請求事務的にこれまた問題なのである。
ずいぶん前、コンピューターが普及していなかったころのことであるが、医療事務係(以下単に「医事」「医事係」という。)の職員は、一日の日課として、「ドクター詣で」をしていた。どんな患者が入院してどんな手術をするか、どんな検査をするか常に回って情報を集めていたし、例えば、ある手術について、ドクターと会話をして、どんな診療行為なのかどんな薬を投与するのか勉強するとともに、自分たちが請求する診療報酬に請求漏れがないかチェックしていたのである。
今では、パソコンの普及により、投薬情報や検査情報は医事がパソコンに打ち込まずに、そのほとんどを医師が行い、医療事務が直接データを打ち込まなくなった。だからと言って、昔のようなドクターとの情報交換が全く必要ないわけではない。診療報酬の請求もれもどこかでありうるし、それを補充するのは医事係というのを忘れてはならない。
といっても、診療報酬の請求について、最終的に責任を持つのはドクターである。月ごとに国保等への請求を行うこの請求書をレセプトというが、このレセプトとカルテを照合してちゃんとしたレセプトに仕上げるのはドクターの務めである。
術後の病理診断は、医学的には手術後の診療計画に必須であるとのことであるし、術中の病理診断についてはどこまで切るかという点で必要なときに行うものであるという。(この術中、術後の病理診断を行っていなかったにもかかわらず、診療報酬として請求していたということが不正請求とされている。)そうであれば、その術中については、本来ならば、医師が行ったか行わないのかを医事に伝えなければならないがその情報はどうしていたのであろうか。どうも、この病院では、全部の患者について術中の診断を行っていたということで、診療請求していたようにも読めるのである。そうならば、これまた必ずしも必要でない検査をしていたということで、問題であろう。
「ドクター詣で」は昔みたいに常時は必要ないのかもしれないが、やはり医事係が病棟を回り、検査技師等と情報交換をしていたなら、こんなことは起きなかったはずである。そして、最終的に、診療だけでなく、レセプトについて最終責任を負うのはドクターであって、ドクターが最後にレセプトを見ていたなら、こんなことは、また起きなかったはずである。この基本的に行わなければならない基本体制ができていなかったとしか言いようがない。
もうひとつ指摘しておきたいのは、術中の病理検査の診療請求のパターン化の件である。患者ごとに個別に診療報酬の計算することなく、全部の患者に術中の病理検査を行ったとして計算するといった「パターン化」する<<術中の病理検査を全部行うかは診療の話であるが、ここでは仮に全部行ったとして話を進める。それにしても、必要でない検査をしたとして、保険者から問題視される可能性はあるところ>>というのは、病院の効率化として必要ではある。例えば、血液検査をよくパターン化して検査する例はある。しかし、このパターン化が問題で、しなかった場合とか、他の方法を取った場合には、必ず医事に伝わる方法がないと意図しない不正請求が起こることになる。報道ではこのパターン化が原因の一つであるように伝えているが、そうであっても、パターン化できないところは、なんらかの形で医事に伝えなければいつでもこんなことは起こる。
いずれにしても、レセプトに関して、医事のサポートの体制、ドクターのチェック体制がうまく機能してなければ、「不正請求」は起こる。全く、医事と診療科との意思疎通はなされず、まったく別々に動き、独立した動きをしているとの「病院の話」には、私はまったく納得がいかない。意思疎通があって当たり前と思う。
最後に内部告発との話もあり、そうであれば、意図的な不正請求であるが、これは医師側、医事側どちらの側からの告発なのか。私のころよく言われ(自分は嫌いだったが・・・)た「縁の下の力持ち」である医事側からの告発だったとしたら、本来のレセプト請求の体制が出来ていないということの告発であるし、医師側からすれば、診療的に行わなければならない診療をしていないという良心のある医師からの告発であろう。病院の中にいた者としては、個人的には非常に興味がある。