パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ライオンは寝ている

2006-05-22 18:48:01 | Weblog
 ディスカウントスーパー、「ワンダフル」の店の前で、商品の梱包を解いている男性店員に、一人のお婆ちゃんがつかつかと歩み寄り、「今日は暑いの? 寒いの? どっち?」と聞いていた。店員が「さー」と答えると、お婆ちゃんは額にしわを寄せて、「どっちなのよ!」と詰問していた。今日は暑いと思うよ。Tシャツ一枚で充分だし。でも、毎年恒例の半ズボンまではいかない。
 半ズボンと言えば中島らもだが(……そんなイメージが)、その中島らものエッセイ、『固いおとうふ』を古本屋で立ち読み。その中に、ライオンのエッセイがあった。
 中島らもは、野生のライオンを写したテレビの番組が大好きだそうだ。なんでかというと、牡のライオンが何もしないところがいいと。牝ライオンを引き連れて、自分は何もしない。敵が来たら追い払ってくれるのかというと、それもしない。敵を追い払うのも牝の仕事だ。餌をとるのも牝ライオン。じゃあ、牡ライオンは何をするのかと言うと、牝ライオンを手に入れるために、他の牡ライオンと戦う。それだけだ。それが終わると、勝ったライオンは、もちろん、種付けをするわけだが、それが済めば本当に何もすることがなくなる。じゃあ、負けた牡ライオンはどうなるかというと、こっちも、当然、何もすることがない。本当のところは、餌をとってくれる牝ライオンがいないから、自分でとることになるのだろうが、そこのところは中島らもは書いていなかった。まあ、テーマと外れるからということだろう。
 要するに結論は、フセインにテレビのライオン番組のビデオを見せてやれ、ということなのだが。(だから、古本屋で立ち読みしたんだってば)

 ところで、今回一応書き上げた「映画の研究」は、この、何もしない牡ライオンが「何かやれ」と言われてやった「何か」みたいだ。……なんて、けっこう高尚なことやったみたいだったりして。

 あ、タイトル「ライオンは寝ている」はトーケンズの往年のヒット曲ね。元々はズールー族だか何族だかの歌だ。