元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

地方公共団体の不思議(1)<勤務条件>

2011-05-02 16:38:20 | 社会保険労務士
地方公務員には、労働基準法は基本的には適用になるが、一般国家公務員には適用にはならない!!

1 決して元職場だけの話ではないと思いますが・・・。もうほとんどのところ、時効になった話としてお聞きください。
 地方公共団体の勤務条件は、国の制度にならって作られています。給与の制度にしても、勤務時間にしてもほとんどそうです。
 有給休暇も国の休暇制度に模して作られています。

2 ところで、労働者の最低の労働条件を定めた「労働基準法」は、国の一般職員には適用されていません。
 しかし、人事院が監督しており、変な定めはしておらず、少なくとも労働基準法の内容に応じた規定となっております。

3 ところが、なんでか県市町村の職員には、バッチリと、この労働基準法は適用になっております。
 おそらく「地方公務員法」という法律ではこう考えたものと思われます。考えるに、国の制度に準じたものを地方で定めるとはいえ、これは、必ずしも法的に担保されたものとはいえません。(特に給与については「均衡の原則」という、民間や国等のバランスを取った制度を作るということは、あるにはありますが・・)
 地方の実情に応じて、その地方公共団体の議会の議決による「条例」で定めることになっており、地方のオリジナルがあるということから、やはり勤務条件の最低基準である、労働基準法を適用すべしとの判断、すまわち労働基準法の網をかぶせたものと思われます。

4 そこで問題が出てきます。労働基準法の有給休暇制度では、平成22年4月から、たとえば、1~2時間の暇をいただけるようになりましたが、それまでは、時間単位の休暇は認められていなかったのです。というのは、有給休暇は、労働による心身の回復をはかるためには、短時間の休暇を取ってもダメで、1日単位以上の休暇しか認めていなかったのです。時間単位の休暇では、休んだことにはならないというのが理由です。(半日の休暇までは一応労使双方がよければいいよとはなっています。) さらにいえば、もっと長い休暇を前提としていたフシがあります。有給休暇は、労働者の請求する「時季」に与える といった季節の「季」の字が使われているからです。

5 ところが、労働基準法の有給休暇については、この有給休暇の取得率が5割を下回っているという現状や、「仕事と生活の調和」(いわゆるワーク・ライフ・バランス)の観点から、ちょっとした時間に暇をもらって、ちょっとした用事をかたずけることが要求されるようになりました。そこで、22年4月から時間単位の休暇が「初めて」認められるようになったのです。

6、そして、なんと国家公務員には、この時間単位の休暇を「始めから」先取りして、認めていたのです。国家公務員には、労働基準法は適用にならないのでいいんですが、あわれなのは、国に準じて同様の制度を作った地方公務員(県職員や市町村職員)です。県や市町村の職員といった地方公務員は、時間単位の休暇が取れるのは、先の説明のように、ちょっとした用事を済ませられるという「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)の面からは確かにいいんですが、法律的には、最近まで労働基準法という法律に関しては、法違反ということになっていました。これは、当時、労働省の方が書いた「時間単位の有給休暇は認められるか」というQ&Aが出ていますが、違法という取り扱いがなされていたはずです(当時の資料がないので断定はできません。しかもこれは、あくまでも地方公務員に焦点を当てた議論ではありません。)。国に準じて条例をつくれば、今度は労働基準法に抵触することになっていたのです。

7 地方公務員といっても、すべてにつじつまを合わせるのはできず、こんなふうな矛盾を生じるという、○不思議の一つでしょう。

8 最後に、労働基準法の改正に条文に沿ってふれておきますと、22年施行の労働基準法39条4項では、使用者は、労使協定の一定の取り決めにより、5日以内で、時間単位の有給休暇を与えることができるとされました。 
 

  
コメント
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