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緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

在宅訪問診療の思い出(4)

2007年11月07日 | 医療

ある日、私はあきさんに尋ねました。

「以前、ある患者さんに
 言われたことがあるのですが
 体がきつくなって自宅にいても
 何もできないから
 病院から退院したくないと。
 あきさんは、どのように考えられますか?」

「私ね。ほらみて、壁にシミがあるでしょう。
 この家でずっと過ごしてきたんです。
 こんなシミを見ているだけで
 ここで過ごして来たこと
 昔の出来事が思い出されるんです。
 今の私は、ベットから降りることは
 もうできませんが
 このシミを見ているだけで
 家に居られる意味があるんです」

体は痛々しい程痩せ
寝ている時間の方が長い状況でしたが
表情はとても穏やかでした。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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我が主人は・・・。 (ぴょん)
2007-11-08 08:48:56
まぁ、管を色々つけないといけない状況になっていましたし・・・。家で、私一人で、お世話をするには、精神的にも肉体的にも無理な病状に主人は陥っておりましたが・・・。

主人自身が「絶対に家に帰りたくない!!」と言い張っておりました。
家にいる方が、自分自身で何かあった時、非常に不安で、居ても立ってもいられない!!と言う、精神構造になっていましたので・・・。

化学療法は、もう無理になったことを、本当に、心で納得して貰いたくって、外泊したことはありましたが・・・。先生にもご協力していただきました。
人生色々・・・。価値観も色々。病状も色々。安心感も、本当に色々であります。
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その通りです。 (aruga)
2007-11-09 21:54:19
それぞれの人がそれぞれの事情があるものです。
色々考えてこうしたいなあ~と選択することができて、それを周りの人々が尊重することができたら・・大切なことです。
返信する

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