元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

トラブル続きの「悪い」労働者を解雇し、やれやれと思っていたのだが・・・

2013-03-30 18:38:33 | 社会保険労務士
 辞めた集金人が同様の受取証の持って現れ、支払ってしまったのだが・・・

 Bさんは、いつも来る集金人に新聞代を支払っている。口座払いにすればよいと隣人のAさんは言うのだが、根っからの昔気質のBさんのため、どうしても現金で支払わないと気が済まないのだという。集金人も顔なじみになり、冗談が言える仲になっている。ある日、新顔の集金人が現れ、先月分をくれという。あれ、先月分は、いつもの集金員に支払っていると言ったのだが、新顔が言うにはあの集金人はには先月で辞めたというのだ。ちゃんと領収証もあるのだが、よくみるとちょっと雰囲気のちがう領収書であった。偽造されたものであるとその新顔の集金人は言う。この場合は、なかなかその集金する側の会社は、再度Bさんに支払ってくれとはいえないと思われる。

 民法480条では、「受取証書の持参人は、支払いを受領する権限があるものとみなす」とされている。受取証を持っていれば、受領する権限があるとみなされるのだ。これは、取引の安全と支払った者の保護の趣旨からくるものとされています。もちろん、支払者が善意無過失が前提であるが、その権限がないことを知っていたら払わないだろうし、過失により知らなかった場合は当然その本人の責任であるから、支払者がその責任を負って、権限のない者に支払ったところであって、支払わなかったとされても仕方がないからである。これ以外は、受領する権限があるともみなされて、集金会社は、再度の集金はできないことになる。解雇されて今では集金人でないものが徴収してもである。会社側は、元集金人に損害賠償請求などするしか方法がない。

 通説では、受取証が正当の権限をもった者が作ったものでないといけないとされているが、別の議論になるが、取引通念上、さも受取者らしき外観をしている限り、その支払いは有効とされるから、通説を取っても、一般的には、支払ったものとされることなる。

 使用者は、労働者といろいろトラブルがあって、解雇しても、残業代請求されたりするなど、これは不払いなら請求されても、やむ得ないところであろうが、解雇してやれやれと思っていた矢先、こんな事件に合うとするなら、そんな「悪い」労働者なら、生活に困ってとしてのものであるとしても、会社側としてはいかにも腹立たしいことになろう。

 その対抗措置として、地元の新聞にBさんは辞めましたからという告知をするということを聞くが、全部の退職した者に対して、広告することはできないし、そんな告知をすること自体、事件が起こってからのさらなる予防措置であるし、そもそも地もと新聞を取っていない家庭もあるだろうし、支払った者に「過失」があったとはいえないところであろう。(支払者に過失があるなら、支払いは無効なので、再度請求ができることにはなろう。)今後発生する家庭に対しての注意に呼びかけ程度にしかならないところであろう。
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賃金については、先取特権があります!!

2013-03-21 17:49:41 | 社会保険労務士
 倒産等で未払い賃金があった場合は?

 政府は、労災保険の適用される事業主が破産手続き開始の決定を受けたときは、6か月前の日から2年以内に退職した労働者の未払い賃金があるときは、限度額はありますが、労働者が請求したときは、当該未払賃金の立て替え払いを行うことになっています。(賃金支払い確保法)では、労災保険が適用される業種でないときや限度額を超えた場合などは、泣き寝入りになるのでしょうか。

 民法では、雇用関係で生じた給料については、債務者すなわちここでは事業主の総財産について、他の債権者よりも、給与をもらう権利がある労働者の方が優先的に、先に支払ってもらえる権利があることを規定しています。(民法306条、308条)これを先取特権といいます。退職金はどうでしょうか。

 
 退職金は給与の後払いと考えて、最高裁判所も、この給与の中に入るとして、支払わなければならないとされています。給与・退職金も事業主の財産がある限り、優先的に支払ってもらえることになります。
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働く意思のない者の更新6か月以上雇用契約の有給休暇には、使用者は時には民法の詐欺の適用も!!

2013-03-14 17:56:56 | 社会保険労務士
 悪意のある労働者も増えて使用者はそれなりの対抗措置も!!

有給休暇については、労働基準法で、大まかにいって、その雇い入れの日から6か月間その会社に籍を置いた場合に、出勤すべき勤務日の8割以上出勤したときは、10日の有給休暇を与えなければならないとされています。会社側からいえば、出勤しなければ、働いてないのだから給与は差し引くことができそうですが、6か月を過ぎ一定の条件を満たせば、有給の休暇を与えなければなりません。期間雇用や臨時的・短期雇用であっても6か月をすぎた場合も同様です。

 6か月で打ち切りの短期雇用で、次の契約を結ぶまでにまでに数日の空白期間があったとしても、実態として引き続き雇用されているとみなされた場合は、継続雇用とみなされ、6か月以上雇用されたと考えられますので、有給休暇を与えなければならないことになります。ここらは、使用者側は、6か月で打ち切りだからという論理は、通らないとになっています。労働基準法は、使用者のかっては許さず、非常に厳しく規制されています。

 最近では、労働者もさるもの、悪知恵の働くものもいるようで、6か月の期間雇用としたときには、まあ6か月はある程度まじめに働き、少なくとも8割以上の勤務は勤務して、新しく契約するか聞かれたときに、「働きます」といい、契約の更新をした途端に、有給休暇を取る者もいるようです。まさに労働基準法を逆手に取った、使用者は納得いかないことになります。

 これは、使用者は、まさに「詐欺」にあったようで、こんな場合でも10日の有給休暇を与えなければならないのでしょうか。労働契約はもともと労働者が労働し、労働するからこそ賃金を払うという契約(労働契約法6条)を結ぶのであって、働く意思のない労働者がなんぼ契約更新の意思を表示をして、契約を更新したからといって、「完全な契約」が成立したので、6か月以上の雇用だとして、有給休暇を認めなければななないのでしょうか。これは、働く意思のない者が働く意思があるといって、人をあざむいて、契約したのであり、民法上の詐欺に当たるのではないかと思われます。詐欺による意思表示は、意思形成過程にキズ(瑕疵)があるもので、「不完全な」意思表示による契約であって、結果として取り消すことが可能です。取り消せば、前提となる更新の契約そのものがなくなりますので、有給休暇もその前提を失います。有給休暇の権利は当然なくなります。

 このように労働基準法の範囲内で考えても、使用者にとっては納得いかないことになりますので、民法を引っ張り出してこざるをを得ません。ただし、この民法の詐欺は、詐欺には、「故意」が必要ですので、労働基準法の適用と違い、この点の証明が難しいところではありますが、労働者がそれなりの措置を取るときは、使用者も難しいと言って、指をくわえていていていいのか、使用者としてそれなりに対抗することは必要なのではないでしょうか。
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ホウレンソウには、中間報告がカギになる!!

2013-03-07 18:26:51 | 社会保険労務士
 中間報告は、上司の評価の分かれ目

 部下や直接の上司である係長・ちょっと部下との距離を置いた課長等など、それぞれ経験をしてきましたが、部下であった時代は、一生懸命であったんだけれども、上司になって見てみると、自分に足りなかった所が見えてくるものがあります。

 上司になってみると、よくいわれる「ホウレンソウ」は、自分に欠如していたんだなあと思います。一生懸命になるほど、最後の良い結果を報告したくて、途中経過を報告しないところがあるようです。部下として、完璧な仕事の完成を目指す人 ほど、報告する暇も惜しんで、「最後の結果」だけを報告すればいいと思ってはいないでしょうか。上司の関係で、求められるのはそれだけではありません。

 こんなときは、やはり途中経過を報告するべきです。1週間かかる仕事や一日で完成する仕事でも、2・3時間でできる仕事でも、上司はどこまでできているか気にかかるものです。私みたいに気の短い上司もいるものですので、どこまでできているかをちょっと伝えるでだけでも、上司は満足します。

 もうひとつは、中間報告をすることによって、最終報告で全部を報告するよりも、上司としてより早く報告の内容を呑み込めるし、部下としても、よいアドバイス等を得ることが出来ると思われます。

 さらに、中間報告は、修正を可能にします。方向性が違っている場合だってあり得ます。聞き違いだってあり得ます。こういった場合の仕事の「修正」を可能にするのです。

 最後に、上司は部下の仕事の評価をします。どんなに仕事の結果が良くても、中間報告がなくていらいらされられるような部下に対しては、良い評価は挙げられません。自分の中では、よい評価を得られるはずだと思っていても、評価は他人がするものなのです。

 また、非常時の報告は、別の考え方があります。平常時よりもさらにこまめの報告が必要となります。5W1Hの法則により正確な情報を伝えるのではなく、だれがどうしただけでもよいのです。情報の確認は必要ではなく、つかんだ情報をそのまま伝える必要があります。危機管理の大先生=佐々淳行氏は、三島由紀夫事件にふれ、その時の第1番目の情報は、「酔っ払いが暴れている」というような情報で、確か次の情報は「三島の首がちょんぎられた」というような情報であったといっています。(すみません。佐々氏の著書を昔読んだもので、ここら辺は非常に不正確なものです。間違っていたらごめんなさい。要するに、正確な情報ではなく、つかんだ情報をまず挙げる必要があるということです。)。ちょん切られたら、生きていないのかは、後の報告で確認すればよく、まずはつかんだ情報をかならずしも確認することは必要ではなく、そのままつかんだ情報を伝えることが必要だということです。

 
 日常でも、この考え方は、より「悪い情報」にあっては、必要とされる場合もあり、ここらの対応をどう対応するのか、部下の力量が問われます。
 
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使用者は従業員が相手に加えた損害を賠償する責任がある!!

2013-03-01 18:07:32 | 社会保険労務士
 民法のいわゆる「使用者責任」とは?
 

 D君は蕎麦屋の店員であるが、出前の丼を回収に行ったマンションで、ドアーの前の丼を取って帰ろうとしたところ、隣のドアーが開いて出てきた住人が、この丼が目障りだといい、どうも酔っているらしくからんでくる。一応謝ったが、つっかってくるので、頭にきたD君は、相手を殴ってケガをさせてしまった。〈この設例は「民法がよくわかる本」(兒嶋かよこ弁護士著、PHP文庫)に出ている〉この場合は、店員はもちろん、蕎麦屋の店主も損害賠償の責任が生じる。

 民法715条は、「ある事業のため、他人を使用する者は、雇われる者がその事業の執行につき、第三者に加えたる損害を賠償する責任がある」となっているところであり、これを「使用者責任」といいます。これには、例外があり、但し書きで、雇われる者の選任とその事業の監督について「相当の注意」をしたときは、責任をまぬがれるとありますが、裁判では、厳密に解釈され、また、それを証拠立てのも、蕎麦屋の店主の側になっているので、無過失責任に近い形になっています。すなわち、雇う側としては、店員の選任や監督に、自分に過失がないとはいえないのが本当のところであって、ケガをさせてしまっては、損害賠償の責任が生ずるのがほとんどである。

 従業員が勝手に喧嘩をしたのであって、そこまで蕎麦屋の「事業の執行」に当たるのかということもあろうが、これも範囲が非常に広い。ちょっと我慢をすれば済むところを、勝手に喧嘩をしてしまったのだからと言っても、蕎麦屋の「事業の執行」に当たらないとかならずしもいえないのである。本来の事業執行だけでなく、付随的業務もその範囲と考えられており、例えば、別の例で、旅館の番頭が、客に為替の取り立てを依頼され横領した事件でも、使用者責任が認められているので、相当その範囲は広く考えられている。

 ただし、雇われている者という表現をしたが、使用者責任は、他人の労働を支配監督下におくことから、使用者と雇われる者の間に実質的な指揮監督関係(服従関係、指揮命令関係も同じ意味)にあることが必要であるとされている。将に労働法でいう指揮命令関係にあることが必要である。したがって、指揮命令のない、「委託」業務の関係にあっては、使用者責任は及ばないことになる。

 社労士が取り扱う労働法関係では、労働基準法やその他の労働関係法が主な法律になるが、この使用者責任は、使用者と従業員との関係について、その責任を使用者に問うものであって、「民法」の条項ではあるが、必要となるべき条項であると考えられます。

 (参考文献)有斐閣双書「新版民法(7)」編集遠藤浩他
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