元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

メンタルヘルスマネジメントとは?(その8)<部下が 「いつもと違う」>

2012-02-27 04:52:55 | 社会保険労務士
管理監督者として出来ることから始めよう!!「いつもと違う」部下に気をつける。

 メンタルヘルスマネジメントは、組織立って保健師さんなどを雇うのではなく、まずはできることから始めようということで、管理監督者が部下のストレス状態に気をつけていくということがあります。気をつけるというのは、特別のことではなく、部下職員各々の「いつもと違う」ことに気が付くようにすることなのです。

 たとえば、胃痛を発生させたとしても、いつも胃腸を壊しやすい部下であれば、いつもと違うとはとらえられません。ところが、普段は胃痛の丈夫な人であるのに、胃痛を発生させたとしたら、いつもと違うと捉えられます。この場合、ストレスによる胃痛かもしれません。普段からその部下の特徴をおさえておかなければなりませんが、普段からその部下とコミュニケーションをとらなければ、部下の管理はできませんから、その延長線上に捉えられるわけです。

 このいつもと違うというのを把握するのは、日頃から一人ひとりの部下の特徴を知っておいて、その上で昨日と違う部下職員の「違い」に気が付くこと、すなわち時系列的な変化があったかをとらえることがポイントであるとされます。いつもと違う様子の例として、次のとおり掲げられていることころです。

 ●遅刻・早退・欠勤が増える。●休みの報告がない(無断欠勤がある) ●残業、休日出勤が増える 
●作業の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する  ●業務の結果が出てこない 
●報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆) 
 ●表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆) 
●不自然な言動が目立つ  ●ミスや事故が目立つ  ●衣服が乱れたり、不潔であったりする

 この無断欠勤については、無断欠勤という、組織管理上行ってはならないことがなぜ起きるかについては、本人が「電話ができない」ようになっていることなんだということです。最近は、ケイタイの普及によって、なぜできないのか不思議かもしれませんが、会社に電話ができない状態になっている、親や奥さんが電話をしてきたりします。私もそういう状況になっていたのかもしれませんが、経験があります。

 また、会話がなくなる(その逆)とありますが、なぜ「会話がなくなるの逆」があり得るのかということですが、これは躁状態の時ですね。「活気・元気がないその逆」も同様です。

 管理監督者としては、「仕事の管理」として部下の仕事ぶりに注意していると思いますが、その労務管理や仕事の進捗状況を見ながら、いつもと違う部下の「表情」として捉えることもできます。
 1、通常でない出勤状況   2、遅刻や早退の増加   3、高い事故発生率  
 4、以前は素早くできた仕事に時間がかかる 5、以前は正確にできた仕事にミスが目立つ   
 6、ルーチンの仕事に手こずる 7、職務執行レベルが良かったり悪かったりする 
 8、取引先や顧客から苦情が多い 9、同僚の言い争いや、気分のムラが目立つ 
 10、期限に間に合わない 11、平均以上の仕事ができない
 
 特に、仕事ぶりがいつもと違うと感じた場合に、その状態が2週間にわたっても続くようであれば、これは専門家の手を借りなければならないといえます。

 参考:メンタルマネジメント検定試験公式テキスト(ラインケアーコース)



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メンタルヘルスマネジメントとは?(その7、「安全配慮義務」と「AKB48」について)

2012-02-23 04:08:05 | 社会保険労務士
 安全配慮義務について

 3月は、自殺対策強化月間ですが、このイメージキャラクターに「AKB48」が起用されることになりました。国としては、キャンペーンのキャッチコピーとして、当初AKB48をもじった「あなたもGKB47宣言!」としたが、(GKBとは、われわれオジサン族は知らないことではあったが、若者の間では即ゴキブリのことをいうとあり、この日の国会中継をたまたま見ていって知ったのではある。)、批判をあび、「あなたもゲートキーパー宣言」とした経緯がある。(ゲートキーパーとは、門番であり、注意し見守ってあげる人のことである。)

 そういうこともいろいろあって、AKB48が採用されたものでもあろうが、今では自殺者は、1998年から連続で年3万人超の数になっているところであり、そのうち、古い統計で恐縮ですが、雇用者は全自殺者の27.9%を占めています。(2008年)。いろいろあってとしたが、国では若い人にも自殺対策をもらいたかったので、幅広い層に影響力のあるAKB48にしたとあるが、今では孤独死(違った概念かもしれませんが)もあるように、若い人からお年を召された方まで、いろんな層に知ってもらいたいキャンペーンであります。
 (宗教じみるかもしれないが、この世で生まれた以上は、この世を全うして始めてこの世を生きた意味があるようで、どんなことがあるにせよ、自殺は避けなければならない行いであり、あの世で人生の意味を分かって、自ら「反省」しなければならないことなのだといいます。)

 ところで、長時間残業を従業員がやむにやまれずに行って、その結果、うつ病を患い不幸にも自殺してしまったという事例を考えた場合に、企業側はどういった賠償をすればよいのでしょうか。

 これに対して、安全配慮義務という判例によって作られた概念の義務があります。判例の積み重ねによって認められてきた概念ですが、2008年の労働契約法によって、明文化されました。

 労働契約法5条では、「使用者は、労働契約に従い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする」となっています。

 そして、この安全義務違反に基づき企業側がその責任を問われ、社会の注目を浴びることになったものとして、大手広告代理店の若手社員が過労からうつ病を発症し、自殺に至ってしまった2000年3月の最高裁判例があります。本人の健康状態が悪化されていることを知りながら、業務負荷を軽減する措置をとらなっかった企業側に過失があり、損害賠償責任があるとしました。企業側が1億6800万の遺族補償を支払うことで和解が成立しました。

 この高額の負担の支払いとともに、同僚が死亡したことに対して、社内に動揺が起きることは避けられませんし、対外的にもイメージの低下は避けられません。

 今回は、最悪の場合を書きましたが、企業はこういったリスクを負っているということを想定し、最終的には、いつでもモノが言えるような企業風土を作っていくことがそういった最悪の事態を避けることになりますので、メンタルヘルスマネジメント(こころの健康の管理)に取り組むことが必要になってきます。

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メンタルヘルス・マネジメントとは?(その6⇒採用面接等のチェック)

2012-02-20 05:51:22 | 社会保険労務士
 メンタル不調となり得る者の面接等でのチェックは可能か?

 それでは、うつ病等のメンタル不調となる者を採用面接等でチェックし排除できれば、会社としてはそうするであろう。ちょっと過激な言い方になりましたが、会社を経営する経営者としては、そうするべきであるし、そうできるならば当然の方法であろう。(法にふれない限り、原則として、どういう人を採用するかは会社の自由である。→。⇒「どんな人を採用するかは会社の自由」) しかし、答えはNOである。

 メンタルヘルス・マネジメントの教科書(大阪商工会議所編)によれば、次のとおり述べている。

 あらかじめ将来的にそうなり得る人(そういう因子を持った人)を採用や昇進の際にスクリーニング(選別)することが現実に可能かといえば答えは否です。それは高血圧や胃潰瘍において予測困難であるのと同様です。
 
 なぜなら第一に人事上の采配を決定するに足る確たる根拠として個人のメンタル不調の可能性を察知することは医学的に困難であること 第二に従来型のうつ病と親和性が高いとされる病的性格に「自分自身に対する以上に周囲に配慮する」「物事の手順や秩序を重視する」というものがあり、これは組織人という観点からは高い順応性とパフォーマンスの源となり得ること 第三に過労自殺と認定された人の多くが直前まで「仕事ができる人」と評価されており、その7割以上が治療を受けていない勤労者であったことなどが挙げられます。つまり、うつ病などのメンタル不調は特殊な人の心の病ではないのです。

 よって、メンタルヘルス対策を考える上では、以下の前提に立つことが必要になります。まず、すべての人・だれもがメンタルヘルス不調になる可能性があること。このため、特定個人へのアプローチや選別という発想でなく、むしろ職場環境の改善(特にコミュニケーション)や管理監督者が部下の健康管理に配慮することで対処すること。すなわちメンタルヘルス不調を個人の問題ではなく職場というシステムの問題としてとらえる立場です。(以上、「メンタルヘルスマネジメント検定試験公式テキスト・ラインケアコース」大阪商議所編より)

 採用の際、個人個人チェックするのではなく、個人が入ってからのうつ病にならないような職場環境の改善がカギとなることになります。もしも、医学的に困難な、将来そうなりうる人を会社として、独自の偏った?基準に基づき選別を行うならば、現在のところ、法違反とはなりえないところですが、社会的に批判の的になる可能性としてはあり得ます。そうではなく、会社としてそうならないような職場環境を整えることが必要です。



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メンタルヘルス・マネジメントとは?(その5=部下の相談対応 その2)

2012-02-16 05:23:26 | 社会保険労務士
 部下の話を最後まで聞けない理由とは?

 前回、「部下の話を最後まで聞くのは難しい」とし、なかなか最後まで聞く人は、そういないということを申し上げました。これは、その続編であり、メンタルヘルスとしては「傍論」でありますが、その理由として、自分としては、真実をついていると考えたものでありますので、国分康孝氏に語ってもらいます。

 上司の中には部下の話を終わりまで聞かない人がいる。なぜそうなるのか。それには3つの理由があると思う。

 一つは、ものの考えかたに固執しているからである。なぜ自分の考え方に固執するかというと、自分の考え方を捨ててしまったら自分か無になる不安があるからだ。本当に自分に自信がある人は、自分を捨てて無になって、部下の世界に入っていける人である。ここで自分に自信のある人とは、戻るべき自分の原点、あるいは自分のフレイムを有する人という意味である。・・・上司は部下と会話をするときは、自分の考え方を捨てて、手ぶらで部下の世界に入って行って何かをつかんで帰ってこようという気持ちになればいい。

 第2に、人の話を聞けないというのは自分個人の問題がある過ぎる場合である。例えば、自分自身が上司に叱られて気がむしゃむしゃしているときには部下の話を聞く余裕はない。なんとなくさっきの上司のことが頭にあって、「あの野郎」と思っている。であるから、部下の話が聞ける上司というのは、自分の私的な問題を短時間のうちに処理できる人ということになる。(中略)

 第3に、人の話がなかなか聞けない上司というのは、性格的に幼児性の強い人、自己中心的な人である。これは一つ言ったら三つぐらい喋りまくって、「さすが部長ですね」と部下に褒められないと気がすまない。ちやほやされないと気がすまない人のことを幼児的性格という。これも、この幼児性はどこかで満たしてきた方がよい。どこかで満たさないで自分の部下に満たしてもらおうと思ったら、これは無精者である。
(以上、国分康孝著、人を育てるカウンセリング・マインド、PHP文庫)
 
 まず、第2については、納得できるであろう。第1については、いいや俺は人生経験豊富だから、部下の狭い考えを正したいということで説教されることも、ないことはないであろう。しかし、本当にあなたの言うとうりであろうか、胸に手を当ててみた場合に、自分の考えを捨てると不安になるというこのはないだろうか、考えてみる必要がある。私には、少なくともこの指摘にはずしりとくるものがあります。
 さらに、第3についても、私の場合は、言われるとおりであり、そう認めざるを得ない。しかし、この幼児性は、なかなか抜けるものではないので、自問自答しながら進むしかないと考えていますが・・・。
 
 いずれにしても、これらは、心理学者から見た鋭い指摘であります。これらを排除して、初めて「最後まで話しを聞くことが可能」とすれば、本当に難しいと思いませんか。



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メンタルヘルス・マネジメントとは?(その4=部下の相談対応)

2012-02-13 05:56:00 | 社会保険労務士
 「部下の話を最後まで聞く」というのは、本当に難しい!!

 監督者の心得として、「部下の話を最後まで聞く」というのがある。私が、※支店の課長時代よくやっていた悪い例であるが、忙しいときは、この定律が守れず、人の話を途中まで聞いて、そのあとは分かっているつもりで話をさえぎって、自分が話し出していました。これでは、部下にとっては、よく話を聞いてくれないということになり、話しても無駄という感情が芽生えるかもしれません。また、最後まで聞かないと、結論が違うことだってあり得ます。

 これを心理学的側面から、国分康孝氏は次のようにいっています。

 部下が話しているときに、いちいち意見をいわないで、終わりまで「ああそうか」「なるほど」という具合に聞くのを受容という。つまりそのポイントは、裁かないということである。非審判的、許容的に聞くということである。なぜそれがよいかというと、部下の信頼感を勝ち取ることができるからである。つまり、この上司は何を話しても私の身になって聞いてくれる人だ、この人は味方である、見方だから何を話しても大丈夫だ、と思ってどんどん話すから、話しているうちに何が中心問題か本人にわかってくるし、上司にもわかってくる。

 もうひとつ、この受容がなぜ良いかというと、カタルシスが起こるからである。カタルシスというのは、鬱積している感情が吐き出されるという意味である。人になかなか言えなかったことを上司はよく聞いてくれる。吐き出すだけで気持ちが楽になる、ということはよくある。いわゆる、ほっとした心境になる。だから受容というのは会話の基礎的なハウツーになる。

 ところが、上司の中には部下の話を終わりまで聞かない人がいる。なぜそうなるのか。それには、3つの原因があると思う。
 (以上、国分康孝著「人を育てるカウンセリングマインド」PHP文庫より⇒この原因の指摘については、考えさせられるところがあるので、別途、次回以降に記します。)

 メンタルヘルスマネジメント(心の健康管理)において、管理監督者の役割として、部下の相談対応というのがあります。ストレスの原因になっているのが、人間関係なのかと思っていたら、たばこの煙がいやなこと(よく聞いたら、隠れた原因としてその人が吸っているたばこの煙がきらいということだった。)だってあります。これは、よく聞いてみなければ分かりません。この意味において、「部下の話を最後まで聞く」というのは、メンタルヘルスマネジメントの「監督者の役割」としての、部下の相談対応にも必要なものです。

 部下の話を最後まで聞いていれば、部下のメンタルの不調をつかみ、これほどまでに最悪の結果を招かなかったのではと、後悔することだってあるかもしれません。私と同じ過ちはせずに、何ぼ忙しくても、部下の話は、よく聞いてあげましょう。部下に訴えたい何かがあるかもしれません。


 ※県庁組織では、一般的に「出先」のことを支店と呼ぶのでしょう。一般的に、支店と呼ばせていただきました。この課長は、本庁と出先では、天と地との差があります。つまり、身分的には、一階級違います。



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