前回の記事は、海外だけの話ではありません。日本の医師も同様なのです。この本の序文とまえがきには標準化すべき医療の側面の一方で(つまり、画一的な、マニュアル的な)ケアにかかわる医師の苦悩(つまり、マニュアル化できない情感)について書かれています。それは、まさしく、私の身の回りでおきている日常的な物語に連動していました。苦悩を抱えながらもなぜ、医師として働き続けるのか・・そもそも自分達はなぜ医に関わる . . . 本文を読む
アメリカ医師会誌(JAMA)のコラム “A piece of my mind”は医師が体験した心に残る患者のことを記述したページですが、正規の手順を踏んでいて、レビューが入ることで有名です。これを翻訳した本「医者が心をひらくとき」李 啓充訳. 医学書院 (06年)時々、心が萎えそうになるときこの本を手に取り、この序文を読むことがあります。自分の原点を思い出させてくれ、何度読 . . . 本文を読む
10年以上前になります。今の病院ではにないところに勤務していた時のこと。顔の痛みで依頼を受けたことがありました。あるがんの患者さんで、頬が痛いと言われました。詳しく伺うと、鼻の下までその痛みは続いていました。咀嚼をすると、痛みは強くなり、時に、同じ側の目に涙が出てきたり、汗をかくことがあるとおっしゃいました。痛みで涙がでるなら、普通は両目に出てきますが、この方は、痛みのある側に限局していました。あ . . . 本文を読む
H30年度診療報酬改定が昨日、3月5日厚生労働省のHPに告示されました。直接、緩和ケアのことではありませんが、オンライン診療や医学管理料などが新設され、いよいよIT診療時代に入っていきそうで、興味深いです。個別改定項目P.254 緩和ケア病棟p.254 緩和ケアチームP.409 チーム医療等の推進 勤務環境改善(いわゆる働き方改革に付帯した改定)P.433 緩和ケアチーム専従要件の緩和について医科 . . . 本文を読む
前回の記事に記載したような乱用防止目的で開発された薬剤でオキシコドン/ナロキソン錠が海外では発売されています。これが、どうやら便秘が少ないらしいとわかってきました。
それを明らかにする目的でメタ分析されたレビューが公開されています。
Opioid-Induced Constipation Relief From Fixed-Ratio Combination Prolonged- . . . 本文を読む
緩和ケアチームの対象に、末期心不全が入り、管理栄養士による加算が新設、チームの専従要件が緩和されるようです。平成偶数年は、診療報酬が改定されます。H30年の今年は、その年に当たっていて、その改定は、中央社会保険医療協議会で話し合われます。このところ、ほぼ毎週開催されているようです。厚生労働省のページで開催とその資料を閲覧することができます。中央社会保険医療協議会http://www.mhlw.go . . . 本文を読む
肉腫とがんでは、症状の出方が異なります。肉腫は、浸潤しないで腫大化していくことが多いため、痛みや呼吸困難感などの症状は相当大きくなってから出現する傾向にあります。また、肉腫は宿主がどんどん痩せていくという悪液質も少ない傾向にあります。前者は、病理学的な観点から、後者は、肉腫の免疫応答などから理解できます。ただ、臨床的には、経験の積み重ねがあって、やっと、予測したり、読み取れることができるようになっ . . . 本文を読む
ブログを書き始めて、4300日と1日。随分長く書いてきたものだなあと思います。時勢も変わり、患者さんのことや特定の薬のことを書くことは、以前よりまして、さらに、難しくなってきたように思います。それでも、緩和ケアを必要な方に届けることができ、社会の中で活用してもらえるように、可能な範囲で続けて行こうと思います。どうぞ、今年も、よろしくお願いいたします。最近、情報発信したものから呼吸困難について・・・ . . . 本文を読む
今年10月に、可決された第3期がん対策推進基本計画。「ライフステージに応じた〇〇」ががん診療のトレンドになってきました。小児、AYA世代(思春期と若年成人:この二つは分けてほしいという意見があります)高齢者といった、それぞれの特徴を加味した支援体制を持つことが医療者には求められています。高齢者の支援を考えるときに、加齢、老化・・はとても大切なポイントになります。
高齢者の体が思うように動かせない . . . 本文を読む
50代女性の消化器癌の患者さんでした。転移で肝機能障害を呈し、すでに、ビリルビンは上昇していました。アンモニアの数値を探すと120以上でした。(解剖学的に両者が平行して動くことがあります)アルブミン1.8、白血球18000程度、その内、リンパ球は3%、CRP20以上、血小板は2万台でした。診察前でしたが、これを見ただけで、急変の可能性が高いことが推測できました。ベッドサイドに行くと、予測したより、 . . . 本文を読む
この週末は、専門医試験を受けに大阪に。10年前、日本緩和医療学会の専門医制度の立ち上げに関わっていました。暫定指導医は10年で切れてしまいますので、その前に専門医または今年から始まった認定医を受ける必要があります。私自身は暫定指導医だけとって、精度の立ち上げを行っていましたので、専門医の先生方が2期に増えた時点で、委員会はその先生方にお任せをし、暫定指導医が切れるその1年の猶予を持った前年に専門医 . . . 本文を読む
チーム医療って、ジャンガみたいだな・・と良く思います。(写真は、ジャンガ)全体があって、その中に、一本、一本積み木が組み込まれていてそれぞれが、全体のバランスを取るための役割があって、もちろん、一本抜いたからと言って、すぐに崩れてしまうわけではないけれど、脆弱になり、風が吹けば、崩れ落ちてしまうようになってしまう・・
でも、上手くバランスを取ることができれば、こんなことも・・・引 . . . 本文を読む
頭頸部癌の患者さんでした。当時、90歳近い女性で、喉頭癌でしたが、頚部リンパ節転移があり、縦隔リンパ節転移も疑われていました。抗がん治療の担当医から、迷走神経反射を起こすことがあり、硫酸アトロピンの投与中であることが情報提供書に記載されていました。今から20年位前の話です。頭頸部や縦隔を走行する迷走神経が浸潤などで刺激を受けると、副交感神経優位となり、除脈や血圧低下を突然起こしたり、持続的に認める . . . 本文を読む
最近、こんな言葉を見つけ、メモをとっていました。
Destiny is a matter of choice運命とは、自分の選択の問題だ・・・運は、自分の力ではどうしようもないある意味、自分を越えた大きな力だと感じていました。一方で、無意識の嗜好やある時の選択が思いもよらないことを引き寄せることがあることも感じていました。運命だからしょうがないと思うのではなく、そこに、自分らしさが影響しているこ . . . 本文を読む
学生時代、10、20代のころは、高齢者の方と話をするのが苦手でした。どうすればよいかわからなかったのです。自分自身が年をとり、少しずつ年齢が近づいてきたこともあるのでしょうが、それ以上に、ユマニチュードの動画を見て、それを実践に取り入れてみて、目から鱗が落ちるように認知症の程度に関わらず、非言語的なコミュニケートも含め対話ができるようになりました。ユマニチュード / 認知症ケア 優しさを伝える技 . . . 本文を読む