元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

通勤定期代が不必要になったが、通勤手当をもらい続けたら・・・詐欺罪。

2013-05-30 18:38:05 | 社会保険労務士
 通勤手当の通勤経路・通勤距離の変更は、就業規則に変更届出の記載を!!
 

 通勤手当について、就業規則でよく見かける規定には、「通勤の経路及び方法は、最も合理的かつ経済的であると会社が認めたものに限る。」とされています。原則、実際にかかった費用で、運賃、時間、距離等を勘案の上、最も合理的かつ経済的な経路・方法というこのになると思われます。ですから、遠回りするのは、もちろんアウトです。ゆえに、一般には、たとえば、駅までは徒歩で、それから駅からは電車でというようなことを届け出て、通勤の経路と方法を会社に認定してもらうことになります。
 

 そこで、電車で通勤ということを届け出ていたにもかかわらず、ある日健康のために自転車通勤をしたが、快適になりそのまま続けることになった場合には、通勤方法の変更(電車から自転車への変更)を届け出なければいけません。

 
 通勤途中に橋があり、遠回りしていたのだが、新しい橋ができ遠回りする必要がなくなった場合、ずいぶん前の通勤手当の届け出だったため、届け出の変更をついうっかり忘れてしまったときでも、会社側は返還請求することもあり得ます。通勤手当のその差が5千円だったとした場合に、2年間さかのぼれば5千円×12か月×2年間=12万円となり、半月分の給料が飛んでしまいます。

 
 ここは、就業規則には次のような就業規則を設けるとトラブルになりません。
 「通勤経路を変更するとき及び通勤距離に変更を生じたときは、1週間以内に会社に届け出なければなりません。この届出を怠ったとき、又は不正の届け出により通勤手当その他の賃金を不正に受給したときは、その返還を求め、第○条の規定に基づき懲戒処分を行うことがある。」(参考 リス気回避型就業規則・諸規定作成マニュアル 日本法令 森・岩崎著)

 
 ところで、通勤方法の変更を本人自身認識しながら、そのまま続けた場合は、刑法上はどうなるのでしょうか。定期代の費用がかからなくなったにもかかわらず、だまってもらい続けたことは、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」でいう「詐欺罪」にあたります。認識していたにも関わらず、会社に変更の届け出をせずに請求しつづけたことは、明らかに詐欺罪に該当するといえるのです。そうであれば、単に、就業規則に違反しているだけでなく、詐欺罪になりえることになります。うるさくない上司であれば、そうでもないであろうが、うるさい上司の場合はそうはいかないことも、リストラの対象者を探している人事部にとっては、願ったりかなったりです。

 
 なにはともあれ、会社側としては、変更の届け出を就業規則に書いた上で、届け出を行うよう周知し、トラブルにならないように努めるべきであろう。
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失業手当の不正受給は、3倍の返還!!

2013-05-25 13:58:23 | 社会保険労務士
 刑法ではこの不正受給は詐欺罪!!

 
 今では、雇用保険の基本手当という言葉になっているが、従来からいう「失業手当」を不正に受給した場合は、安定所所長は、受給額そのものの額だけではなく、その受給額の2倍の納付する金額を命ずることができるとなっています。つまり、不正受給には、その額の3倍まで、安定所長から求められることになります。アルバイトでも4時間以上の場合は、だまって、失業手当を受けるとこの不正受給に該当することになる恐れがあります。

 ここは、雇用保険法に書いてあることで、行政機関(安定所ーハローワーク)の命令という処理範囲内にあります。

 刑法で考えるとどうなるのでしょうか。「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」という詐欺罪に該当します。失業保険という財物をだまし取っていることになるからです。この場合、だましている対象は、職業安定所の所長です。

 
 詐欺罪という刑法に該当するようなことはしていないといわれるかも知れないが、簡単な気持ちで、みんながしていることだからということで、行ってはならないのである。
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就業規則に退職者の社宅の明け渡し規定がありますか。

2013-05-19 07:05:05 | 社会保険労務士
 社宅の規定は、就業規則の必要記載事項!?

 退職した社員が、社宅に居座ったら、社長どうしますか。また、社員の側から見た場合は、これだけ会社に貢献したのに、次の会社が決まっていないのに、社宅を出ていかなければならないとは、ちょっとだけ待っていてもいいのではという主張もあるかもしれません。

 社宅の取り扱いについては、就業規則にその会社の従業員でなくなったときは、退出することをちゃんと規定しておけば、会社側としては、出て行ってもらうことに全く問題はありません。

 しかし、社宅については、福利厚生の分野なので、必ず就業規則に書かなければならないものではなく、*任意の規定になっていますので、どこかのモデル規程に必ず書いてあるというものではなく、こういった規定を書きもれすることはよくあることです。

 * ただし、社宅の規定については、一般的には全ての従業員が入れる可能性があるとすれば、どの従業員にも適用されるところになり、その場合は、必要記載事項になり、必ず就業規則に記載しなければなりません。

 では、就業規則に社宅退出の規定がない場合はどうなるのか。一般的に次ぎ次に退職したものと入社したものが変わるような場合等の退職した者は、退出が当然というようなものが出来ている場合は、退出すべしというところでしょう。ところが、そこがルーズに運営、また会社の温情というような雰囲気があるとすれば、簡単にいかない場合もあるからです。というのは、借地借家法(以下「借家法」といいます)の適用がある場合もあり、その場合借主は手厚く保護されており、重大な理由がない限り、借家契約は解除されず、追い出さすことは出来ないことにもなるからです。

 ただし、この借家法が適用されるのは、民法の「賃貸借契約」の場合であり、これに相対する「使用貸借」の場合は、適用されません。この区別は、おおざっぱにいえば、「無償使用」か「賃料を支払って使用しているか」ということでして、無償使用であれば、民法で「使用貸借」であり、「賃料支払使用」の場合は、借地法が適用になり、元基従業員であってもはかなり保護されることになります。使用貸借であれば、出て行ってくれと言われれば、ただちに出ていかなければなりませんが、賃貸借契約であれば、すぐには出て行けとはいえず、借家法で保護されることになります。

  では、この無料使用というのは、従業員は、なにがしか「使用料!?]を払っているから、「賃貸借契約」であり保護されると考えていいのでしょうか。かならずしもそうではありません。必要経費程度のものでしかない場合は、その家の必要な経費として、「賃料」は払っていない、すなわち無料使用と考えられるからです。本来、本人が払うような「電話代、電気、ガス等」もその中に含まれているかもしれません。その判断は、毎月の支払額、他の社員の住宅補助、現物給与としての社宅使用に対する所得税の源泉徴収の有無などを考慮して、どちらかを判断することになるでしょう。

 いずれにしても、こういったトラブルを生じないためには、就業規則等ではっきりと従業員が退職したときこはどうするのか、退出・明け渡しの規定をちゃんと規定しておくば、問題にはならないところです。
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医療過誤の申し立てをする場合は、まず証拠保全を!!

2013-05-12 04:39:02 | 社会保険労務士
 証拠保全手続きは弁護士にお願いするしかありません。

 病院に勤めていたころ、病院が訴えられた医療過誤は、そう多くないが一つ2つは抱えていた。多いのではないかという方もいるとは思うが、某公立病院での話なので、患者も多く、最高の水準の医療を求めて来院しても亡くなる方も多く、そこは理解していただきたい。

 そのころ、同じ某公立病院で裁判のための「証拠保全」の現場が、テレビで放映されたことがあるが、これは、私には、当時衝撃を与えたが、冷静に考えると、そのリスクは、次のように、いつも抱えていると言わざるを得ない。

 医療過誤(過失によってよって生じた医療事故)によって、訴える、訴えられることは、医者にかかっている以上、起こりえることです。というのは、一般の契約は、その家の構造・大きさなどが決まって設計図が出来ており、どんな家を建てるのかが決まっています。ところが、医者との契約は、「もし検査・診断を行い、病名を付けましょう。治療法があるなら、治療をしましょう」ということであり、治療法についても、「その時の医療水準に基づいた治療」であり、どんな水準なのかはっきりせず、大学病院と地域の医療でも違ってくるからである。

 このようにその医療行為の内容が、確定的に決まっているものではないので、最高の水準の医療を受け、完全に治してほしいという患者の願いとは、違ってくることも多い。ここに、医療過誤が生じる可能性は、非常に多いことになる。

 ところが、ある人が書いていたが、裁判にある件数は、2割ぐらいと言っていた。医療側との話し合いで決着がつくのが、文句を言うだけのものを含めて、大半だからである。当然ながら、示談で決着がつくのは統計にないので、推測になる。

 医療訴訟を含めて医療のトラブルは、患者が医師の不法行為による責任(故意・過失による権利侵害による損害賠償)を追求するときは、患者が立証しなければなりません。しかしながら、しろうとである一般の患者には、無理なうえ、プロであると仮定しても、その材料は、病院側にあります。カルテ、看護記録、検査記録、X線等照射記録等は病院が保管しているのです。病院側がトラぶった場合は、カルテなどの記録を書きなおすことも考えられます。(ただし、契約による債務不履行による損害賠償で訴えを起こすことも考えられますが、この場合は、患者側に立証責任はなく、医師の側にあります。)

 そこで、患者側は病院との交渉前に、裁判所に証拠保全の申し立てを行って、記録を写真撮影したり、コピーしておくのである。こうすれば、記録の改ざんを防ぐことができます。今までの説明で分かると思いますが、交渉前に「こっそり」とやらなければなりません。(ということになれば、冒頭で述べた「証拠保全」のテレビ報道はなんだったのか。マスコミによるアナウンス効果しか考えられません。)

 この証拠保全の手続きは、一般の方はやるのがむつかしく、そこは手続きのプロである弁護士にお願いするしかありません。
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上司との折り合いが悪く左遷された労働者は、無効の主張はできますが・・・

2013-05-04 11:21:02 | 社会保険労務士
  裁判での証明は難しい!!

会社で働く場合で、大きな節目となるのが、「人事異動」である。特に、大きな会社の場合は、全国に支店を持ち、全国がその転勤の対象となることもある。「労働契約は、労働者がその労働力の使用を包括的にゆだねることを内容とする」ものであり、「使用者が業務上の必要から労働者に転勤を命じることは原則として許される」(昭42.7.12熊本地裁八代支部判決)とされており、働く際の契約で、使用者に人事異動の権限は与えられているものといえます。

 ということは、就業地の限定とか職種の限定を決めて、私の場合は、この店でとか、運転手のみとか決める等の制約がない限りは、会社側で自由に決めれられることになる。

 そこで、会社にその大きな権限を与えているところからして、全く労働者は、同意なく従わなければならないかというとそうではない。民法1条の3項の「権利濫用はこれを許さず」というのがある。そして、労働法の分野においては、判例の積み重ねがあり、権利濫用になる場合として、1、業務上の必要性もなく命じた場合、2、不当な動機・命令で命じた場合、3、労働者に通常甘受すべき程度をこえる著しい不利益を生ずる場合 がある。

 特に、上司との関係が悪く、左遷された場合など、2に当たり、権利濫用で無効とはいえるです。そして、これがテレビドラマではないのですが、よくあるパターンと考えられます。しかし、これは、裁判になるとその証明はむつかしい。会社側にとっては、必要があってその地に異動させたという理由を、考え出すのは容易であると思われるからです。

 安西愈弁護士は、次のようにまとめていらっしゃいます。※
 1、業務上の必要性があるか
   業務上の必要性は広く企業の合理的運営の観点からその必要性は認められる。
 2.人選の合理性はあるか
   余人をもって替え難いといった高度の合理性はいらない。
 3.手続きの妥当性・労務管理上の配慮はなされているか。
   本人の個人的事情は通常は考慮されないが、通常の労働者が甘受すべき程度を超える場合には配慮し、当該企業で定めている配置転換の順守(内示等)及び拒否者への説明・説得の手続きが必要といえる。

 いずれにしても、その必要性・人選については、広く使用者に認められているものであり、労働者は主張はできるが、その証明が難しいというのが本当のところでしょう。
 
 ※採用から退職までの法律知識 安西愈 中央経済社
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