元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

すわる機会にあるときは、立ち仕事にも椅子(いす)が必要です!

2011-05-21 09:40:13 | 社会保険労務士
事務所衛生基準規則から(3)事務所則の紹介解説
 
1 病院に係長として勤務していたときのことです。窓口の係りは、午前中は患者さんがひっきりなしに来ますので、ほとんど立ち仕事です。臨時で常勤の方を一人雇うことになりました。課長が椅子の数を数えて、一つ椅子(いす)を増やさなければならないねとおっしゃいました。なんと心配りのある課長だなと感心しました。というのは、大きな病院でしたので、その受付と外来のレセプト請求事務を行う者が10人程おり、交代でどれかの椅子(いす)にすわればいいだろうぐらいに考えていた、新米の係長の私としては、自分の至らなさを実感したものでした。

2 病院に異動になる前には、人事委員会の労働基準監督業務の事務をして、そのときに見た事務所衛生基準規則(事務所則)には、なかったように思いますが、現在、改めて見てみると、今のことがちゃんと書かれているのです。

3 (立業のためのいす)「事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることができる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない」とされています。(事務所則22条)

4 その労働者が利用することができる椅子(いす)であって、必ずしも交代で利用させてはならないとは書いてはありませんが、病院の状況を考えるとこういうことになります。来客の患者が途絶えるのが、その「しばしばすわることができる機会」になり、窓口のみんなが一斉に椅子(いす)を利用することになりますので、やはりいすが一つ足りないわねということになります。この条文からは、ひとつ椅子(いす)を増やさなければならないことになります。

5 そのときの課長から、初めてリーダーになった私としては、本当にいろいろのことを教えていただきました。単に本で読む知識ではなくて、リーダーとはこんなものだという、その人間性の深さには、勉強させられました。本当にありがとうございました。


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一定規模以上の事務所は休養室が必要です!

2011-05-19 18:48:46 | 社会保険労務士
 事務所衛生基準規則から(2)事務所則の紹介解説

1 こんなことまで、規定してあります。「事業者は、労働者が有効に利用できる休憩の設備を設けるよう努めなければならない」としています。一般的には、休憩の設備を設けるように努めればいいのです。

2 ところが、別の条項は「事業者は、常時50人以上または常時女性30以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することができる休養室または休養所(以下「休養室等」とします。)を、男性用と女性用に区別して設けなければなりません。」 「が床」とは、誤字ではありません。「臥床」と書くべきところ、いまは常用漢字にないので、が床になったものと思われます。それだけ古い条項なのかなあ。難しい語句が書いてあります。今では、寝る場所を確保しなければならないと書くところです。一定以上の労働者の雇用の場合は、休養室等を設けなければなりません。それも、今では当たり前のことですが、男女に区別してと書いてあります。

3 つまり、一定規模以上の事務所になると、休養室等の義務付け、それ以外は、努力義務であって、この場合は、休養の設備でいいことに注意してください。(なお、この場合の一定規模は、支店、営業所等の場所ごとの単位ですので、念のため。)

4 そんなことを建物が建った後で、あとから言われても困るという事務所さんがありましたが、たぶん建物を建てる頃でも、この規制はあったのではないでしょうか。(事業所則そんなに周知されない規則なんでしょうか。)。確かに設計の段階から、考慮の対象にすべきところでしょうね。


  
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事務所の照度も法律で定められています!

2011-05-18 03:59:28 | 社会保険労務士
 事務所衛生基準規則から(1)事務所則の紹介解説

1 私がまだ若かった頃、人事委員会で仕事をしておりました。ここでは、限定的ではありますが、職員に関する労働基準監督の権限を行使します。分かりやすく言うならば、労働基準監督署と同じ権限で仕事をします。ただし、司法警察職員の権限だけは、ふさわしくないので除外されておりますが・・・。(詳細は、5/4付 「地方公共団体の不思議(3)」参照)
 
2 そこで、県という事務系の職場では、まだまだ周知されていなっかった法律に、労働安全衛生法(略して「労安法」とも、通じた方は「安衛法」ともいいます。)があります。えっ、そうなのという声が聞こえてきそうですが、まだまだ労働基準法からこの労働安全衛生法が分離独立した頃の、まだまだ昔の話です。作業系の職場では、労働者の安全と健康を確保する法律ですから、本当に身近な法律と思われるのですが・・・。これではいけないということで、現場指導をしようということになりました。項目ごとのチェック一覧を作って、それに基づき指導をしていくことになりました。
 
3 さて、この労働安全衛生法に基づき、事務所衛生基準規則(略して「事務所則」)というのがあります。その中で事務所の照度、明るさまで規制(照度基準)を行っています。いわく、「事業者は、作業の区分に応じて、次の基準に適合しなければならない」とし、①精密な作業 300ルクス以上 ②普通の作業 150ルクス以上 ③粗な作業 70ルクス以上 となっています。これを、現場指導チェック一覧表に項目として、載せたのです。計測するための照度計も準備しました。

4 そして、現場指導の際、測りましたが、いずれの事務所もクリアー。分かったことは、一般的にその作業に暗いと感じると思われるようなところでは、この基準を満足しませんが、そうでない限り、当たり前の基準を事務所衛生基準規則(事務所則)にうたっていたものと思われます。それを基準として決める際に、だれでも文句のつけようのない照度という数値で決めたということではないかと感じた次第です。

(社労士受験では、この照度の基準が出題されたということですが、こんなところまで覚えられないですよね。)  


 
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36協定当事者の労働組合・代表者は必要要件を満たしていますか?

2011-05-16 02:49:01 | 社会保険労務士
 あなたの職場でもこんなことありませんか?

1 前回に引き続き、36協定の話です。時間外や休日労働させるためには、公務による場合や農水業等特別な場合を除いて、一般的には、36協定を締結し、労働基準監督署に届けて、初めて、労働基準監督法上、罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)を免れることになります。どこの職場でも、時間外労働が常態化しているのが実態のようでして、社長さんは耳の痛い話かもしれませんが、法律上は、法定労働時間を守るのが原則であって、それを守れない場合に、36協定を締結することになります。

2 ところで、36協定を結ぶ相手方は、皆さんの職場ではどうなっていますか。労働組合それとも労働者の代表者どなたになっていますでしょうか。労働組合の場合に、注意しなければならないのは、最近では、労働組合の組織率が悪くなっており、労働者の過半数を超えないことが珍しくありません。よく間違われるカウントで正しいのは、(1)その「事業所」で過半数を占める組合であること (2)過半数の分母となる数には、パート、管理職社員、休職中の者を含むこと となっており、(1)については、今までどうり漫然と組合を締結すると、退職・異動等があった場合は、その事業所で過半数を超えていなかったということなどがありますので気をつけなければなりません。(2)については、管理職といえども、給料を貰って仕事をしており、会社の命令等に従っているということになれば、労働者ですので、カウントしなければなりません。当然、非常勤職員もカウントしなければなりません。

3 それができなければ、労働者の代表と締結しなければなりませんが、所長が、所長のすぐ下にいる、仲のいい「労働者」をつかまえて、これに印鑑を押してといって、押させていたとしたら、問題です。時効だと思いますので言いますが、昔そんな職場があったような気がします。その代表者は、協定締結の代表者を選ぶことを明示して、投票、挙手、持ち回り決議、労働者の話し合い等、過半数が支持していることがわかるような民主的な方法による選出であることが必要です

4 36協定の当事者である、労働組合または代表者は、これらをクリアーして、初めて、有効な36協定が結べるのです。


  
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公務の必要であっても36協定届出が必要な職場もある!!

2011-05-14 06:32:27 | 社会保険労務士
 公務員の労働基準法の適用は複雑!! 

1 公務員の場合は、官公署の事業ということで、公務のために臨時の必要がある場合は、時間外労働や休日労働をさせることができるとされています。法律上、労働基準法(以下「労基法」といいます。)33条3項にはっきりうたってあります。一般企業で、時間外・休日労働をする場合は、災害等特別の場合や農林業等の労働時間等の規定が適用にならないものを除いて、労使間で協定を結び労働基準監督署に届け出なければならないという、いわゆる36協定の届け出は、一般的には、必要ありません。

2 ところが、自分が勤務してきた県の事務所では、その届けが必要なところがありました。病院、保健所がそうです。そこで、労基法33条3項を再度確認しますと、「公務のために臨時の必要がある場合は、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)に従事する公務員」については、時間外・休日労働をさせることができる、と書かれています。カッコ書きで、別表第1を除くとされているのに注意してください。公務員であっても、この別表に該当すれば、36協定が必要になるのです。逆にいうと、公務のためという理由により、必要により時間外・休日労働ができるのは、別表該当者を除いたもののみということになります。この別表は、1号=製造業、2号=鉱業、3号=建築業、から・・・・14号=接客娯楽業 15号=清掃・と畜場までの、1号から15号まで事業の種類が細かく分類されています。病院や保健所は、13号=保健衛生業に属しますので、36協定の届け出が必要になるのです。

3 また、土木事務所も土木建築の設計監理をいうことで、3号に属していますので、36協定が必要ということになります。
学校などは、12号=教育研究に該当しますので、これも36協定の必要な事務所となりますが、届け出先は、労基署ではなく人事委員会となります。非常に、管轄も複雑になっています。

(なお、一般の国家公務員については、労基法の適用がありませんので、36協定の届け出がもともとないことになります。)



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