元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

就業規則作成のメリット<従業員9人以下であれば、就業規則作成の義務はないんですが・・・>

2012-04-29 06:28:12 | 社会保険労務士
 就業規則作成のメリットは、結構あります!!

 行政にいた頃のこと、「行政の企業調査」を行いました。その中で、直接の調査対象ではないんですが、就業規則を見せてくださいと言うと、10人未満なので、作っていなかった所も多かったようです。確かに、常時従業員が9人までの企業であれば、労働基準法上は作成する必要はありません。
 
 しかし、何かトラブルがあった場合に作成しておくことは、よって立つルールが定められていることになり、問題解決のよりどころとなります。
 
 就業規則がないとできないもの、それはまず思い浮かべるのは、懲戒処分の場合です。なんぼ悪いことをしていても、就業規則に、どんなことにたいしてどんな「罰」を与えるかを決めてなければ、減給等は出来ません。(ただし、雇用契約書に書いてあれば、就業規則がなくても可能です。)
 
 その他には・・・!?。そう、向井蘭弁護士が、「労働法のしくみと仕事がわかる本」の中で「就業規則がないとできないこと」として整理されておられます。
 1、転勤などの人事異動ができない。
 2、懲戒処分ができない。
 3、時間外・休日労働ができない。
 4、振替休日・振替休暇ができない。
 5、休業手当を平均賃金の6割で支給することができない。
 
 けっこうあるものです。これらの中で、会社としてできないと困るものは、あるはずです。もちろん、雇用時の雇用契約書の記載されてあれば、これらものであってもできますが、いちいち雇用契約でやるのは面倒です。
 
 労働組合があれば、労働協約で決めれば、できないことはありませんが、小規模の会社の場合は、労働組合は組織されていないのが実情ですし、就業規則の作成は、使用者の意思でもって可能ということから、就業に定めるのが一般的です。
 
 特に注意すべきは、3の時間外労働でしょう。36協定を届け出ているからといって、そのことにより従業員を働かせることはできません。罰則が免除になるだけです。就業規則や雇用契約書に書いてなければ、時間外・休日に、労働者は働く義務はないことになります。
 
 1の転勤などの場合は、本人の個別の同意があればできますが、本人が行かないといったら、就業規則等がなければ、無理やりの人事異動はできないことになります。

 5の休業手当については、本来会社側に落ち度がある場合は、働いていなくても100%の支給が原則ですので、6割と就業規則に書いてなければ、6割では休業手当を全額支払ったことにはなりません。就業規則に、平均賃金の6割と明示しなければなりません。
  
 「労働法のしくみと仕事が分かる本」(日本実業出版社)向井蘭著 
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メンタルヘルスマネジメントについて<合格発表>

2012-04-21 04:51:44 | 社会保険労務士
 メンタルヘルスマネジメント二種の合格証が届きました!!

 3月4日(日)実施のメンタルヘルス・マネジメント検定試験(大阪商工会議所主催)の合格証が届いていました。免許証サイズといいうか、ポイントカードサイズのもので、カラーはメンタルを意識してかピンクがかっていまして、賞状サイズの合格証をイメージしていた人にとっては、やや頼りないと思われるかも知れません。

 4月13日が成績表発送の日となっていますから、まだ届いていない方は、4月26日(木)27日(金)が問い合わせ期間となっていますので、検定センターまで問い合わせてくださいとのことです。(電話06-6944-6141 10時~17時)

 結果を見てみますと、三種は9回~12回の合格率は、86.8、83.5、78.5、72.0となっており、70に収れんしていくように思われますが、私の受けた二種の方は、48.2、60.7、40.3、68,1とまるでどこが着地点になるのか不明といったところです。今回は、誰かが問題が易しかったので、合格率がよくなるのではないかと言っていましたが、その通りの結果となり、70%近くとなってしまいました。まだ、全体で12回ですので、問題の難易に応じて、合格率も動いていくものと思われますが、はてさて、主催者としては、合格率をどこに持っていくのかが適当と考えているのか気になるところです。

 三種は、70%前後の定着として、三種に合わせて二種はこのまま70%前後でとどまるのか、それとも50%程度に落ち着くのかなど、分からないところです。

 気になるのは、機会があれば受けようとしている一種の試験ですが、なぜ合格率10%台なのでしょうか。論述試験があるとはいえ、あまりにも二、三種と開くがある過ぎると考えるのは、私だけでしょうか。(受けようとしている者にとっては、ちょっと尻込みするかもしれませんね。) もっと門戸を開いてほしいと思うのは、単に受ける気がある者のエゴでしょうかね。

なお、この一種、二種、三種というのは、本来は、役職による区分であって、1種は、人事担当者・管理者・経営幹部 二種は、管理職・管理監督者 三種は、一般社員及び新入社員 となっていますので、問題の難しさの区分ではないんですが・・・。

第12回の公開試験結果・受験者数データ
一種は、今回は実施はありません。二・三種は年2回の実施になっていますが、一種は年1回の実施になっています。
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最低賃金について<計算の基礎となる賃金の範囲>

2012-04-14 05:01:55 | 社会保険労務士
 最低賃金の計算の基礎となる賃金について(除くもの)

 最低賃金は、国が最低賃金法に基づき、賃金の最低限度を決めており、これより低い賃金で労使双方で合意しても、それは無効ということになり、使用者はその差額を支払わなければなりません。

 地域別最低賃金は、各県ごとにその地域の実情に応じて、決められており、現在宮崎県は646円となっています。

 ところで、この最低賃金は、基本的には、時間当たりの賃金となっていますが、計算の基礎となる賃金の範囲については、次の賃金を除くことになっていますので、これ以外は計算の基礎に含めることになります。
 1、臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
 2、一か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
 3、所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
 4、所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
 5、午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金にうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
 6、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

 厚労省のパンフレットでは、体系図として分かりやすく整理しております。


    ーー定期給与ーーーーー所定内給与ーーーー基本給   この部分が
    |        |      ーーーーーーーー諸手当   最低賃金の対象となります。   
    |        |      ---ー精皆勤手当
賃金 |        |      ---ー通勤手当
    |        |      ---ー家族手当
    |        ーー所定外給与ーーーー時間外勤務手当
    |                ---休日勤務手当
    |                ---深夜勤務手当
    |ーー臨時の賃金(結婚手当など)
    ーーー賞与など
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メンタルヘルスマネジメントとは?(その18)<外部機関との連携>

2012-04-09 04:51:59 | 社会保険労務士
県精神保健福祉センターとは?

 大きな企業においては、メンタルヘルス専門の産業医を持っているところは、いるかもしれないが、中小の企業においては、法(従業員50人以上は必要)に基づく産業医を民間の開業医にお願いするのがやっとのところで、とてもメンタルヘルス専門医というわけにはいきません。

 そこで、出てくるのが、外部の機関との連携です。前回出てきた、地域産業保健センターも連携の機関の一つでありますが、メンタル面での公的な機関としては、県の組織として、県精神保健福祉センターがあります。ここは、「企業」の相談に応じるというよりは、県の組織ですから、「県民」であれば誰でも、相談に応じるものです。

 県の行政規則からその内容を抜き出しますと、
 1、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及及び調査研究に関すること 
 2、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち、複雑又は困難なものに関すること
 3、精神医療審議会に関すること
 4、精神障害者通院医療に要する費用の負担及び精神障害者保健福祉手帳の申請に対する決定に関すること

 この2の、「精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち、複雑又は困難なものに関すること」に基づき、相談をすることになります。
 (複雑・困難以外のそう複雑ではないものについては、どこでやっているのということになりますが、各地の保健所で行っていますが、一般の保健師が相談にのるということになりますので、そこは必ずしもメンタル面に詳しい保健師がその場にいるとは限りません。)

 ここは、精神科の医師が所長となり、メンタル面に詳しい保健師が業務に当たっていますので、何か相談事が出てきたときは、必ず相談に応じてくれます。

 なお、4にも書いてありますが、精神障害者の医療費の一部負担を行っていますが、この点についても相談に応じてくれます。(申請等は保健所が窓口です。)
 

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メンタルヘルスマネジメントとは?(その17)<産業医と主治医の診断が違う!?>

2012-04-05 04:58:47 | 社会保険労務士
休職者の復職時の対応について 

 あるとき、メンタルに陥っていた職員から、回復したとの診断書とともに、職場に復帰したいとの申し出がありました。私と上司とで面談したところ、話しをしていてとても職場に復帰するような状態ではないことが分かりました。職員の配置された職場は、いろんな要求・要望があり、それに対処するためには、とてもそれが出来得る状態に回復したとは思えなかったのです。もちろん、軽度の仕事があれば、その仕事から慣らしていくという方法もありますし、裁判例などを見ますと、原則は元の職場の復帰ですが、他の仕事が出来そうなときは、そこから行うべしとのようです。しかし、それにしても、うちの一般の仕事さえもできるような状態ではありませんでした。

主治医の診断書には、主治医は、その患者本人の回復状況を見て、職場に復帰してもよいという診断書を書くわけですが、主治医の診断書には、本人の復帰したいという意見が多分に入っていますし、また、その職場がどんなふうに厳しい職場であるかは知っているわけではないのです。また、本人が本人のとらえた職場の状況を伝えているわけですから、必ずしも中立的な情報が主治医に伝わっているとは限りません、

 私も上司も事務屋さんでしたので、産業医の目から見た診断書を書いてもらい、休職を延期させていただきました。

 復帰するかの最終的な判断は、職場の長です。その際の判断の材料となる意見として、診断書があるわけです。その診断書の意見が、産業医と主治医の意見が異なることになりました。

 産業医とは、50人以上の就業員がいる職場には必ずおかなければならないものですが、産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条で決められており、1、健康診断及び面接指導等の実施、その結果に基づき労働者の健康を保持するための措置 2、作業環境の維持管理 3作業の管理、4、それ以外の労働者の健康管理 5、健康教育、健康相談、その他労働者の健康の保持増進を図るための措置 6 衛生教育 7 健康障害の原因の調査・再発防止 となっています。また、特別の研修を受けてないと産業医にはなれません。

 メンタルの健康面においても、同様ですので、その職場の状況を知り、復帰できるかどうかの総合的な判断をするのは、やはり産業医ということになります。産業医は「当該職場の状況を前提に医学的側面から復職可否の診断を行うことが期待しうる立場にあります。主治医に『復職可能』」との診断書の記載に疑問がある場合等、主治医の診断書があっても、明らかに復職可能と判断できない場合は。産業医の意見を確認」すべきとされます。(以上「 」書きは、労働法実務Q&A・労働行政研究所) 

 裁判例においても、2年近く休職をしたのちに復職を申し出て拒否された大型貨物運転手の場合で、主治医(就労可能)と産業医(就労不能)の診断で分かれたケースで、裁判所は、産業医の診断に正当性を認めています。(カントラ事件、平14.6.19大阪高裁)

 なお、小規模(従業員10人未満)で産業医の選任が必要でないところで、産業医の診断が必要になったときには、地域産業保健センター(労基署ごとに配置)で相談に応じてくれます。

 参考;労働法実務Q&A(下) 財団法人労務行政研究所編 ㈱労務行政発行


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