元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

ゲームの理論・心理学的実験が証明した「囚人のジレンマ」<ウマが合わないとは>

2015-10-31 06:22:19 | 職場・組織等
コミュニケーション不足は、自分だけで合理的判断をしたとしても、お互い裏切りあうという<ゲームの理論でも証明>

 自分の経験からは、一端嫌いになると、その人とはコニュニケーションをするのもいやになり、仕事以外の事では口も利かなくなる。そして、なるべく同じ場所に居るのは避けるようになり、同じ飲み会に誘われても出なくなる。こうなると、普段の必要な情報交換が不足するようになり、職場で議論する場があると、反発や逆に何も言わずに強調しなくなり、ますなす相手のことが嫌いにあり、悪循環に陥っていく。

これは、「囚人のジレンマ」という理論によって説明されている。横山秀夫のサスペンスのタイトルにでてくるあれである。はじめは数学者が考えたようだが、ゲームの理論によって、その状況が説明できるようになると、経済的に「合理的な人間」はどのような行動をとるのかを追及する経済学分野での展開(*1)となり、また、人そのもがどう考えるかという心理学的な実験によっても証明されている。これは説明がややこしくなり、自分が説明すると説明不足になるかも知れないので、前回の出てきた樺氏の「ウマが合う人、合わない人」から、そのまま引用する。次をじっくり考えながら読んでいただきたい。

 ある事件の共犯者二人が捕まった。警察は物的証拠をつかむことができず、二人が黙秘を通すと別件の一年の刑しか課すことができない。そこで、二人に自白させようと、別々の部屋で次のような司法取引をもちかけた。「お前が自白したら、本来なら5年の刑を3か月に減刑してやろう。ただし、相棒にもこれと同じ話を待ちかけているお前が黙秘を通して相棒が自白したら、お前の刑は13年になる
 二人の共犯者は連絡が取れない状況に置かれ、疑心暗鬼に陥る。自分が黙秘を通しても、相手がしゃべってしまえば、自分だけ13年の重刑になってしまう。かといって、2人ともそう考えて自白してしまうと、犯罪自体を認めることになり、2人とも本来の5年の刑になる。さらに、自分がしゃべって相棒が黙っていた場合、自分の刑は軽くなるが、相棒を「売る」ことになる。
 これが「囚人ジレンマ」である。相棒の信頼が確固たるものであれば、自分も黙秘を貫くのが一番である。しかし、実験結果は違った。2人とも自白して、2人がともに損をする状況に陥る傾向が強いことが分かっている。2人とも損をするこの状態を「共貧関係」と呼んでいる。
 2人ともが自白する状況は2人にとって良くない。これを避けるためには、自分が13年の刑を喰らう覚悟で相手を信頼して、黙秘を通さなければならない。しかし、一般的な傾向としては、そんな犠牲を払うよりは、自分が自白して助かろうという行動に出てしまうのだ。(以上、前著より引用)
 
 これは、お互いコミュニケーションが取れない状況にしていることに大きな意味がある。コミュニケーションが取れれば、強調してお互い黙秘を貫くだろう。しかし、コミュニケーションが取れず、情報がない状態で、お互い信頼関係もなくなり、疑心暗鬼となり、裏切り行為に出るのである。2人に確固たる信頼関係があれば、お互い黙秘を貫き、本来の罪は認めないことになるので、3か月の罪で済むことになるのだが、そうではなかったのである。
 
 (*注)経済学は、ゲームの理論で、合理的な人間が自分の利益のみを追求している限り、結果は共に損をすることを証明している。その身近な例として、寡占状態にあるチェーン店同士の値下げ競争を挙げているのだが・・・。参照⇒ゲームの理論での囚人ジレンマ<NAVER>

ウマが合う、合わないとは<その1>  

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ウマが合わない=相手のちょっとしたいやな態度・容姿・言葉等から始まる!<心理学的分析>

2015-10-19 16:57:27 | 職場・組織等
何かをきっかけにして「許せない」となるが、相手の価値観を変えることはできないだろう!!

 本当にウマ(馬)が合わない人っているんだなと思いました。高齢者どうしで、障害事件に発展したいたましい事件を耳にしました。聞けば ゲートボールクラブで1・2を争う腕の持ち主で、性格は真反対だったとか、世界観も違ったようですが、それなどがトラブルの基となり発展した結果、塩酸をかけられるという悲惨な結末になるとは、おどろきです。

 ウマが合う・合わないという何かしらこれといった決定的なものがないのに、なんとな~く嫌いになっている。人間関係はそんなものかも知れません。政治の世界でも、職場でも、たどれば派閥のボスどうしがウマが合わなかったとか、よく聞く話しです。あなたは、会社の中にいて、あなたとウマが合う(なんとなく好きな人)、合わない人(なんとなく嫌いな人)は必ずいるはずです。それが基で決定的な事件等が発生して、大嫌いになったとか、最初の話しの高齢者の傷害事件のように大きな事件を引き起こすことだってあり得ます。私も過去の反省の上に立って、これを書かせてもらっていますので、あまり大きいことは言えません。ウマが合わないとは、いったいなんでしょうか。

 「ウマが合う人、合わない人」(樺亘純著、PHP文庫)では、ウマが合わないという現象を次のように心理分析をしている。

 「あいつとは、どうもウマが合わない」 そう言う時、私たちは決してうれしそうではない。人を嫌いになると、自分が不快に感じるだけでなく、その相手も不快になり、周囲にもその不快感は伝染する。
 また、誰かを嫌いになることは、不快に感じるだけでなく、人間関係を狭めることである。その結果、日常生活や仕事に制約が加わり、一種の「苦手意識」や「弱み」を抱えることになる。よく考えてみれば、人を嫌いになるということは、だれの利益にもならないはず。なのに私たちは、しばしば人を嫌いになり、「イヤなやつ」「顔も見たくない」などと悪口を言い合う。
 その人を嫌いになったのは理由があるはずだ。態度がイヤだった、容姿がイヤだった、言葉がイヤだったなどなど、嫌いになる理由は、好きになる理由同様さまざまである。ある瞬間に得た印象によって、それ以上その相手に近づきたくない、接触したくない、あるいは攻撃したいという心理が生じ、これが「嫌い」という気持ちとして定着するのである。現時点以上に不快にならないように、あらかじめ行動を制約しようという心理が「嫌い」という感情のベースにあるのだ。こう考えると、「嫌い」という感情は、自分がそれ以上に不快に感じたり傷ついたりしないように、心を守る働きをもっていることも分かる。だからといって「嫌い」という感情を全面肯定するわけにはいかない。
(以上、前著からそのまま引用)

 まだウマが合わないだけの初期症状であればまだいい。それが発展して本当に嫌いになりそれは組織のスムーズな運営に支障が生じる。初めはちょっとしたイヤな感情が沸いたにすぎないだけであって、本当はお互い「情報を交換」すればいいと思う。本人たちも分かっているのに、意地の張り合いというかそれが続くとますますそこから踏み出せずに、ますます溝にはまってしまい、「ウマが合わない症候群」が発生するのである。職場であれば、いやーな雰囲気がただようことになる。こんな人同士を抱えている職場にとって、マイナスの作用の影響があることは間違いない。
 職場であれば、毎日顔をあわせているので、無理にでも付き合わなければならず、そうなれば時には感情が爆発して、あいつは許せないとなることもある。しかし、相手の性格や世界観を変えることは、自分以上にできないのである。当の本人は、相手が全面的に悪いと思っており、相手そのものが変わるべきであると考えているのであるが、相手も同様に考えているのであるから難しい。

(以上、ウマがあわないとは、自分の経験からも併せて、樺氏の心理学的視点から述べさせていただいた。次回からはその解決策があるのかどうかについて考えてみたいが、果たして解決策はあるのだろうか。⇒ウマが合う、合わないとは<その2>  )
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別居であっても、仕送りの事実があれば、生計維持要件を満たす<年金の場合>

2015-10-17 18:23:38 | 社会保険労務士
遺族基礎年金の場合「子」は父母と生計を共にすれば支給停止

 遺族年金は、一生を添い遂げる夫婦であれば、一般的には単純にもらえる可能性が多いところですが、離婚や再婚の場合においては、誰がもらえるのかやどれくらいの額になるのかが複雑になり、分析してみないと分からないということが出てきます。

 次の場合はどうでしょう。

 元妻からの相談です。自分(元妻)は、夫と離婚しましたが、元夫との間に生まれたまだ幼い子供と一緒に生活をしていました。元夫からは十分とはいえませんがいくらかの仕送りをしてもらい暮らしていました。ところが、その元夫が事故に遭い、亡くなりました。この場合、自分たちには、遺族年金は出るのでしょうか。なお、元夫は、再婚はしておりません。

 公的な遺族年金と言っても、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあります。

 元妻は、離婚しているので、すでに配偶者ではなく、遺族基礎年金も遺族厚生年金も支給されません。

 は、幼いとありますので、少なくとも18歳年度末の子と思われますので、年齢要件は満たします。そこで子ということですが、元夫との親子関係はなくならないので、「子」に該当することは間違ありません。そこで、元夫が死亡したときに、元夫が子を支えていたという「生計維持関係」認められなければなりません。いくらかの仕送りをしてもらっていたとのことですので、元夫との生計維持関係はあると認められると考えられ、子には受給できる権利はあります。

 しかし、遺族基礎年金の場合は、子は父母と生計を一にすれば支給は停止されますので、この場合、子は母と同居していますので、遺族基礎年金は支給されません。結論的にいえば、子には遺族厚生年金だけが支給されるということになりそうです。
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改めて、なぜ任意加入期間が合算対象期間なのでしょうか。<合算対象期間の解きほぐし>の付録

2015-10-11 06:20:40 | 社会保険労務士
 任意加入期間は強制加入期間ではなく、加入は本人の自由にした期間なのですが・・・<社労士試験の基礎知識>

老齢基礎年金を受給するためには、保険料を納付した期間が25年あることが要件となっています。基礎年金においては、時には所得等が少なくなって納められない場合のために、いろんな保険料免除期間がありますので、この認められた保険料免除期間もこの25年のカウントに含めていいことになっています。

 さらに、それでも足らない場合に合算対象期間という、この25年の中には含めてもいいが、年金自体の額の計算基礎にはしないという合算対象期間という、いわゆるカラ期間というものを設けています。足りない場合には25年の期間には、プラスしてもいいが、年金の額には反映しないという「カラの期間」を設けているのです。この合併対象期間の中でよくあげられるのに、61年4月の新法の配偶者があります。61年4月1日前の旧法においては、例えば夫が働いて妻が専業主婦である場合には、妻には年金制度に入っても入らなくてもよかった、いわゆる任意加入期間であったのです。この任意加入期間については、合算対象期間とされています。ほかには、平成3年3月までの学生についても、任意加入期間でかならずしも年金制度に入らなくてもよく、これも合算対象期間です。ほかにも、ありますが、ここではそれを挙げるのが目的ではありませんで、他に譲ります。⇒ <複雑そうな「合算対象期間」の解きほぐし(任意加入期間)へ>

 では、この任意加入期間がなぜ合算対象期間なのか?当たり前ではないかという方もいらしゃるかも知れませんが、ここでもう一度改めて考えてみましょう。私は、この任意加入期間は、入っても入らなくてもいいよといったときに、本人が選択して入らなかったので、それは本人の責任であり、なんで合算対象期間にするのか不思議でした。

 しかし、そうではありません。入っても入らなくてもいいよといいよと言った国は、それは個人の自由だからねといったことになります。どちらを選択しようとその個人の自由であり、ましてや法律を犯してはいないのです。そして、その加入の自由の選択権を与えておきながら、そのために保険料納付期間等が25年に達していなかったからといって、年金の受給権までを奪うことはできません。言い換えますと、国は加入しても加入しなくてもいいよと言っておきながら、一部の保険料の納付があったとしても、受給の年数に達していないので、年金の受給資格自体がないということになって、年金はもらえませんというのでは、理屈に合いません。そこで、任意加入期間にとっては、年金額には反映されないが、受給資格があるかどうかの保険料納付期間+保険料免除期間が25年に足りない時はプラスしていいよといった意味で、まさに合算対象期間の定義そのものにピッタリあったものであるといえるのです。
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障害年金申請(初診日証明)には、健診結果、病院の領収書、お薬手帳、診察券の保管が有効

2015-10-03 16:31:52 | 社会保険労務士
カルテの法の保存期間はわずか5年

 公的年金の障害年金についての一般の理解が進まない中、実際もらえる人でも知らないことから、もらっていない方は多いようです。そんな中、吉野特定社労士さんが、障害年金のことについて、基礎から説き起こし、しかも豊富な実例を交えながら、障害年金をもらえる可能性がある人のために、自分で請求できるようにと、分かりやすい道案内の意味合いから一般向けに書かれた本が出ました。
 障害年金のポイントは、下のように3つの受給要件を満たしていれば、受給できます。しかし、具体的に申請するとなると、さまざまのケースがあり、事はそれほど簡単にはいかず、不支給の憂き目に会う場合もあるようです。著者は、その豊富な経験から自分の当たった実例を上げながら、一般の方がどこに注意して申請すればいいのかを説明しています。
  <3つの受給要件>
 1、初診日に被保険者(=厚生年金あるいは国民年金に加入していること、ただし例外あり)であること<初診日要件>
 2、障害認定日又は裁定請求日に、障害の程度が等級に該当すること<障害の程度要件>
 3、保険料の納付要件を満たしていること<保険料納付要件>
 
 さて、この本の中で、健診記録は取っておきましょうというのがあります。会社の健診では、少なくとも1年ごとに行っているはずで、1年取っておいても次の健診があれば、前の健診は捨てるという人も多いと思われます。しかし中には、年ごとの結果の移り変わりが分かるように、ずっと取っている方もいます。
 健康診断で異常が発見され、療養の指示がなされた場合は、この健診の日が(*1)初診日となりますので、ずっと健診の記録が残っていると、支給の前提である初診日の証明がすぐに出来ることになります。しかし、特に慢性疾患など長期にわたって悪くなっていく場合など、基本的に健診により異常が指摘された日が初診日となりますが、カルテも保存されてない場合が多く、初診日の証明ができなくなりますので、健診結果は取っておいた方がよいようです。

 著者が健診記録を保存すべきと口を酸っぱくして言う理由として、次のような(*2)を挙げています。30代後半の会社員で人工弁置換術の手術を受けた方で、障害はこの手術は3級と決まっていますので、障害の程度では問題ありません。健康診断で心雑音が指摘されたとのことで、そのままいけば、健康診断の日が初診日となりますが、その後、9年間何事もなく会社でも普通に働き、年に一度の心エコー検査を行う「経過観察」だったとのことであり、社会的治癒(医療を行う必要がなくなり社会復帰していること)を主張して、9年後のエコーで異常が指摘された日がその初診日がなったとのことです。
 9年後の初診日ということになれば、管理職であった本人は、給料も年々増加しており、障害厚生年金は平均報酬額(いわば給料の平均額)に比例して増加していきますので、それだけ年金の額は増えることになります。この社会的治癒ですが、社会保険審査会でも、裁決できちんと社会的治癒は認められています。「社会的治癒と認められるためには、相当の期間にわたって、当該傷病につき医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、その間に通常の勤務に服していることが必要と解される」(平23社会保険審査会裁決)とされています。(同書P127)
 
 この社会的治癒を主張する場合に役立ったのが、本人が取っておいた健康診断の結果とのこと。経過観察期間の9年間にわたり事業所における心電図の検査結果は「A」であること、問診時の聴診でも心雑音の指摘はなかったことから、社会的治癒を証明することができましたとのこと。9年分の本人の健康診断の結果が残っていればこその話です。

 異常があること、逆に異常がないことを証明するためのは、どちらを証明するにしても健康診断の結果は有効です。今ある健康診断の結果は、絶対に捨てないようにと著者は言います。

 なお、同様に、ここは本当に取っている方は稀なところでしょうが、病院の領収書、お薬手帳や初診日の診察券も初診日の証明に役に立つといいます。なにせ、カルテの保存期間は日本の法律では、5年と定められており廃棄されるものも多いため、長い間に徐々に悪化していく病気にあっては、初診日の証明が非常に難しくなっていきます。そんなとき、これらのものが初診日を証明してくれるといいます。基本的には、カルテに基づき、初診日は判断されますが、それがない場合には、これらの「確からしい」といえるものがあって、はじめて認定されるのであって、あくまでも本人の話だけでは認定されません。

  
 *1 初診日:一般的には、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診断を受けた日である。この初診日の証明が非常に重要で、この初診日の証明がないと障害認定日(一般には、初診日から1年6か月経過日)もいつになるかが分からず、保険料納付要件も初診日の前前月を基準に算定するため、この証明ができてこそ、3要件を満たす条件が整うことになる。
 *2 例:あえて無理やり私が要約したので、著者の趣旨・意図が伝わらないところもあると思われますので、ぜひ詳細は本書をご覧ください。
  <著書>「スッキリ解決!みんなの障害年金」 吉野千賀著 発行所㈱三五館
       ⇒吉野氏のブログ中、本の紹介  

 
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