緩和ケア医の日々所感

*** がんの症状緩和と子育てと ***

公平な行動とPassive-aggressiveな行動

2018年06月18日 | 医療
人に対し、何か悪いことを仕向ける場合、積極的なことをイメージしがちです。一方・・声をかけられても、無視をしたり、時間の約束をしていても、待たせたり、しないことで、実は攻撃しているがあります。忘れたふりをしたり、わざとゆっくりしたり、集団の中で、一人だけ役割を外したり、連絡や話し合いから遠ざけたり。Web上では、不機嫌な気持ちになると受け身的なやりかたで攻撃感情を表現し、あてつけや抵抗を示す(Wik . . . 本文を読む
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心不全の患者さんの緩和ケアチーム回診とカンファレンスから

2018年06月10日 | 医療
緩和ケアチームの診療に治療抵抗性心不全が加わるようになり、循環器内科から担当してくださる医師が決まり、毎週木曜日の午前のカンファレンスに参加してくださるようになりました。依頼も時々頂くようになり、同じ方向を向いていけるように話し合いのプロセスを大切にしていくことが今の目標となります。 ある日の回診で、高齢の患者さんは、私におっしゃいました。「もう、いいの。私。 一度、死んだようなものでしょ。」挿 . . . 本文を読む
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がん治療中の患者さんのWebを用いた苦痛症状の自己報告は生存期間を延長(JCO、JAMA)

2018年06月03日 | 医療
国内でも、がん診療連携拠点病院では、がん患者さんの苦痛の症状スクリーニングの実施にどうやって、時間と労力を配分するか、試行錯誤が続いています。今まで研究結果から、症状スクリーニングは臨床的な効果が乏しいと言われてきました。2016年のJCOからの報告。スローンケタリング単施設において766名の化学療法中の固形がん患者さんに対し、Web(スマホやPC)から12の症状について0-4の5ポイントについて . . . 本文を読む
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国試問題、臨床現場ではどう対処する?

2018年05月27日 | 教育
2013年4月14日の記事。最近、5年生病院実習中に解説した問題なので、再掲したいと思います。なお、この時は、ヒドロモルフォンは国内で未承認でしたが、現在は、保険収載されました。この時点では、選択肢には入っていませんが、後数年度、ガイドライン等で取り扱われることがあった場合は、選択肢として入ってくる可能性はあります。 ============今年から緩和医療学の講義が増えることもあり、緩和領域の . . . 本文を読む
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医者の奥底(6)私の踏み絵

2018年05月20日 | 医療
「何か問題がありましたか?」ゆっくりと落ち着いた声で尋ねてくださいました。「死の時を私達が決めてしまった そんな気持ちになったのですね」これが、私の踏み絵でした。こんな厳しい現実があるけれど本当に医師になる心構えがあなたにはあるのか・・問いかけられていました。このことが、死の周辺医療に携わろうと考え始めたきっかけでもありました。 数年前この時、お世話になった救急部の教授とある終末期医療 . . . 本文を読む
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医者の奥底(5)手を止めたとき

2018年05月14日 | 医療
手を止めたことそれが、死の時・・この現実に6人組の学生は、混乱し私は、頭が真っ白になっていました。それ以外にも、経験したことのない波にのまれていました。医師が外で経過を説明している声が聞こえていました。何人かの人の泣く声も・・横たわった男性の体が少しでも悲壮さがないように救急部の医師や看護師が周囲を綺麗にしていました。しばらくして、傍らに、奥さんが呆然と立っていました。私は、声をかけることも何もで . . . 本文を読む
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医者の奥底(4)救命処置

2018年05月06日 | 医療
(前回の記事につづきます。)もはやレスキューできないであろうことは学生だった私達にもすぐに理解できました。さっきすれ違った赤ちゃんを抱いた女性は目の前に横たわっている男性の妻であろうことも・・工事現場での墜落でした。心肺蘇生を試み、心臓マッサージを続けていました。考えられることはすべて行いつつ・・すぐに、鼻腔、外耳道から、出血してきました。頭がい底骨折からの出血でした。救急チームのリーダーが言いま . . . 本文を読む
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医者の奥底(3)初めての臨終

2018年04月29日 | 医療
私が、はじめて臨終の場に立ったのは大学5年生の時でした。 病院実習が始まり、救急部を回っていました。ある日の午後、院内にいた私達のグループは突然、全館放送で呼び出されました。「救急部の学生○○、○○・・・すぐ、救急外来まで」救急部に走ると、廊下に面した椅子に乳児を抱えた若い女性がじっと赤ちゃんの顔を見つめ座っていました。私達は、その様子にただならぬ雰囲気を感じながら処置室に入っていきました。20代 . . . 本文を読む
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医者の奥底(2)医師の踏絵

2018年04月22日 | 医療
前回の記事は、海外だけの話ではありません。日本の医師も同様なのです。この本の序文とまえがきには標準化すべき医療の側面の一方で(つまり、画一的な、マニュアル的な)ケアにかかわる医師の苦悩(つまり、マニュアル化できない情感)について書かれています。それは、まさしく、私の身の回りでおきている日常的な物語に連動していました。苦悩を抱えながらもなぜ、医師として働き続けるのか・・そもそも自分達はなぜ医に関わる . . . 本文を読む
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医者の奥底(1)医者が心をひらくとき(JAMA “A piece of my mind”)

2018年04月15日 | 医療
アメリカ医師会誌(JAMA)のコラム “A piece of my mind”は医師が体験した心に残る患者のことを記述したページですが、正規の手順を踏んでいて、レビューが入ることで有名です。これを翻訳した本「医者が心をひらくとき」李 啓充訳. 医学書院 (06年)時々、心が萎えそうになるときこの本を手に取り、この序文を読むことがあります。自分の原点を思い出させてくれ、何度読 . . . 本文を読む
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art of loving 愛は技術か・・ ”The Practice of medicine is an art・・”から考えてみる

2018年04月08日 | つれづれ
今日、何気につけていたTVからart of loving と書かれ、それを、”愛の技術”と訳されていて、出演者が「え~、愛が技術と言われるとねえ・・ 心だよねえ」と言っていることが耳に入りました。医学を art and sience と表現することがあります。"And I said of Medicine,that is an art, which considers th . . . 本文を読む
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ニューヨーク大学リハビリテーション病院の壁

2018年04月01日 | 医療
初めてこの記事をアップしたのが、2007年8月。その後、何度か再掲しましたが、今回、改めてリクエストを頂き、改めて再掲いたします。======================ニューヨーク大学リハビリテーション病院の壁には・・大変有名な詩が書かれています。作者は不明ですが、心も体も傷ついたベトナム戦争帰還兵の若者という説やここに入院していた神父という説もあるようです。以前、この詩をここで記事にしたと . . . 本文を読む
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ショパンバラード第1番が気づかせてくれたこと

2018年03月25日 | つれづれ
記憶は、一旦海馬に運ばれ、そこから大脳皮質にファイルされます。ファイルされた記憶は思い出し易く、その手前の海馬に留まっている記憶は忘れやすいことが知られています。ですから、遠い記憶は時間がたっても思い出されやすく、さっきの出来事はファイルされておらず、すぐに忘れてしまったりします。幼少時の誕生日のメニューは覚えていても、昨日の朝ご飯は思い出せないこともしばしばです。今年度ももうすぐ終わり。外は桜が . . . 本文を読む
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物と噛むと涙が出てくると話してくれた患者さんのこと

2018年03月18日 | 医療
10年以上前になります。今の病院ではにないところに勤務していた時のこと。顔の痛みで依頼を受けたことがありました。あるがんの患者さんで、頬が痛いと言われました。詳しく伺うと、鼻の下までその痛みは続いていました。咀嚼をすると、痛みは強くなり、時に、同じ側の目に涙が出てきたり、汗をかくことがあるとおっしゃいました。痛みで涙がでるなら、普通は両目に出てきますが、この方は、痛みのある側に限局していました。あ . . . 本文を読む
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震災の祈り;ドバイの出来事と永平寺の法要

2018年03月11日 | つれづれ
2011年の5月ヨルダンへ行く途中で乗り換えのためにドバイに降りました。その空港内のMcDonald's でクレジットカードを出したら、店員さんに"日本人か?"と尋ねられました。また、何か言われるのかなぁと在米中、日本の銀行のカードは受け付けないと言われたことを思いだし、素っ気なく、そうだとだけ告げました。 "地震のこと、津波のとこは聞いている。大丈夫か?" 予想もしていませんでした。とっさのこと . . . 本文を読む
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