「武士道また称して士道というもの、吾人にしでに多くこれを聞けり。これぞ我が国民道徳の根底なり、礎石なり、柱梁なる。されど時代は推移し行きて、武士の品性を形成したる、その道なお存して、武士すでにあらず。この道は変化せる事態に新たに適応せられずんばあらず。この道は平民化さられずんばあらず。かつて社会の山巓山胸を照らせし日光は、今やその広大なる山麓に遍からざるべからず。士道は形を変じて、人民の道たる民道たるべし。教育の進歩とともに、戦を事とする貴族の武士は去りて、平和の民と称すべきかの平民は、陣頭に現われ来たらずんばあるべからず」(新渡戸稲造「随想録」より)
武士道精神を基に平和を希求する平民道。