元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

意外に知られていない寡婦年金、もらえるケースも多いのでは!例えば過去の遺族基礎年金受給者は?

2014-09-27 18:31:11 | 社会保険労務士<後見人>
寡婦年金の支給の条件とは?

 遺族基礎年金ほどに知られていないものとして、寡婦年金というものがある。遺族基礎年金は、子のない妻には支給されないので、支給の場面が限られるが、寡婦年金はそうではない。

 寡婦年金は国民年金の自営業・農業等の第1号被保険者である夫が、保険料納付期間(保険料免除期間を含みます。)25年以上を有している場合に、老齢基礎年金も・障害基礎年金も受給しないまま死亡してしまったケースで、死亡当時夫に生計を維持されていた妻がおり、その婚姻期間が10年以上であったときに、その妻に60歳から65歳まの期間に支給されるものです。

 このように、、自営業・農業等の第1号保険者の夫が老齢基礎年金も障害年金年金も何ももらえないままというに条件がつきますが、これは保険料の掛け捨てにならないようにという配慮であると考えています。

 ここで、夫の死亡当時妻は65歳未満という条件が付いており、支給は60歳から65歳までという、限定した期間ですが、今は65歳からしか老齢基礎年金が支給されないことを考えるとそれまでのつなぎの年金として重要だと児いえます。

 年金額は夫が受けるはずであった老齢年金の年金額の4分の3に相当する額である。

 ここで問題になるのが、遺族基礎年金をもらった妻はこの寡婦年金はもらえないのではないかという疑問が生じる。いま基本的な支給の条件だけを上げたのであるが、他の条件を見ても、遺族年金をもらっていたからといって、もらえないとは書いてない。

 そこで、夫が亡くなって子供がいたので遺族基礎年金をもらっていたが、一般的には40歳から50歳で、子供が18歳になって、遺族基礎年金がもらえなくなっているケースであって、夫の死亡当時65未満であり、婚姻が10年以上ということは十分考えられます。その場合、再婚をしないままで(結婚は寡婦年金の消滅原因です。)あったとすれば、この寡婦年金の支給条件に当てはまる場合が多いと考えられ、60歳から65歳まで支給され得ます。

 ただし、この年金は、他の年金との同時受給は絶対にだめで、国民年金・厚生年金・共済年金であろうと他の年金をもらっているときは、寡婦年金は支給されません。(「併給」といっています。) もちろん、先ほどの遺族基礎年金や遺族厚生年金、遺族共済年金と同時支給されることはありませんし、もうひとつの国民年金の独自支給となっている死亡一時金との併用もだめです。

 
 また、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金をもらっていた場合も支給されませんが、これは前に繰り上げ支給のリスクは申しあげましたが、寡婦年金ももらえなくなりますので、要注意です。⇒ <繰り上げの老齢基礎年金のリスク>

 最後に、残念なのは、これが寡婦年金であって、寡夫には適用がないことです。


参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

60歳超で働く方で厚生年金加入年数が40年未満は、報酬比例・定額部分ともに増加。

2014-09-21 03:16:16 | 社会保険労務士<後見人>
 65歳からの経過的加算という定額部分=基礎年金相当が増えます!!

 最近では、大学を卒業後、社会に出ていく方とか、いろんな事情で20歳を超えてから社会に入っていく方が増えてきました。というか大半がそういう部類に入っているのではないかと思う次第です。そこで、20歳を超えてから社会に入る方は、その社会に出た時点から、例えば大学を出てから社会に出ると、22歳は過ぎているわけですから、60歳まで働くとすると、38年間しか働けないわけです。ところが、基礎年金=国民年金の支給額の計算は、20歳から60歳までの40年間働いた場合に、満額をもらえることになっていますから、その働いた分に比例しての計算額しか、もらえません。満額の額を切りのいい額で78万円とすると、78万円×38年/40年≒74万円となるわけです。年単位で計算しましたが、実際は月単位で加入するわけですから、もっと細かく年で計算するのではなく、月単位での計算となり、38年は、月単位で456月、40年は、480月になり、78万円×456月/480月≒74万となるわけです。

 最近では、60歳を定年で辞めても、再就職とか、再雇用とかで60歳以上の雇用の方が増えてきました。そこで、この雇用の分は基礎年金=国民年金では見てもらえないのでしょうか。残念ながら、基礎年金の計算上は、20歳から60歳までの間しか計算できませんので、見ることはできません。
 しかし、経過的加算というからくりがあります。最初から段階的に説明します。

 特別支給の厚生年金は、現在(今書いているときは、H26年です。)において、60歳になる方は定額+報酬比例分の2つをもらえるのではなく、それ以前は60歳からこの定額+報酬比例部分をもらえたわけですが、今は61歳からの報酬比例部分しかもらえなくなっています。だんだんこの年齢も62、63歳と上がっていき、最終的には65歳しか報酬比例分はもらえなくなります。そして、65歳から、よく言う一階部分が国民年金=基礎年金という定額部分、2階部分が厚生年金という報酬比例部分という形となっていくわけです。

 65歳を境に、一階部分の特別支給の定額部分が基礎年金(=国民年金)に、2階部分の特別支給の報酬比例部分が厚生年金の定額部分に変わっていくわけです。この2階部分は65歳になっても計算上は、変わりなく額にも変わりありません。定額部分の計算については、65まで支給してきた特別支給と基礎年金(=国民年金)に若干の違いがあり、65まで支給してきた特別支給のほうが多くなっているのです。その差を65になってからの経過的加算の支給で埋めているわけです。

 では計算式を紹介しましょう。経過的加算は、
 1676円×厚生年金の被保険者の月数×スライド率0.961-772,800円×昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の国民年金の月数/480月 *注意1* となります。

 前の計算部分が特別支給の定額の厚生年金、後ろが基礎年金の定額部分の計算となります。前と後ろの計算のこの差が、経過的加算になります。

 後ろの基礎年金の定額部分の説明ですが、772,800円は26年度の基礎年金の満額を示しています。最初に示したところですが、実際に「基礎年金に加入した月数」に応じた額になるように、満額の額に、「基礎年金加入月数」を「満額がもらえる40年加入の480月」で割った比率を乗じて基礎年金の額を算出しています。そして、あくまでも、20歳から60歳までの期間に限ります。「昭和36年4月以降」というのは、国民年金=基礎年金が発足したときですから、それ以降しか計算しないよということです。

 前の特別支給の定額の厚生年金部分ですが、1676円は、H12年の基礎年金の満額を40年間加入したものとして月単位にした数字です。H12年の基礎年金804,200円÷480月(40年)=1675.416・・・≒1676円となります。なんでH12というかというと、現在の計算では、12年度を基礎におり、そのためにスライド率0.961を掛け、H26年度の基礎年金の満額相当の額にしています。すなわち、804,200円×0.961≒772,800円(H26 の基礎年満額相当)となるわけです。最後の乗じるスライド率はそういう意味です。ともかく1676円は特別支給の厚生年金の定額の月単価というわけです。

 ここまできてやっと本題にいれます。経過的加算というのは、再雇用や再就職で60歳を超えて働く人のためでもあります。国民年金の計算には、20歳から60歳までの計算になりますので、この期間は計算されませんが、前者の厚生年金の計算においては、厚生年金の被保険者の月数となっていて、この計算式には、60歳を超えて働いた期間も含まれます。したがって、60超の働いた定額部分の増額は、ここで計算されて経過的加算として支給されるというわけです。ただし、国民年金の計算式の調整上、この月数には制限があり、40年=480月をその上限としています。なんぼ働いたとしても、40年以上は、国民年金=基礎年金の調整上、40年=480か月以上は見ないということなのでしょう。

 ということは、経過的加算として、60超の働きによって増えるのは、厚生年金の加入期間が40年未満の人に限られてきます。厚生年金の加入期間が40年を超えると、経過的加算には反映されなくなってきます。最初の例ですと、大学を出てから38年働くわけですから、後の2年はこの経過的加算が増えることになります。再度いいますと、厚生年金の加入が40年未満の場合には、60歳以降も厚生年金に加入すれば、経過的加算という基礎年金そのものはもらえませんが、この基礎年金の定額に相当する額が支給されるというわけです。その間、もともと厚生年金に加入していますから、厚生年金に加入した報酬比例部分も増えてきますので、40年加入までは、定額部分と報酬比例部分ともに増えることになります。加入が40年をこえた場合は、厚生年金には、70歳まで入れますから、70歳までは厚生年金の報酬比例部分が増えていくことになります。

  *注意*
 この計算式は生年月日が昭和21年4月2日以降の方を考えていて、定額の月単価は、生年月日昭和21年4月1日以前の方は、この単価が少し高く設定されており、この点からも経過的加算が生じる要因になっています。

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

障害基礎年金の繰り上げ支給のリスクとは

2014-09-14 03:53:34 | 社会保険労務士<後見人>
 障害基礎年金の繰り上げは、減額だけではない、障害になっても障害基礎年金がもらえないリスク 

 老齢基礎年金の受給開始年齢は、原則65歳からであるが、本人の希望により60歳から65歳までの間に繰り上げることができるが、リスクとして、よく言われているのは、月当たり0.5%の減額となることである。60歳からもらうとすれば、0.5%×12か月(1年分)×5年(65歳を60歳までの繰り下げるので5年の繰り上げ)=30%も減額となる。

 
 しかし、早めにもらうことを考えれば、もらっている額は、ほかの者が0(ゼロ)なのに比べて、すでにもらっていることになり、ある時点までは他の者より多くなるはずである。理論上は、減額されていない65歳からの者の支給が追いつくてトントンになるのが (あくまでも先の話の60歳からの繰り上げ支給を仮定した場合である。)、75歳と76歳の間であるのであるが、その人がどれだけ長生きするかもわからないことである。これは、本人が自分の生活等を考慮して年金の繰り上げを行うかを、考えればいい問題であって、リスクと言えないかもしれない。

 しかし、もう一つ大きなリスクがある。老齢基礎年金の繰り上げ支給の受給権が発生した後は、原則として障害基礎年金の受給権の取得ができないことである。障害基礎年金の支給額は、老齢基礎年金の満額に相当するので (2級の場合である。1級というさらに上位ランクであればその1.3倍の額)、老齢基礎年金の保険料を40年間すべて掛けた方など満額をもらえる人は別であるが、障害基礎年金の方が受給額が大きいのである。

 しかし、障害者となった場合であっても、すでに老齢基礎年金を受給しているところであり、そこで障害基礎年金を受給することはできないことになっている。これは老齢基礎年金の繰り上げ支給には、65歳になって老齢基礎年金の選択をしたという仮定のもとに、障害基礎年金はもらえないということを考えてのものであるとも言われているが、どう説明されても、障害になった本人には納得できないであろう。

 理由はどうであれ、現在の制度では、老齢基礎年金の繰り上げを行うことは、障害になった場合に、支給額は老齢基礎より多いからといっても、老齢基礎年金の繰り上げ支給の権利を返上し、障害基礎年金を受給することはできないということになっているのである。

 参考;年金アドバイザー3級・受験対策シリーズ 経済法令研究会編
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

障害年金の給付要件と給付額の大まかな整理をして見ました!!

2014-09-07 18:38:56 | 後見人制度<社労士>
あまりにも細かな規定があり分かりにくいので、はしょって骨格で整理してみましたが・・

 公的年金の障害年金について、その骨格とどれくらいの額が支給されるのかについて、整理してまとめてみました。公的年金の老齢年金のために、納めていると思われているかもしれませんが、国民年金や厚生年金の保険料として納めているのは、病気やけがで障害が残ったときのための、いざというときの「障害年金」を支払ってもら得ることにもつながるのです。

 国民年金に入っている方は、障害基礎年金がいざというときにもらえますが、さらに、厚生年金に入っていた方は、この障害基礎年金(一階部分)に上乗せする形での障害厚生年金(2階部分)が支給されます。
 
 ただし、一定の要件を満たさなければ、障害年金はもらえません。その要件とは、3つあります。

 1、初診日に保険に加入していること(初診日における被保険者要件)
 国民年金または厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがで障害の状態になったこと。さらに、国民年金の場合は、国民年金に加入していたもので、初診日に60歳以上65歳未満で日本国内に居住していれば、支給対象となります。つまり、国民年金の加入年齢は20歳以上60歳までですので、さらに5歳延長の条件があるということです。
 その時入っていた保険がどちらの保険になるかも重要です。働いていて厚生年金に加入していれば、厚生障害年金の支給の条件になりますが、その際普通は国民年金という基礎年金に入っていることになりますので、厚生障害年金と基礎障害年金(国民年金)の両方支給されますが、会社に勤めていた時は忙しく医者にかからず、辞めてから医者にかかった(初診がこのとき)場合は、厚生年金は加入していないので、60歳を超えて5年の延長期間の国民年金(基礎年金) しか支給されなかったという例もあります。会社に勤めている間に初診があれば、厚生年金及び基礎年金の両方が支給されていたのに、という歯がゆい例です。

 
 2、障害認定日に一定の障害状態にあること(障害認定日要件)
 障害認定日に、1級(日常生活に不能ならしめるような状態)、2級(日常生活に著しい制限等を生ずる状態)、3級(労働が著しい制限を生じるような状態)の障害状態にあること。ここで障害認定日とは、障害に程度を見る日のことで、障害の原因となった病気・けがの初診日から1年6か月を経過した日、あるいは1年6か月の間に治った場合は、その治った日をいいます。なお、この治った日とは、症状が固定し、治療の効果が期待できない状態となった日を含みます。

 3.一定の保険料を納付していること(保険料納付要件)
 初診日の前日に、国民保険の全被保険者期間のうち、滞納期間が、その3分の1を超えないこと。あるいは、初診日の前日において、初診日の前々月までの1年間に滞納期間がないこと。(ただし、後者は平成38年までの経過措置です)
 以上、3つの条件をクリアーしていれば、障害年金がもらえることになります。
 

 さて、支給額ですが、
 (1)一級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(222,400円)
   基礎年金 966,000円+子の加算額(1・2人目各222,400円、3人目以降各74,100円)
 (2)2級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(222,400円)
   基礎年金 772,800円+子の加算額(1・2人目各222,400円、3人目以降各74,100円)
 (3)3級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額(最低保障額579,700円)   (額はH26年度現在の額です。年々少しづつ変わります。) 

  
 3級は、厚生年金しかありません。というか、3級は厚生年金の独自の給付となっています。
 基礎年金を見て、お気づきのように、2級の障害基礎年金は、老齢基礎年金の満額の支給となっています。1級は、そのさらに1.25倍の額となっています。

 さて、厚生年金ですが、報酬比例の年金額となっています。その人と会社が過去に収めた給料=報酬に応じた保険料を支払ってきたものに見合った年金額が支給されるということです。イメージとすれば、支給額は「平均報酬×一定の乗率×厚生年金の加入月数」となりますので、給料=報酬が多いほど、また厚生年金の加入月数が多いほど多くなりますので、基礎年金のように一定額をしめすことはできません。これは、老齢厚生年金の計算式とほぼ同様ですので、言うならば、障害のあったそのときにもらえるとすれば、その時点で計算した老齢厚生年金の額の満額をもらえることになります。
 *ただし、老齢厚生年金は特例でも60歳から、原則65歳の年齢にならないともらえませんし、この場合、乗率が老齢年金の場合は、生年月日が昭和21年4月1日以前生まれは高くなっており、昭和21年4月2日以後は一定の率になりますが、障害年金の計算においては、その一定率で固定し生年月日によっては変わりません。

 ただし、厚生障害年金の加入月数(被保険者期間)が300か月(25年)に満たない場合は、300か月として計算します。つまり、若くして、25年加入しない間に、障害にあった場合は、その実際の加入月数ではなく25年加入していたものして計算できるのです。
 
 そして、1級・2級の場合は、厚生年金で配偶者の加給年金、基礎年金で子の加算が付きます。


 給料(報酬)・加入期間によって違うとなるとしても、大体の額を示せないかということですが、*1「障害年金というヒント」という本の中で、著者が次のようなことを言っておられます。
 私のこれまでの経験では、報酬比例の基本額だけでは100万円を超える方はごくわずかで、大半は2桁です。
 なお、一例として昨年(H25年と思われます。)、障害厚生年金及び障害基礎年金2級が決定した元会社員(高卒)の方の大まかな金額を示しておきますので、参考にしてください。
 ◎年齢は40代後半、妻と子供2人の4人暮らしの場合
 1階部分・・・基礎年金(定額) 約78万円 子の加算 約45万円
 2階部分・・・報酬比例基本額  約70万円 配偶者加給年金 約22万円
 合計 約215万円(月に換算すると18万円弱) 



*1 誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント 中井宏監修 岩崎眞弓・白石美佐子・中川洋子・中辻優・吉原邦明共著 三五館発行
参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする