元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

メンタルヘルスマネジメントについて<うつ病治療の新常識=うつ病診断の中には双極性障害も!!>

2012-05-28 05:59:48 | 社会保険労務士
うつ病の診断には双極性診断の可能性も!!

 NHKのあさイチ 4月4日の番組で「うつ病治療の新常識」のテーマで特集を組んでいました。

 今まで、「心の病」といわれてきた病気が「脳の病」なのが、分かってきたというのです。こころの病というのは、あくまでも誰でもかかるということから、云われてきたことですが、「脳の病」と言い換えたのは、脳の中に明らかに変化が起きているということが分かってきたからです。
 
 光トポグラフィー検査によって、うつ病の診断が確実に可能となりました。うつ病と診断されている病気の中には、双極性障害(いわゆる、そう=躁とうつが交互におとずれる「躁うつ病」)が4割程度含まれているというのです。光トポグラフィー検査は、日本で開発された、頭に近赤外線をあて、頭の働きを血流量の変化から調べる検査です。その検査から、うつ病と双極性障害を見分けることができるとされています。

 今まで、双極性障害もうつ病と誤診断されていたものがあるということですが、誤断というよりは、医者にかかるときは、双極性障害=躁うつ病のうつ状態のときに医者にかかる率が多く、うつ病と診断されるのも仕方ないと思われます。この検査により、今まで質問等により主観的に診断していたのを、データにより客観的に診断できるようになったのです。

 この病名が違ってくるので、薬の処方が違ってくるのは当然と言えます。双極性障害なのに、うつ病と診断され、うつ病の薬を処方されていたのですから、効かないというより、むしろ悪影響が出る場合があるともいわれています。
 (***しかし、これを聞いて、薬を中止することは危険です。まずは主治医に相談してください。)

 ただし、この光トポグラフィー検査は、先進医療のため、保険がききませんし、15の医療機関でのみ実施されているようです。⇒
 先進医療の厚生省HP⇒ 先進医療機関の一覧表のNO44                                      

 この記事は、NHKあさいちのホームページに概略が載っていますので、興味のある方は、確認をお願いします。
NHKあさイチの「これまでの放送」を閲覧のこと

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採用の場合の前の会社への問い合わせについて

2012-05-21 05:03:37 | 社会保険労務士
 採用の際、何かを感じたら必ず前の会社に聞いてみよう!!

 同業の他者であるタクシー会社に勤務し、その会社を懲戒免職で首になりその事実を隠していた例など職歴の詐称については、労務提供の内容や質を判断する上で欠かせないものであるので、裁判では懲戒免職は有効とされていますし、こと犯罪歴になれば、罪を償っているからか必ずしも有効とはされていませんが、状況に応じては、有効とされる場合もあるようです。

 裁判でも、職歴詐称は、それほどまでに重要なものとされていますので、採用の場合には、少なくとも履歴書に職場の履歴は書くでしょうから、何らかのこの人は「おかしいのではないか」という直感を感じたら、前の会社に勤務状況を問い合わせるべきです。いったん採用してから、解雇等をする場合に問題となるのであって、採用する前に、問題を見つけ採用しないのであれば、なんら問題はありません。

 何か問題を起こした人であれば、「あの人を採用するんですか」というような変な返答が戻ってくるかもしれません。

 そこで問題になるのが、個人情報保護法ですが、この法律は、情報取得の際、その利用目的等を周知し、その取得した情報を目的外に使用したり、同意なく第三者に提供することを制限する法律であって、必要な情報を確認することを規制するものではありません。ただ、相手の会社は、「個人情報ですから本人から聞いてください」というような受け答えをする例が多いようですが、聞いたら悪いということではありませんで、逆に「コメントしたくありません」といった、こちらにとっての必要な「情報」が聞けるかもしれません。

 また、使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、国籍、信条、社会的身分、労働組合運動に関する通信をしてはならない(労基法22条4項)がありますが、これは4つの内容が限定されているうえ、「あらかじめ謀り」とあるように、照会に回答することまでを禁止するものではありません。

 採用に当たっては、慎重に慎重を重ねても悪くはありません。
 
 <参考>社長は労働法をこう使え!ダイヤモンド社、向井蘭著
     問題社員の法律実務 日本経済連出版 石井妙子著
     個人情報保護 日本経済新聞社 岡村久道・鈴木正朝著
     

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契約社員の雇止めは、3回以下なら可能か?!

2012-05-12 05:06:10 | 社会保険労務士
雇止めの大臣基準からくる勘違い!!

 例えば、2か月間雇いますといった、期間の定めのある労働者、いわゆる契約社員でも、2か月経った場合に契約を更新して、その更新が3回以上となった場合には、正規の職員と同様に、契約期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。これは、あくまでも厚生労働大臣の定める基準であって、法律そのものではないんですが、ただこれは労働基準法14条によって、「契約の締結・満了時に紛争が起きることを防止するために、大臣が基準を定めることができる」という法の規定に基づいて定められた基準です。

 ところで、この基準からすると、3回以上更新したら、雇止めはより厳格になりますので、そこから発展して、契約更新が3回までの契約社員は、雇止めできるということを何となく感じていましたら、そうではないんですね。*

 向井蘭弁護士は、裁判所は、契約更新の回数よりも、仕事の内容や契約した目的がどうなのかということだと考えていると言います。これは、臨時の仕事でない場合や、正社員と同じ作業をさせており、そのような期間雇用のある社員が常時いる場合が問題になるのであって、契約回数が問題ではないといいます。契約した回数が1回だけでも、会社側が負けること(=雇止めができない)もあるとしています。もともと、期間雇用の労働者は、臨時の仕事をしてもらうため雇うものでしょう。

 逆の場合として、回数更新を重ねても雇止めが有効になるものとして、確実になくなる仕事をしてもらう場合とか、いずれ契約を更新しないことを告げている場合を挙げていますが、例えば、大学講師、英会話講師の場合は、会社が勝つケースが多いとしています。

 そして、経営者に肝に銘じて欲しいのは、次のようなことを向井弁護士はおっしゃっています。
「とくにフルタイムで契約社員を常時多数雇っている場合、臨時の仕事を任せたいというよりは、経営状態が悪化したときは辞めてもらいたいという軽い気持ちで契約している使用者が多いでしょう。そういうケースは確実に会社が負けます」
 そして、「(そういった)意識が強いほど、会社側に厳しくなります。常にある仕事なら、正社員として雇うべきというのが裁判官の価値判断であり、経営者のこのような考えは非常に嫌われるのです。」(向井蘭著「社長は労働法をこう使え!」ダイヤモンド社)

* 3回以内まで認められるというのは、向井弁護士は、派遣社員(派遣法の3年ルール)からくる勘違いではないかと指摘されています。 



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メンタルヘルスマネジメントについて<採用の際のメンタルの情報の慎重な聞き取り方法>

2012-05-07 08:30:30 | 社会保険労務士
 メンタル面の病歴は採用の際聞いてはいけないというわけではありません。

 メンタル面の情報は、採用の際に健康診断をしても、分からないというのが実情でしょう。それでは、本人から聞いてはいけないのかというと、慎重に聞く必要はありますが、聞いてはいけないということではありません。

 メンタル面で思わしくなくなった人について調べてみると、前の会社でもそうあったということもあるようです。採用面接において、原則として、過去の病歴を聞くことは、禁止はされていません。

 向井蘭弁護士は、次のように述べて、健康チェックシートの文例を挙げておられます。※

 メンタル面での病歴は、聞いてはいけないように思われがちですが、疾病によっては業務の遂行に支障が出る場合があります。採用面接において、精神疾患を含めた過去の病歴を聞くことは認められています。
 健康体で労務を提供する者を採用したいという使用者の考えは尊重されており、当然ながら就職差別につながらないよう注意しつつ、業務の目的に必要な範囲内で情報収集することは可能なのです。
 たとえば、過去2年間のなど、直近の一定期間を区切って聞くことなどが考えられます。口頭では聞きづらいこともあると思われますので、右上(ここでは、次のとおり)のような「健康状態チェックシート」を作成し、面接時に記入してもらうことなどが有効でしょう。

 健康状態チェックシートの文例
 採用にあたり、あなたの健康状態について質問させていただきます。回答の結果は、あなたの採用選考、採用後の労務管理以外には使用しませんし、第三者にあなたの同意無く提供することはいたしません。
 記載したくない場合は、記載しなくても結構です。
 (1)過去2年間、病院に通院したことがありますか?     YES    NO
 (2)通院したことがある場合、その病名をすべて挙げてください。
 (                                      )

 
ただし、向井弁護士は、別項目として挙げられ、述べておられますが、「HIV」「B型・C型肝炎」等の感染情報については、厚生省の指針により、業務上の特別の定めがない限り、取得すべきではないとされています。また、色覚異常等の遺伝情報も、就業上の配慮を行う特段の事情がない限り、一律に取得すべきではないとされています。

※「労働法のしくみと仕事が分かる本」(日本実業出版社)向井蘭著P36~37




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