年金を担保にして融資ができるのは認められた公的機関だけ~福祉医療機構等のみ
年金の受給権は、一身専属の権利とされ、その意味は本人のみにその権利が帰属し、他人に譲ることのできない権利とされています。さらには、借金の担保にしたり、差し押さえたりはできないものとされています。
ただ、原則には、例外はあるものです。年金は、大きく分けると支給の事由は、老齢、障害、遺族に分かれます。障害を理由に年金を支給する、本人が死亡したので遺族に年金を支給するなど、福祉的性格があります。ところが、65歳になってからとかの年齢を理由に支給する老齢年金は、福祉的意味合いよりは、むしろ今まで働いて収入を得てきたのが退職等を機に収入がなくなることに対し、その所得補償という面が強く出てきています。
そこで、老齢を事由として支給する、老齢基礎年金、付加年金、及び老齢厚生年金等のの受給権は、国税滞納の差し押さえの対象となっています。年金と言えども、意図的かどうかを問わず、税金が払えずにいる者に対して、福祉的なものとしてではなく「所得」としての意味合いの年金も差し押さえができないというのでは、国民の納得が得られないことから、政策的な配慮にもとずくものなのでしょう。(もちろん、差し押さえの限度はあります。)
また、年金は受給者の生活安定のためであり、税金の対象とはされず非課税が原則です。ここでも例外があり、同様に老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金など、老齢及び退職を支給事由とする年金給付については、所得税が課されます。ただし、公的年金については、雑所得として計算されますが、公的年金控除額ができるなど、納める額の配慮がみられます。
借金の担保についてはどうでしょうか。これについても原則として禁止されていますが、厚生年金や国民年金を担保として、唯一独立行政法人福祉医療機構だけが融資できることになっております。(共済年金や恩給を担保としては、日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融国庫が融資している。) 年金だけがたよりの生活者は、保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需品の購入など一時的にお金が足りない時もあり、その時のために、どこも貸してくれないということではこれこそ問題です。年金を担保にして融資できるのは、これらの機関以外にはありません。
なお、年金の種類は、老齢、障害、遺族いずれのものでも借りられます。
これに対して、同じ年金を担保にして、本来は認めていない貸し付けを、民間の金融業者が行っている場合があります。消費生活センターに勤めていた時には、こんな相談を何度か聞いたことがあります。証書を預かるというやり方は福祉医療機構と同じですが・・・似て非なるがごとし。福祉医療機構も証書を預りますが(代わりに預り証書をもらえます。)、制度として認められていますので、年金支給額の中から借金者の指定した額を償還できます。しかし、民間の業者の場合は、証書を預かっても償還金が入ってこないことから、強制的に口座番号、年金証書番号、暗証番号等を聞きだし、キャッシュカードを受け取り引き出したり、口座から出金する用紙を作成させて、業者が代わりに引き出すこともしているようです。銀行印を預かることもしているようです。年金証書を肩代わりに、行っている悪質商法と言えます。受託金融機関で正式の手続きを行いながらも、その斡旋料として法外な手数料を取っている場合もあります。出資法の上限利率20%を超える貸し付けも行っているとも聞きますが、「高齢者歓迎」「年金立替」「高齢者も借りられます」などのうたい文句で宣伝を行っているようです。
年金は、老後の貴重な生活資金という性質がありますので、公的年金を担保にむやみに貸し付けをすることは控え、積極的な年金担保貸付制度は行うべきではありません。融資できる公的な機関においても、低利で計画的にかつ必要な場合に限って、必要な金額について貸し付けを行うことに努め、いたずらに年金担保融資の利用を促すことはありません。民間業者のこうした例は、こうした消極的な年金融資制度を逆手にとった悪質商法です。
いずれにしても、年金の受給権は一身専属的であり、例外はあるものの、他人に譲ることのできない権利であることを考え、うまく活用・生活していかなければなりません。貴重な年金です、大事に使いましょう。<自分への自戒を含めて>
年金の受給権は、一身専属の権利とされ、その意味は本人のみにその権利が帰属し、他人に譲ることのできない権利とされています。さらには、借金の担保にしたり、差し押さえたりはできないものとされています。
ただ、原則には、例外はあるものです。年金は、大きく分けると支給の事由は、老齢、障害、遺族に分かれます。障害を理由に年金を支給する、本人が死亡したので遺族に年金を支給するなど、福祉的性格があります。ところが、65歳になってからとかの年齢を理由に支給する老齢年金は、福祉的意味合いよりは、むしろ今まで働いて収入を得てきたのが退職等を機に収入がなくなることに対し、その所得補償という面が強く出てきています。
そこで、老齢を事由として支給する、老齢基礎年金、付加年金、及び老齢厚生年金等のの受給権は、国税滞納の差し押さえの対象となっています。年金と言えども、意図的かどうかを問わず、税金が払えずにいる者に対して、福祉的なものとしてではなく「所得」としての意味合いの年金も差し押さえができないというのでは、国民の納得が得られないことから、政策的な配慮にもとずくものなのでしょう。(もちろん、差し押さえの限度はあります。)
また、年金は受給者の生活安定のためであり、税金の対象とはされず非課税が原則です。ここでも例外があり、同様に老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金など、老齢及び退職を支給事由とする年金給付については、所得税が課されます。ただし、公的年金については、雑所得として計算されますが、公的年金控除額ができるなど、納める額の配慮がみられます。
借金の担保についてはどうでしょうか。これについても原則として禁止されていますが、厚生年金や国民年金を担保として、唯一独立行政法人福祉医療機構だけが融資できることになっております。(共済年金や恩給を担保としては、日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融国庫が融資している。) 年金だけがたよりの生活者は、保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需品の購入など一時的にお金が足りない時もあり、その時のために、どこも貸してくれないということではこれこそ問題です。年金を担保にして融資できるのは、これらの機関以外にはありません。
なお、年金の種類は、老齢、障害、遺族いずれのものでも借りられます。
これに対して、同じ年金を担保にして、本来は認めていない貸し付けを、民間の金融業者が行っている場合があります。消費生活センターに勤めていた時には、こんな相談を何度か聞いたことがあります。証書を預かるというやり方は福祉医療機構と同じですが・・・似て非なるがごとし。福祉医療機構も証書を預りますが(代わりに預り証書をもらえます。)、制度として認められていますので、年金支給額の中から借金者の指定した額を償還できます。しかし、民間の業者の場合は、証書を預かっても償還金が入ってこないことから、強制的に口座番号、年金証書番号、暗証番号等を聞きだし、キャッシュカードを受け取り引き出したり、口座から出金する用紙を作成させて、業者が代わりに引き出すこともしているようです。銀行印を預かることもしているようです。年金証書を肩代わりに、行っている悪質商法と言えます。受託金融機関で正式の手続きを行いながらも、その斡旋料として法外な手数料を取っている場合もあります。出資法の上限利率20%を超える貸し付けも行っているとも聞きますが、「高齢者歓迎」「年金立替」「高齢者も借りられます」などのうたい文句で宣伝を行っているようです。
年金は、老後の貴重な生活資金という性質がありますので、公的年金を担保にむやみに貸し付けをすることは控え、積極的な年金担保貸付制度は行うべきではありません。融資できる公的な機関においても、低利で計画的にかつ必要な場合に限って、必要な金額について貸し付けを行うことに努め、いたずらに年金担保融資の利用を促すことはありません。民間業者のこうした例は、こうした消極的な年金融資制度を逆手にとった悪質商法です。
いずれにしても、年金の受給権は一身専属的であり、例外はあるものの、他人に譲ることのできない権利であることを考え、うまく活用・生活していかなければなりません。貴重な年金です、大事に使いましょう。<自分への自戒を含めて>