元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

第34回ビジネス実務法務検定の「電子取引(消費者保護法)」(第1問)の問題・解答/解説コメント付き

2013-12-31 16:49:50 | 社会保険労務士
 今回は、第34回ビジ法の中から「消費者保護法」の範疇に挙げられるものとして、インターネットにかかる法規制を取り上げてみたいと思います。インターネットに関してのトラブルは、最近では多くあります。ネットをさまよっているうちに、変な画面が出て、正直に、要請された所に電話をかけたら、契約が成立していると虚偽の事実を告げられ、お金を要求されたとか、本当にいろいろあります。

 民法では、申込み・承諾の意思表示の合致により契約の成立となりますが、この承諾については、その承諾を発した時点で契約成立という発信主義の原則があります。

 
 ところが、承諾の意思表示を電子メール等で行う場合には、承諾の意思表示が相手方に到達した時点で成立するという到達主義が適用されています。したがって、電子取引では、承諾の意思表示が、到達しなければ、契約は成立しないのです。そこで契約成立の過程を順次説明すると、ホームページ上に店舗を開設し商品の案内をしている場合、この商品案内は「申し込みの誘因」であり、それを見た消費者等が買いたいとの意思表示は「申し込み」となり、これに対し店舗開設の事業者は、さらに「承諾」の意思表示を行うことにより、その意思表示が消費者等に到達して始めて契約成立となることを意味します。(電子消費者契約法)

 
 その他、電子取引においては、消費者保護関連法ともいうべき規定がそれぞれの法律に規定されていまして、一つの消費者保護法としてまとまってはいないのですが、消費者センターで取り上げる電子関係の法律には、さまざまあります。センターでは、それらを駆使して消費者を保護しているわけです。


 第1問 1-3 (3点)
 インターネットにかかる法規制に関する次の1~5の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選びなさい。

  「特定電子メールの送信の適性化等に関する法律」(迷惑メール防止法)上、特定電子メールの送信者は、あらかじめ特定電子メールの送信に同意する旨を送信者に通知した者に対して特定電子メールを送信する場合、送信者の氏名または名称その他の所定の事項を特定電子メールに表示しなくてもよい。

  迷惑メール防止法上、特定電子メールの送信者は、あらかじめ特定電子メールを送信することに同意する旨を送信者に通知したものに対しては、送信者が特定電子メールの送信に用いる電子メールアドレスを偽って特定電子メールを送信することができる。

  コンピュータのアクセス管理者がコンピュータにアクセス制御機能を付加して第三者の不正な利用を制限している場合において、当該コンピュータの正当な管理・利用権限を有しない者が、アクセス管理者の承諾を得ずに、アクセス管理者になりすまし、利用権者にそのIDやパスワードを当該コンピュータに入力するよう求める旨の電子メールを送信する行為は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)により禁止されている。

  インターネットを通じて不特定の者が利用できるウェブサイト上で、個人のプライバシーを侵害する情報が流通し、当該個人に損害が生じた場合、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)上、特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介するプロバイダは、損害発生の防止のために必要な注意を果たしたことを証明しない限り、損害賠償をまぬがれない。

  「電子署名及び認証業務に関する法律」(電子署名法)上、電子署名について認証業務を行うことができるのは、公証人に限られている。


<解説コメント>
 1-3-1 × 特定電子メールの送信は、同意者に対して送信する場合でも、一定の自分の情報(氏名、名称等)を表示することが必要。
 1-3-2 × これは論外です、メールアドレスを偽って送信していいことがありません。
 1-3-3 ○ そのとおり。
 1-3-4 × 故意過失については、弾力的な措置(送信防止が技術的に可能かつ権利侵害を知っていた等であること)が取られていま す。
 1-3-5 × 公証人に限られない。民間の特定の機関でも可能。

 したがって、3が正解である。


<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
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第34回ビジネス実務法務検定の「不正競争防止法」(第4問)問題・解答/解説コメント付について

2013-12-29 06:00:41 | 社会保険労務士
第34回ビジネス実務法務検定試験(H25.12.8実施)においては、第4問において、不正競争防止法の問題が出題されました。
 ここで取り上げたのは、不正競争防止法は、労使関係(労働者ー使用者の関係)において、労働法以外に、間接的に必要な法律の一つとされているからです。⇒ <⇒間接的に必要な法律:「個人情報保護法」同解説コメントへ>
 というのは、不正競争防止というと、労使関係に関係ないように思えるのですが、特に営業秘密として不正競争防止法の保護を受けるためには、「営業秘密の取り扱い」が前提となり、従業員は働いている間も、退職してからもその取り扱い上注意すべきものであります。

題4問 4-4 (3点)
 不正競争防止法に関する次の文章中下線部1~5の記述のうち、その内容が最も適切でないものを一つだけ選びなさい。

 不正競争防止法は、規制すべき「不正競争」を類型化して列挙し、不正競争を行った者は、差止請求や損害賠償請求、刑事罰等の対象となる。
 たとえば、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一の商品等表示を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為や、1 競争関係にある他の事業者の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為は、不正競走に当たる。また、不正の手段により営業秘密を取得する行為や、営業秘密の保有者からその営業秘密を示された者が不正の利益を得る目的等でその営業秘密を使用または開示する行為も不正競争に当たる。
 営業秘密として不正競争防止法上の保護を受けるためには、当該情報によって生産、販売、研究開発に役立つなど、事業活動に有用なものであること(有用性)が必要であり、2、例えば、成功した実験のデータは有用性の要件を充たすが、失敗したデータは有用性の要件を充たすことはできない。また、3、発明が特許法による保護を受けるには特許権の設定登録が必要であるのと異なり、営業秘密は、公的機関への登録を法的保護の要件としていない。
 不正競争防止法上、不正競走に対する救済手段の一つとして、4.裁判所は、不正競争により営業上の信用を侵害された者の請求により、当該侵害をした者に対し、営業上の信用を回復するために必要な措置をとるよう命ずることができる。また、裁判所は当事者の申し立てにより、侵害行為を証明するために必要な書類の提出を命令することができる。書類の所持者は、正当な理由があるときは、その提出を拒むことができるが、この場合、5、裁判官のみが侵害行為の証明に必要な書類を審査し、当該書類の提出を拒む理由があるかどうかの判断を行う、いわゆる「インカメラ手続」が認められている。

<解答>
 4-4-1 ○ そのとおり
 4-4-2 × 実験失敗データも「失敗は成功の母」というように有用性が認められる。
 4-4-3 ○ そのとおり
 4-4-4 ○ そのとおり
 4-4-5 ○ そのとおり
 したがって、適切でないのは2である。

<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
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第34回ビジネス実務法務検定の「個人情報保護法」(第1問)問題・解答/解説コメント付について

2013-12-26 18:29:25 | 社会保険労務士
第34回ビジネス実務法務検定試験(H25.12.8実施)においては、第1問において、個人情報保護法の問題が出題されました。
 ここで取り上げたのは、個人情報保護法は、労使関係(労働者ー使用者の関係)において、労働法以外に、間接的に必要な法律とされているからです。というのは、社員の個人情報については、入社前の応募書類から、雇用されている間(特に健康診断)まで、さらには退職した社員の分までの情報管理が必要になるからです。
ただし、規制の対象となり個人情報取扱業者は、5000件を超える情報を取り扱う者とされているため、中小企業者はほとんど該当しないとみられますが、そうであっても、現状では同様の取り扱いを行うことが求められています。

題1問 1-1
 個人情報保護法に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1~5の中から1つだけ選びなさい。

  個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなければならず、いったん特定した利用目的を変更することはできない。
  個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
  個人情報取扱事業者は、保有個人データに関し、当該個人情報取扱事業者の氏名または名称、すべての保有個人データの利用目的等、一定の事項について、本人の知る得る状態に置かなければならない。
  個人情報取扱事業者は、法令に基づいて個人データを第三者に提供する場合であっても、あらかじめ本人の同意を得なければならない。
  個人情報取扱事業者は、その保有する個人データの内容が真実でないとして、本人から当該データの訂正が求められた。この場合、当該個人情報取扱事業者は、原則として、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの訂正を行わなければならない。

 1 アイウ  2 アウエ  3 アエオ  4 イウオ  5 イエオ 

<解答>

 1-1-ア × 利用目的の変更は、全くできないわけではありません。ただし、合理的な範囲内に限られます。
 1-1-イ ○ そのとおりです。
 1-1-ウ ○ そのとおりです。
 1-1-エ × 「法令に基づいて」といっています。法令に基づく場合や人の生命・身体・財産の保護のため必要な場合であって、同意を得ることが困難等いくつかの例外が挙げられてあって、この場合は、本人の同意は必要ない。
 1-1-オ ○ そのとおりです。
  したがって、イウオの文章が正しいので、答えは、4である。


<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
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第34回ビジネス実務法務検定の「消費者保護法(特商法)」(第3問)問題・解答/解説コメント付について

2013-12-21 05:09:07 | 社会保険労務士
 今回は、労働法からの説明をはずれて、第34回ビジ法の中から「消費者保護法」を取り上げてみたいと思います。第34回(H25.12月実施)では、消費者保護法の問題が2題出題されていました。<広義には、インターネット関連(第1問 1-3)問題として、合わせて3題> 実は、これを取り上げるのは、私の昔かかわった所(職歴)として、消費生活センターがあります。

 
 労働法と同じく、消費者保護法という名の法律はありません。最近世間を騒がした表示に関しては、JAS法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法、薬事法も表示を中心とした消費者保護の規定は、広い意味で、消費者保護法の中に含まれてきます。ビジ法の公式テキストの中では、景品表示法を除き、事業関連法として紹介されていますが、広義の消費者保護法の中に含まれるというか、むしろ、消費者センターでは、これらの法律も含めて、消費者問題に対応していかなければならない場面があります。消費者保護法は、「労働者対使用者」「消費者対企業者」という、特別の領域の問題を取り扱うという観点から、また、一般的な説明にある、情報・組織力の点からの「強者対弱者」の溝をうめる法律という意味では、非常に似通った法律関係にあると思っています。
<これに関連して「消費者契約法」と「労働契約法」の比較へ>

 さて、一般的な消費者保護法としては、主に出てくるのが、特定商取引法です。今は、意味が分からない「特定商取引法」ですが、出来立てほやほやのときの法律は、「訪問販売法」と申していました。訪問販売=(イコール)クーリングオフ(消費者による無条件の解約)という分かりやすい法律だったのです。ところが、いろんな手口が出てきて、最近の例でいうと、訪問販売ではなく、宝石・貴金属の「訪問購入」も出てきて、その都度、法律を改正して、「訪問販売の範疇」の中に入らない、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提供誘因販売取引(内職・モニター商法)、特定継続的役務提供などを含めて、これらを総称して「特定商取引」と呼び、これを規制する法律として、特定商取引法と呼ぶことになったのです。分かりやすい「訪問販売」という枠の中に入ってこなくなったので、已む得ず、「特定取引」という枠でくくったにすぎません。その特定商取引法の問題です。

 第3問 3-2
 特定商取引法に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1~5の中から1つだけ選びなさい。

  販売業者は、インターネットのホームページ上で自社商品を販売する通信販売を行う場合、当該ホームページに販売業者名、商品の価格及び引渡時期等の一定の事項を表示しなければならない。
  販売業者が、消費者との間で、通信販売の方法により商品の売買契約を締結した。この場合において、販売業者が当該商品の広告に契約解除の可否や解除に伴う商品の返品の条件など所定の事項を表示していなかったときは、消費者は、商品の引き渡しを受けた後、一定期間内であれば、当該契約を解除することができる。
  販売業者は、新聞の折り込みチラシを見て営業所に来店した消費者との間で売買契約を締結した。この場合、本件取引は訪問販売に該当するため、当該消費者はクーリングオフを行使して当該売買契約を解除することができる。
  販売業者は、訪問販売をするに際し、その相手方に勧誘を受ける意思があることを確認すれば、その後、相手方が売買契約を締結しない意思を表示したとしても、引き続き当該売買契約の締結の勧誘をすることができる。
  販売業者は、消費者との間で訪問販売による売買契約を締結するに際し、消費者にクーリングオフが可能であることを示す書面を交付しなかった。この場合であっても、消費者は、特定商取引法所定の期間が経過すると、クーリングオフを行使して当該売買契約を解除することができなくなる。

 1 アイ 2 アオ 3 イエ 4 ウエ 5 ウオ 

<解説コメント>
 3-2-ア ○ その通り
 3-2-イ ○ その通り
 3-2-ウ × 原則として店での契約は、訪問販売ではない。ゆえに、クーリングオフはできない。
 3-2-エ × 相手方が売買契約を締結しない旨の意思表示したなら、勧誘は続けられない。
 3-2-オ × 書面交付しなかったならば、いつまでもクーリングオフ行使の期間は終了しません。いつまでもクーリングオフできる。
  なお、クーリングオフの期間は、一般的な訪問販売の場合は、この書面を受け取ってからその日を含めて8日間です。
  したがって、アイが適切な文章であり、1が正解である。


<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
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第34回ビジネス実務法務検定の「使用者責任・労災法」(第2問)問題・解答(解説コメント付)について

2013-12-17 06:33:11 | 社会保険労務士
 第34回ビジネス実務法務検定試験(H25.12.8実施)においては、第2問において、次のとおり、民法の「使用者責任」と「労災法」の混合問題が出題されました。

第2問 2-4
 建設会社X社が建設を請け負っているビルの工事現場において、X社の従業員Yが作業中に操作を誤ってクレーン車が転倒する事故が発生した。本件事故により工事現場付近を通行していた大学生Zが負傷した。この場合に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1~5の中から一つだけ選ぶなさい。なお、本件工事は、労働者災害保険法(労災保険法)の適用事業であるものとする。

  X社は、Yの責任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、及び相当の注意をしても損害が生ずべきであった時を除き、Zに対して使用者責任に基づく損害賠償責任を負う。

  Zは、X社を被告として、X社の使用者責任に基づく損害賠償責任訴訟を提起した。この場合において、Zが親類から見舞金を受け取っていた時は、その金額は、損害賠償請求訴訟において、損害賠償の額を算定するに当たり、損益相殺の対象となる。

  Zは、X社が工事現場への立ち入りを禁止する措置を講じていたにも関わらず、漫然と工事現場に立ち入ったために本件事故により負傷した。この場合において、Zが、X社を被告として、X社の使用者責任に基づく損害賠償責任訴訟を提起したときは、裁判所は、Zの過失を考慮して、損害賠償額を定めることができる。

  X社は、Zに対し使用者責任に基づく損害賠償責任を負担したことにより損害を被った場合、一定の限度において、Yに対する求償権の行使を認められることがある。

  Yは、X社に臨時に雇用されているアルバイトであり、本件事故に起因して負傷し療養をうけた。この場合、アルバイトは原則として労災保険法上の労働者に当たらないため、Yの療養について労災保険法に基づく保険給付は行われない。

 1、アイエ 2、アイオ 3、アウエ 4、イウオ 5、ウエオ

解答
 2-4-ア ○ そのとおり
 2-4-イ × 見舞金については、損益相殺の対象外。
 2-4-ウ ○ そのとおり
 2-4-エ ○ そのとおり
 2-4-オ × アルバイトも労災法の労働者。労災法の支給の対象になる。
 
 したがって、適切なものの組み合わせは、アウエとなり、3.が正解。

<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
<⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
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