元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

やりがい・ 達成感・裁量権・連帯感は、メンタルヘルス面でも大きく影響<会社の創業期の例>

2016-04-30 18:22:15 | 社会保険労務士
 会社の創業期の強いストレスにもメンタルヘルス不調者が出なかったのはなぜか?

ずーとさかのぼること、数十年前のことである。病院の医療事務の係長をしていた頃、医療事務のコンピューター化をしようということになったが、スタートの時期は決まっており、途中で間に合わないことが分かってくると、皆が一致してやらねばならないという固い決意の下、どうにかプロジェクトを完成した経験がある。長時間残業も皆ものともせずに行ったが、メンタルヘルスの不調者が出なかった事に対して、よくもまあそれで済んだあと思うことしきりである。

 そこで、同様に、たとえばとして、次のような例を考えてみよう。数人でベンチャー企業を立ち上げ、初めのその有志は、社長役も副社長も、専務等の幹部たちも給料もろくろく与えられず、わずかに入った取引の報酬から、皆で給料を分け合い、時には、大きな取引が入ったとかで、三日三晩、徹夜の状態で仕事をするだけではなく、日常的にも、やったこともない事務処理等も入ってくることから、当然のごとく長時間の残業ともなる。わずか数人での立ち上げのため、社長や一番下の者でさえ、○○部長の役職が与えられ、少なくとも公式の場では役職で呼び合うが、会議で議論が伯仲するとオイ、オマエという言葉も飛び交い、皆会社を成功させようという志は一緒のようである。皆な創業のプロジェクトを成功させようとやっきになっているのである。この職場は、客観的に見ても、非常にストレスの高い状態だと言えるが、まったくメンタル不調者は、この段階では出てこない。

 しかし、新規の社員も必要になり、会社が安定期に入っていく。給料もそこそこもらえるし、厚生面でも充実してきた。社長・幹部たちは、創業期の苦労を知っているが、新しい社員たちは、話を聞かせてもそれほど関心を持たず、会社が中堅だからという理由で、会社に入ってきた動機の者もちらほらいることになる。創業期に発生していた無茶苦茶な残業は発生しないにもかかわらず、この状態の段階で、メンタル不調者が多々発生することになる。

 創業期のストレスは、安定期のストレスより本来は強いストレスのはずであるが、創業期にメンタル不調者が出ないのは、どういうことであろうか。アルバートエリスのABC理論(※下記 関連記事 参照)のBにおける、ストレスの「感じ方」の違いであろう。創業という会社を立ち上げた者どうし、会社の成功という同じ目的に向かっているのである。ちょっと意見が違っても、会社を成功させようということは同じであり、分かり合える人間関係にある。そして、自分の意見が採用されるという自負も皆持っているのである。連帯感、やりがい、達成感、裁量権を創業者たちは、上から下の者までも持っている。しかし、会社が大きくなると、連帯感、やりがい、達成感、裁量権は、その上司・部下の人間関係や組織関係の中に、さがして「見つける」ことが必要になってくる。

 ここで、上司の部下の管理方法としては、「俺についてこい」というようなやり方では、どうも通用しなくなっているのではないか。新入社員にしても、最近では、社会の経験者もおり、あるいは高学歴の方等もいる。仕事の内容によるが、こうやれではなく、この仕事の目的はこうだから、やり方については、その運用の範囲内にあれば、認めるということもあり得よう。(ただし、技能者のようなものについては、やり方について、初めから教示していくこともある。) 今言ったのは一つの方法にすぎず、要は、やりがい、達成感、裁量権等をいかに持たせるかということである。あまり、縛るやり方では、部下はついてこないし、精神衛生上もよくないのではないか。

** 参考:著書<「職場のメンタルヘルス」を強化する> 精神科産業医 吉野聡 ダイヤモンド社発行
  

関連記事<アルバートエリスのABC理論>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

職場のストレスに上手に対処するSOC=首尾一貫感覚(有意味・把握可能・処理可能感)の育て方は

2016-04-23 17:33:42 | 社会保険労務士
 上司が部下にSOCを意識して働くのを見せることによって、部下にもSOCが育つ

 では、このSOC(を職場でどう鍛えるかとなると、吉野氏は残念ながら特効薬はないという。しかし、日常の仕事の中で、SOCを意識し、これを育てていくことは可能であるという。吉野聡氏は、SOCを育てるための、自己育成・鍛錬の方法と職場の上司の取るべき態度はいかにあるべきかを述べている。

 自己鍛錬の方法だが、つまらない仕事であろうとその中に仕事の意味を必死に見つける(S=有意味感)。忙しくてたまらないときは、仕事の見通しを立てて、仕事が終了したとの自分への褒美を想像する(O=把握可能感) 成果がきっと出るはずだと自分にいい聞かせ、もしも思った成果が出なくても自分の人生はそれで終わりではなく、もっと余裕を持つように発想ができるようにする(C=処理可能感) 日常行っている仕事の中で、自分でこのような考えを意識的に身に着けることによって、ストレスに上手に対応できることになるという。

 研究では、SOCの高い上司の下で働く部下には、高いSOCが育つという。部下にSOCを伝え育てることを説明するよりも、むしろ自分自身がSOCの感覚を強く意識して働くことが重要であるという。
 SOCの低い上司は、「上がやれというから、しかたない」(Sの欠如)とか、「こんなくだらない仕事いつまでしなければ・・・」(Oの欠如)とか、「おれたち、失敗して左遷だな」(Cの欠如)といった言葉を発し、部下と事に当たる。
 SOCの高い上司は、「うちのチームがやることで社内にこんなメリットが・・」(Sの意義)、「今期にこの仕事をやってけば、来期はこれを基礎に面白い仕事が・・」(Oの意義)、「君たちは思い切ってやってくれ、責任は俺がもつ」(Cの意義)といって、仕事の意味・道筋・楽観性を持たせる。
 SOCの高い上司の下で育った部下は、部下自身SOCが高くなるのである。
 
 今の若い世代は、このSOCが育っていない、低い傾向にあるという。昔は小学校低学年はギャングエイジと呼ばれ、集団で遊びながら、なんら遊び道具のない中で自分たちの「遊び」を編み出していたのとは違い、今では「トリセツ」のあるゲームで育った若者たちである。この意味で、有意味感・把握可能感の醸成にも影響しているとみられる。また、他者からの評価を過度に気にして、大成功より失敗の少ない育てられ方をしてきた世代であり、処理可能感も育たなかったという。
 上司は、この点を踏まえて、若い世代に対して、このSOCを意識しながら、職場教育をしていく必要があるという。


** 参考:著書<「職場のメンタルヘルス」を強化する> 精神科産業医 吉野聡 ダイヤモンド社発行
  同書の趣旨を表現・用語を含めてたどったものであるが、必ずしもそのままではなく、解釈・要約の過程で私なりに編集したところがあります。その点の編集責任は自分にありますので、念のため。

前回へ<ストレスを上手に対処できる人の共通点=SOC{首尾一貫感覚}の概念(アントノフスキー提唱)>


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストレスを上手に対処できる人の共通点=SOC{首尾一貫感覚}の概念(アントノフスキー提唱)

2016-04-16 17:49:19 | 社会保険労務士
 ・有意味感<どんな仕事でも意味を見出す>・把握可能感<大変な状況下でも的確な対応>・処理可能感<「何とかなるさ」という楽観性>

 第2次大戦下、ナチスはユダヤ人を連行し強制収容所へ送り込んだが、その身体・精神的に過酷なストレスのある中でも、健康で長生きをした人がいた。ユダヤ系アメリカ人の医療社会学者であるアントノフスキーはこれらの人々の共通点を探し出す研究を行い、SOC(sense of coherence)=首尾一貫感覚という概念を提唱した。

 SOCは、次のとおり、有意味感、把握可能感、処理可能感の3つの要素から構成され、このSOCが高い人は、ストレスの大きなものに遭遇しても、心の健康を害さずに過ごすとことができるという。

     ⇒ 有意味感~どんなつらいことに対しても、何らかの意味を見いだせる感覚
 SOC ⇒ 把握可能感~直面した困難な状況を、秩序立った明確な情報として受け止められる感覚
     ⇒ 処理可能感~どんなにつらいことに対しても、何とかなるはずと思える感覚

 1 有意味感 たとえば、新人さんには、先輩の企画書のコピー取りをよくやらされるが、こんなつまらない仕事をではなく、一番先にその内容を見ることができて、その勉強をできる特権が与えられているという見方もできる。厨房の皿洗いは、皿にの残ったソースをこっそり味見するチャンスが与えられているということもできる。このように、どんな仕事にも特権・チャンスを見いだせる力のことである。

 2 把握可能感 これは、言い換えると、大変な状況に陥ったときに、パニックにならず、テンパらずに、冷静に事態を分析して、的確な対応がとれる力(段取り力)のこと。例えば、忙しくて、日曜出勤もやらざるを得ず、もちろん遊ぶどころではない状況にあるとすると、把握可能感が低い人は、いつまでもこの状況が続くように思い、精神的に追い込まれる。しかし、これが高い人は、忙しいのはだいだい△月ごろまでだから、その間は最低限の睡眠時間は確保してがんばって、その後は少しずつ余裕ができるはずだから、代休を取って、旅行に行ってリフレッシュしようというような、先を見通すことができる力のことである。要するに、仕事や人生には波があって、その中で自分の置かれている状況を的確に把握する能力のことである。

 3.処理可能感 言い換えると「なんとかなるさ」と思える楽観性の事である。具体的には、終わらない仕事はない、失敗しても命まで取られることはないと思える力の事である。
 
 この3つの力が高い人は、大きな負荷であるストレスでも、うまく対処できる。労働時間・仕事の難易度・人間関係困難度などの要素より、このSOCの高さが、心の健康にもっとも関与しているという研究もあります。

 SOCが高いと、労働時間が多少長くても、こんなにたくさんの仕事を任されているなんて幸せとか、人間関係の悪い職場にあっても、これならどこの職場でもやっていけるぞと 前むきに捉えることも可能である。SOCが低いと、どこの職場でもありそうなストレスでも不適応型メンタルヘルス不調の原因になる。ストレスに強い人材になりたければ、このSOCを鍛えればよい。

** 参考:著書<「職場のメンタルヘルス」を強化する> 精神科産業医 吉野聡 ダイヤモンド社発行
  同書の趣旨を表現・用語を含めてたどったものであるが、必ずしもそのままではなく、解釈・要約の過程で私なりに編集したところがあります。その点の編集責任は自分にありますので、念のため。
  
 →では、職場の上司はどうするか⇒⇒<続く>職場でSOCを育てるためには

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

同じストレスでも強い人と弱い人がいるのはなぜ?<アルバートエリスのABC理論>

2016-04-10 20:13:17 | 社会保険労務士
 「非合理的な思考」=「認知の歪み」10種類(デビッド・D・バーンズ)にも留意

 職場でストレスを感じたとき、同じストレスであっても、天と地がひっくり返ったように感じる人と日常生活上で生じるストレスとまったく変わらないような感じ方である人のように、全く感じ方が違うようだ。この違いはなんであろうか。

 「職場のメンタルヘルスを強化する」の著者 吉野聡氏は、アルバートエリスのABC理論を紹介している。

 この理論は、ある出来事(Actvating event 賦活事象)が生じたとき、その結果として人がどのように反応(Consequence 結果)かは、その人の考え方・捉え方(Belief 信念)次第であるというものである。
  Actvating event 賦活事象⇒Belief 信念⇒Consequence 結果
    出来事            感じ方    ストレス反応

 ここで、AとCは、1対1で対応するものと勘違いをするようであるが、その間にBという「信念」が介在する。「怒られたから気持ちが沈んだ」ではなく、「起こられることは恥ずべきことであって、絶対に避けなければならない」という信念がそうさせるということなのである。必ずしもCは「落ち込んだ」とはならず、「起こられることは期待されている証拠だ。怒られなくなったらおしまい」というような「物の捉え方・感じ方」=Bがあれば、「奮起して頑張った」=Cという人もいる。ストレスに強い人と弱い人の違いは、このBの違いであり、ストレスに強い人材を育てるためにはこのBにアプローチする方法しかないことになる。

 企業の今までのメンタルヘルス対策の中心は、労働時間を減らし、責任を軽減し、精神的負担(すなわち「A」)を和らげることにあって、義務的にコンプライアンスとか社会的責任の中で行ってきたのであり、それは企業にとっては単なるコストに過ぎなかった。もちろん、過重労働やハラスメントなどの加重な精神的負担を原因として発症する「過負荷型メンタルヘルス」にあってはこれら精神的負担をできるだけ減らすことは効果的であり、過重労働等を強いる企業の活動の中にあっては、国家を揚げて行う必要は当然あったのである。

 しかし、「上司からこっぴどく叱られた」というような職場に当然起こり得るような出来事が発症の原因であるような「不適応型メンタルヘルス」の場合は、この精神的負担を和らげる方法だけでは意味はなく、ストレスを前向きに捉え(Bを育てる手法)、自分を成長(成長型メンタルヘルス)させることしかないのである。このことは、企業の成長にとっても、有用なメンタルヘルスであり、それは単なるコストではなく、企業の経営者にとっても受け入れやすいと思われる。

 それでは、どうするかであるが、例えば重要な仕事を任された部下が失敗したらどうしようとプレッシャーに押しつぶされそうになっているとする。そのとき、その対応として、任せる仕事の範囲を狭めることもその仕事から外す(Aへのアプローチ)ことも可能ではあるが、そうではなく、「絶対に成功させなければならない」といったBの非合理的な考え方を指摘して、思いっ切ってこの仕事に挑戦してみる意欲を起こさせるよう考え方を改めさせる。重要な仕事というものAは、なんら変わらなくても、Bが変わり結果Cが変わることになる。

 ⇒ここで上司の発する「言葉」としては、氏は次のように述べている。
 「君が今、プレッシャーに押しつぶされそうになっているのは、重要な仕事だから絶対に成功させなければならないという思考に陥ってしまっているからではないだろうか。もちろん、重要な仕事だからそのような窮屈な思考になることは分かるが、できることばかり無難にこなしていても君の成長にはつながらないよ。君のアイデアを存分に出して、思いっきってこの仕事に挑戦してみたらいいじゃないか。万一、失敗したって会社がつぶれるわけではないし、君が首になることもない。無難に成功するより挑戦して失敗した方がそこから得られるものは大きいいはずだよ」

 このような考え方・捉え方の「非合理な思考」は、デビッド・D・バーンズの10種類の認知の歪みとして類型化されており、概略次のようになっている。
 日常生活の中でも、この認知の歪みによって、合理的な考え方が出来ないことが多いので、これで自分の考えのチェックをした上で、考え方を修正してみると良い。ちなみに、私(甲斐)の場合は「マイナス化思考」や「すべき思考」が強いようである。
 
 1、全か無か思考  物事を白か黒、勝ち負けというように両極端に捉えてしまう。

 2、過度の一般化  一つうまくいかないと、全部うまくいかないと思ってしまう。

 3、心のフィルター 出来事が起こると、全て悪い方向に解釈してしまう。

 4、拡大解釈と過小評価 嫌な出来事を大げさに捉え、よい部分を適切に評価できない。

 5、感情的決め付け  自分の気分や感情がよいか悪いかによって物事を判断してしまう。

 6、マイナス化思考  中立的な出来事を自己否定的なマイナス方向に解釈してしまう。

 7、結論の飛躍    現実とは異なる悲観的で絶望的な結論を飛躍して出してしまう。

 8、すべき思考    具体的な理由なしに「~すべき」と考えてしまう。

 9、レッテル貼り   部分的情報からネガティブな方法に全体を判断してしまう。

 10、個人化      ネガティブな出来事の原因を自分の責任へと還元してしまう。



 ** 参考:著書<「職場のメンタルヘルス」を強化する> 精神科産業医 吉野聡 ダイヤモンド社発行
  同書の趣旨を表現・用語を含めてたどったものであるが、必ずしもそのままではなく、解釈・要約の過程で私なりに編集したところがあります。その点の編集責任は自分にありますので、念のため。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

過労死等防止対策推進法の「過労死」とは「精神障害による自殺」を含む!!

2016-04-03 17:12:51 | 社会保険労務士
 さらに「過労死等」の「等」はその「死亡」に至る脳血管疾患・心臓疾患・精神疾患の病気そのものを指す

 1990年後半から2000年代初めにかけて、金融やIT等による不況となり、企業が正社員の削減や採用抑制を進めていった結果、20歳代後半から30歳代の男性労働者を中心に所定外労働時間が特に多くなり、その働きすぎによる心身の健康の障害が出てきた。その象徴として、労災や労災に伴う民事訴訟の件数が増加した。そこでこれに対応するために、脳心臓疾患や精神障害の認定基準を改定した。(脳疾患2001年改定、精神障害2011年改定)

 しかし、労災等だけでの対応では事後的なものであるため、もっと根本的な立法上の対応が必要であるとして、平成26年6月27日に過労死等防止対策推進法が制定されるに至った。施行は、平成26年11月1日である。

 もともとその主な原因であるとされる長時間労働は、労働基準法や労働安全法によって、規制されているところであるが、過労死が増加するに伴い、法の名称が示すように、過労死等を正面に捉えて、その対策を図っていこうという法律である。
 そこで、この法律が対象にする過労死等とはなんぞやということになるが、次のようになっている。

 (定義)第2条 この法律において「過労死等」とは、(1)業務における加重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡(2)若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又は(3)これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。
 (1)過重な業務に伴う脳血管障害・心臓疾患を原因とする死亡と、もう一つ(2)業務による精神障害を原因とする自殺による死亡ということで、本来の過労死そのものは、(1)であろうが、業務による精神障害を発症して、それが原因で自殺に至ったというものも、もう一つの広い意味での過労死ととらえている。過労死というのは、2つの意味でとらえているというこである。
 そして、過労死等の等とは、さらに(3)の「死亡」に至る、これらの脳血管疾患・心臓疾患・精神疾患という病気を指している。
 つまり、過労死等とは、2つ意味の過労死と過労死の原因となる脳血管疾患・心臓疾患・精神疾患という広い範囲でとらえているのが特徴である。

 この法律の目的としては、過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状であると正直に認めた上で、(あ)過労死等に関する調査研究を行うことにより、その成果を効果的な過労死等の防止の取り組みに生かす そして、(い)過労死等を防止することの重要性という、国民にその自覚を促すことにある としている。(第3条 基本理念)
 基本的には、この法律は過労死等防止の基本法であり、この法律を基に、過労死等を正面から見据えて、過労死等の調査研究を行うとともに、国民の関心と理解を深めることにある。その意味では、具体的にこうするということではなく、対策を行おうということがやっと法律に制定されて、やっと緒に就いたというとこだろう。

 この法律の中で、国民の感心と理解を深めるための具体策が示されているのは、第5条の規定により、11月を過労死等防止月間と位置付け、各種事業を実施するとしたところだろう。
 その他に、の行うものとして
      ・我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書の提出(6条)
      ・過労死等防止対策大綱の策定(7条)
      ・相談体制の整備(10条)
      ・過労死等防止対策推進協議会の設置(12条)
 そして、地方公共団体は、国とともに、啓発や相談体制の整備を行うことをうたってあるが、事業主の義務については、現在のところ、これらの防止対策に協力するよう努めることしか書かれていない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする