米下院は21日、日曜日夜の本会議で、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げてきた医療保険改革法案を賛成219、反対212の賛成多数で可決した(大統領は、医療保険制度改革法の成立を期すため、21日から出発予定だったアジア歴訪を二度も延期していた)。オバマ大統領はこれを「This is what change looks like(変化というのはこういうもの)」と「勝利宣言」し、「victory for common sense(常識にとっての勝利)」だと呼んだ。アメリカは、弱肉強食の資本主義原理が最優先される特殊な社会である。社会の共生と連帯の原理が「常識」とは異なっている。医療という金持ちであろうが貧乏人であろうが誰もが必要とする基礎的・普遍的なサービスは、公的扶助によって支えられるべきだと思うのだが、患者と医師の間には政府ではなく民間医療保険会社というビジネスが存在する。保険業界の政治力は絶大であり、多くのアメリカ人の間では、自分や自分の家族が病気になったらどうすべきかは、政府・社会が決めることではないという意識がなお強い。基礎的な公的扶助をひとたび私的資本にゆだねてしまったら、それを取り戻すことは並大抵ではない。 . . . 本文を読む
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