goo blog サービス終了のお知らせ 

緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

第56回日本癌治療学会学術集会が終わりました

2018年10月21日 | 医療
第56回日本癌治療学会学術集会が終了しました。一年前に学会として、初めての女性の理事としてご指名を頂き、社会連携・PAL委員会委員長として運営に関わらせて頂いてきました。それまで、2代の委員長が立ち上げられ、発展させていらっしゃった委員会です。なすべきことがある程度決まっている他の委員会とは異なり、人と人が関係する委員会のため、意見を聞き、最善を話し合うプロセスは、運営はほぼ男性で行われてきた外科 . . . 本文を読む

拠点病院の新たな指針に驚いたこと

2018年10月14日 | 医療
2019年4月からのがん診療連携拠点病院の見直しに向けて、7月31日に厚労省から発出された指針がん診療連携拠点病院の整備に関する指針地域がん診療連携拠点病院は、今後、上中下ならぬ3段階に機能分化します。〇高度型 :特に優れている〇名称なし:今まで認定されてきたもの〇特例型 :必須要件が満たされていないもの高度型は指針P.17 に条件が記載されておりますが、都道府県の要件になっている緩和ケアセンター . . . 本文を読む

本庶佑先生!!鳥肌が立つ思いです

2018年10月01日 | 医療
がん就労の続きは次にとっておいて・・今日のニュースに感無量です!20年前の実験室で感じた不思議。リンパ節に転移したがん細胞。本来、攻撃の場であるリンパの塊の中で、がん細胞を取り巻くリンパ球が機能しない、まるで痺れさせられてしまっているような様子。なぜなのか・・・何が起こっているのか・・この疑問が解けず、私達のラボでは、痺れから目覚めさせる方法を探索していました。そして、20年を経て、本庶佑先生の論 . . . 本文を読む

働く世代のがん患者さんは1年間に企業660人に1人の割合で診断され、支援体制の充実で2人に1人は両立も可能

2018年09月24日 | 医療
病院といった組織の外でも疾病を持った人々の支援に当たれないか・・と思い、二つのことを始めました。一つは、親ががんになった子どもたちの支援のコアラカフェ®もう一つは、産業医となること。まだ、産業医として活動は始めていませんが、更新のための講習にがん就労が含まれるようになってきました。この週末の講習から。専任産業医が配置された企業は50人以上の従業員がいる規模になります。そうした企業(ここでは . . . 本文を読む

インフルエンザの学級閉鎖が出始めました

2018年09月17日 | 医療
東京都では、インフルエンザで学級閉鎖がすでに発生しています。http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/11/07.html江戸川区のようです。緩和ケアチームのブラッシュアップコンサルタントとして、非常勤の立場である病院に関わったことがありました。チームでは、横断的に色々な病棟に入ります。標準予防策であるマスク、アルコールの使用 . . . 本文を読む

救急車は救急医療を行うためにあるのですが・・

2018年09月09日 | 医療
9月8日のWebニュースにこのような記事がありました。   終末期患者が蘇生拒否、半数超の消防本部で 対応に苦慮  救急現場で終末期の患者側から心肺蘇生を拒否する意思を示されたケースが昨年、全国の728消防本部のうち、55・4%にあたる403消防本部であったことが総務省消防庁の調査でわかった。在宅医療が広がる中、救急隊員が難しい判断を迫られている現状が浮かんだ。  消防庁は5 . . . 本文を読む

厚生労働省がACP(アドバンスケアプランニング)の愛称を募集しています

2018年08月27日 | 医療
厚生労働省からアドバンス・ケア・プランニングの愛称募集だそうです。しかし・・・愛称って、何でしょう・・まったく、イメージできないのですが。。 厚生労働省のHPより ↑詳細は、こちらをクリック以下は、一部修正し掲載しています。(前略)人生の最終段階において、本人の意思が尊重され、本人が希望する「生を全う」できるよう、年齢を問わず健康な時から、人生の最終段階における医療・ケアについて考える . . . 本文を読む

苦痛を最小限にしようとする医療は、治癒を目指す医療と同じだけプロフェッショナルであるべきものなのです

2018年07月08日 | 医療
日本緩和医療学会が発刊している専門医受験のためのテキストの緩和ケアの総論の原稿依頼を受けてから、もう一度、緩和ケアの歴史をだどったり、文献を読んだりしていました。思い起こすことが多く、その後、執筆した単著著書の序文の中で、なぜ、世界に緩和ケアの概念が生まれたのか・・その原点に改めて触れながら、私が緩和ケアに転向しようと思った頃そして、緩和ケア病棟に勤務していた頃よく聞かされたことを思い出していまし . . . 本文を読む

公平な行動とPassive-aggressiveな行動

2018年06月18日 | 医療
人に対し、何か悪いことを仕向ける場合、積極的なことをイメージしがちです。一方・・声をかけられても、無視をしたり、時間の約束をしていても、待たせたり、しないことで、実は攻撃しているがあります。忘れたふりをしたり、わざとゆっくりしたり、集団の中で、一人だけ役割を外したり、連絡や話し合いから遠ざけたり。Web上では、不機嫌な気持ちになると受け身的なやりかたで攻撃感情を表現し、あてつけや抵抗を示す(Wik . . . 本文を読む

心不全の患者さんの緩和ケアチーム回診とカンファレンスから

2018年06月10日 | 医療
緩和ケアチームの診療に治療抵抗性心不全が加わるようになり、循環器内科から担当してくださる医師が決まり、毎週木曜日の午前のカンファレンスに参加してくださるようになりました。依頼も時々頂くようになり、同じ方向を向いていけるように話し合いのプロセスを大切にしていくことが今の目標となります。 ある日の回診で、高齢の患者さんは、私におっしゃいました。「もう、いいの。私。 一度、死んだようなものでしょ。」挿 . . . 本文を読む

がん治療中の患者さんのWebを用いた苦痛症状の自己報告は生存期間を延長(JCO、JAMA)

2018年06月03日 | 医療
国内でも、がん診療連携拠点病院では、がん患者さんの苦痛の症状スクリーニングの実施にどうやって、時間と労力を配分するか、試行錯誤が続いています。今まで研究結果から、症状スクリーニングは臨床的な効果が乏しいと言われてきました。2016年のJCOからの報告。スローンケタリング単施設において766名の化学療法中の固形がん患者さんに対し、Web(スマホやPC)から12の症状について0-4の5ポイントについて . . . 本文を読む

医者の奥底(6)私の踏み絵

2018年05月20日 | 医療
「何か問題がありましたか?」ゆっくりと落ち着いた声で尋ねてくださいました。「死の時を私達が決めてしまった そんな気持ちになったのですね」これが、私の踏み絵でした。こんな厳しい現実があるけれど本当に医師になる心構えがあなたにはあるのか・・問いかけられていました。このことが、死の周辺医療に携わろうと考え始めたきっかけでもありました。 数年前この時、お世話になった救急部の教授とある終末期医療 . . . 本文を読む

医者の奥底(5)手を止めたとき

2018年05月14日 | 医療
手を止めたことそれが、死の時・・この現実に6人組の学生は、混乱し私は、頭が真っ白になっていました。それ以外にも、経験したことのない波にのまれていました。医師が外で経過を説明している声が聞こえていました。何人かの人の泣く声も・・横たわった男性の体が少しでも悲壮さがないように救急部の医師や看護師が周囲を綺麗にしていました。しばらくして、傍らに、奥さんが呆然と立っていました。私は、声をかけることも何もで . . . 本文を読む

医者の奥底(4)救命処置

2018年05月06日 | 医療
(前回の記事につづきます。)もはやレスキューできないであろうことは学生だった私達にもすぐに理解できました。さっきすれ違った赤ちゃんを抱いた女性は目の前に横たわっている男性の妻であろうことも・・工事現場での墜落でした。心肺蘇生を試み、心臓マッサージを続けていました。考えられることはすべて行いつつ・・すぐに、鼻腔、外耳道から、出血してきました。頭がい底骨折からの出血でした。救急チームのリーダーが言いま . . . 本文を読む

医者の奥底(3)初めての臨終

2018年04月29日 | 医療
私が、はじめて臨終の場に立ったのは大学5年生の時でした。 病院実習が始まり、救急部を回っていました。ある日の午後、院内にいた私達のグループは突然、全館放送で呼び出されました。「救急部の学生○○、○○・・・すぐ、救急外来まで」救急部に走ると、廊下に面した椅子に乳児を抱えた若い女性がじっと赤ちゃんの顔を見つめ座っていました。私達は、その様子にただならぬ雰囲気を感じながら処置室に入っていきました。20代 . . . 本文を読む