まずは批判でなく小泉農水大臣の行動力と発言力に期待したい!!
小泉進次郎氏が農林水産大臣になって席もあっためる暇もなく、マスメディア等に登場し、既存の米流通システムを度外視するような、米価格引き下げの政策を訴えている。その行動力と発信力には驚かざるを得ない。見方によっては、うまくいかなかったらどうするんだとか、価格が下がりすぎた後、持続的・安定的な価格にするにはどうなるんだ、ただ引き下げだけで農家を保証するような価格帯を実現するにはどうするんだとか問題視する意見も多い。
ただ、消費者が米を主食としないような状況(コメ離れ)になったり、アメリカやほかの外国の米が市場に出回り、農家が米を作る作業を放棄するような事態になることも憂慮すべきである。そうなれば、既存の培ってきた流通システムそのものも崩壊しかけない状況となるため、今は米政策が崖っぷちの場面であることを認識した上で、まずは目の前にある下がらない米価の引き下げに専念すべきである。そして、その後に、米の価格が生産者・消費者が共に納得できるような価格で安定維持できることを願いながら、小泉進次郎農水大臣の手腕に期待しようと思う。
小泉大臣が今回農水大臣になったことから、過去のセクシー発言を取りあげられた。これは、小泉大臣が環境大臣だった2019年9月のこと、ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」関連イベントで記者団に対し、「気候変動のような大きな問題は、楽しく、クールで、セクシーであるべきだと思う」と発言したことにある。この発言は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の元事務局長であるクリスティーナ・フィゲレス氏が以前使っていたもので
”On tackling such a big-scale issue like climate change, it’s got to be fun, it’s got to be cool. It’s got to be sexy too,”
「気候変動のような大規模な問題への取り組みは、楽しく、かっこ良くあるべきだし、また、セクシーであるべきだ」
このsexy”(セクシー)には、性的な魅力を表す「セクシー」ではなく、「魅力的な」「人々の関心を引きつける」の意味で使ってあるのです。このことばを気候行動サミットの場では、気候変動の共通言語として、皆使っている言葉なのです。気候変動の問題は、一般的には、地球規模の大変な問題だけども、経済との調整等においては、今もなお、直にそちらの方法に傾けられないものを含んでおり、そのため、「楽しく、クールで、セクシー」に続けるべきだとの発言だったように思う。
手元の辞書で確かめる。フェイバリット英和辞典第4版では、①セクシーな 性的魅力のある (例)a sexy dance セクシーな踊り ②「口語的」(流行などが)(最新で)魅力のある、かっこいい とあり、また、ALC(クラウド)では、①~③ 日本語のセクシーに関する意味 の他に ④<話> (物事が新しくて)格好いい、人目をひく、人を引き付ける、最先端の のように、最近のことばとして、いわゆる、「かっこいい」という意味で使っていることが分かります。
それがどういうわけか、日本では、セクシー=性的な魅力の意味があまりにも強いため、マスコミも全く注釈抜きで、この場面を取りあげたため、いわゆるセクシー発言として広まってしまいました。本人もあとで(帰国してから)、発言の趣旨を伝えたマスコミもありましたが、あまりにも日本でのセクシーの意味が強かったため、この誤解はその後も続いているようです。
少なくても、過去の小泉農政大臣のセクシー発言は、こういった文化の違いからくる誤解だったように思うし、彼に誤解を解く場面が、完全な形で与えられなかったことは残念に思う。さて、今回の小泉氏が農政大臣に緊急登板したことについては、特に大きな実績がないのにと危ぶむ人がいるようですが、ここは、大臣が誰もしなかったことに踏み込んでいるようですので、ひとまず、その結果がでるまで待とうではありませんか。既に1年程待ったのですから、6月の初めには、店頭に備蓄米が2000円価格で並び、それが他の銘柄米を合わせた上での「平均価格」にどう影響を及ぼすか見極めようではありませんか?それから、批判をしても悪くない。
決して、私は小泉氏のような都会育ち(小泉信奉派)でもありません。むしろ田舎の米農家の間で育ち地方創生に立った地域振興派です。今のまま、米の政策がうまくいかなかったら、今後、地域は、うまく動いていくのでしょうか。ますます疲弊していきます。単にマイナスの補助金行政でなく、自立した地方に切り替えるべきです。小泉さんの頭にあるような農政の転換点(それがなんなのか?)にあることは間違いないように思います。
なお、店頭2000円の価格説明における「減価償却」(※)発言の勉強不足を取りあげる向きもあるが、そのことよりもむしろ、彼のアナウンス力により、流通が停滞していた米も出てくること(・・・結構、いわゆる目詰ま分?がぞろぞろ出てくるかも。)を期待する方がいい。大臣自身それを見越して、急激な価格引下げを行う旨のテレビ出演をしているのだと思うのですが・・・・
※減価償却は固定資産に使う言葉で、米の費用には使わない。会計学を勉強した者にとっては、常識ではあるが、今はそんな揚げ足取る場合ではない。