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尿路感染症 漢方治療 温陽法弁治 尿道総合証 3(腎病漢方治療367報)

2014-05-26 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

本日も無菌性膀胱炎の医案を紹介します。

患者:劉某52歳 女性 初診年月日:2005年6月23日

主訴:頻尿 尿灼熱十余日

病歴:反復性尿路感染十余年、十余日前から誘因無く頻尿 尿灼熱出現。尿検査正常。抗生物質点滴静注十日、症状好転無く、入院治療となった。

初診時所見:頻尿 尿灼熱 腰酸痛、倦怠乏力、下腹部冷感、舌淡、苔薄白、脈沈細

中医診断:労淋(久病腎虚 湿熱内蘊)

西医診断:尿道総合症

方薬

黄耆30g 党参20g 熟地黄20g 山茱萸20g 山薬20g 牡丹皮15g 茯苓20g 澤瀉20g 懐牛膝20g車前子15g 土茯苓50g 薏苡仁25g 益母草30g 白茅根30g 石葦20 萹蓄20g 甘草15g 十剤、水煎服用、11剤、2回に分服。

経過:服薬10剤で腰痛、倦怠乏力軽減、但し頻尿、尿灼熱、下腹部冷感あり、舌淡、苔薄白、脈沈細、以前よりは有力である。張教授が診察、中医の寒淋に属すると判断、腎陽不足、温化固渋に欠くと弁証。益気升陽、温腎固渋で治療する。

方薬

桑螵蛸15g 益智仁15g 竜骨20g 亀板15 黄耆30g 太子参15g 白芍20g 桂枝25g 牡蠣20g 天花粉15g 知母15g 附子10g 甘草15g 七剤、水煎服用、11剤、2回に分服。

経過:服薬7剤で、腰酸痛、倦怠乏力、頻尿改善、僅かに尿熱がある、下腹部は転暖し、苔薄白、脈緩。尿検査異常なし。更に7剤継続服用、患者症状消失退院となる。

ドクター康仁の印象

陽虚の「程度の差」で、強い印象ならば、桂枝、附子を使用し(参耆で益気補中し)、陽虚の「程度が軽い」印象ならば、巴戟天 淫羊藿 仙茅を用い、陰中求陽、陰陽調和を図るのが張琪氏のやり方ですね。清熱利湿痛淋の剤は陽気を傷つけるので、一切使用していませんね。尿道の収縮感を伴えば芍薬甘草湯の配伍になるわけです。亀板は陰中求陽の陰に相当します。桑螵蛸、益智仁はそれぞれ、咸、補腎助陽、固精粛尿、辛温、温腎助陽、固精縮尿に作用し、まず、桑螵蛸 益智仁 竜骨を配伍してから、陽虚の度合いをみるのが、氏の定法でしょうか。

それにしても、知母の意味(役割)はなんでしょうかね。尿の灼熱感の改善がいまいちでしたので、知母を加え、清下焦熱の意味を持たせたののでしょうね。天花粉の配伍にせよ張琪氏の心中ではある程度の道筋が出来ているのでしょうね。

2014526日(月)


尿路感染症 漢方治療 温陽法弁治 尿道総合証 2(腎病漢方治療366報)

2014-05-25 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

前報で無菌性膀胱炎の症例を紹介しました。さて、今回はどのような医案になるのでしょうか?医案に進みましょう。<o:p></o:p>

 

患者:魏某 59歳 女性 初診年月日:2005年6月25日<o:p></o:p>

 

主訴:頻尿 腰痛、下腹部不快2日間<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は、2005年4月 発熱 寒戦 腰痛 肉眼的血尿にて黒龍江省の病院で検査を受け、尿中WBC増加(具体数不詳)、中間尿培養陽性にて、多種の抗生物質治療を受け、症状は消失した。2日前から、特別な誘因無く、頻尿、腰痛、下腹部不快感が出現した。外来尿検査;RBC3~5個/HP、WBC2~3個/HP、入院治療となった。<o:p></o:p>

 

初診時所見:頻尿、腰痛、下腹部不快、時に悪心、舌淡紅、苔薄白、脈細滑。中間尿培養細菌数<1x10の7乗/L、双腎膀胱は超音波検査で異常なく、生化学検査異常なし。<o:p></o:p>

 

中医診断:労淋(気陰両虚、湿熱内蘊)<o:p></o:p>

 

西医診断:尿道総合症<o:p></o:p>

 

治法:益気養陰、清熱利湿<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

黄耆30g 太子参20g 黄芩15g 地骨皮20g 柴胡20g 麦門冬20g 車前子15g 瞿麦20g 萹蓄20g 白花蛇舌草30g 蒲公英30g 白芍20g 烏薬(温腎散寒 行気止痛)15g 益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)15g 牡丹皮15g 山梔子15g 甘草15g 七剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

経過 服薬7剤で患者の症状は明らかには好転が見えず、尿検査:RBC0~1個/HPWBC0~1個/HP<o:p></o:p>

 

(印象:黄耆から車前子までは清心蓮子飲から石蓮子を除いた形になっています。烏薬、益智仁の配伍があるにせよ、涼寒薬がメインの印象です。尿所見からみると最初はこんな方薬になるのではないかと思います。)<o:p></o:p>

 

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二診:2005年7月4日。<o:p></o:p>

 

張琪氏診察、患者 腰酸痛、頻尿、下腹部張満、畏寒喜暖、舌淡紅、苔薄白、脈沈細、「寒淋」に属すると氏は弁証。<o:p></o:p>

 

腎陽不足、温化固摂失司、寒湿蘊久、兼気滞、治法は温補腎陽、行気固摂と判断した。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

山薬益気健脾養陰)20g 桑螵蛸補腎助陽、固精縮尿)15g 竜骨収斂固渋止血)20g 亀板滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)15g 熟地黄(補肝腎養血滋陰、補精益髄)20g 烏薬15g 沈香(伽羅と同意:行気止痛、降逆調中、温腎納気に作用)10g 山茱萸(補腎陰 収斂固渋)15g 巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)15g 枸杞子(養陰)15g 女貞子(養陰)15g 甘草15g 七剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

経過:服薬7剤で、尿の回数減少、時に腰酸痛、下腹部張満畏寒消失、舌淡紅、苔薄白、脈象は以前よりも有力、尿再検査異常なし。快癒退院となった。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

初診時の中医診断は張琪氏の弟子の診断で、清心蓮子飲加減でしたが、投薬1週間で、自覚症状の改善が無く(尿所見は随分改善しましたが)、御大のお出ましになり、見事に弁証が的中し自覚症状の改善が得られ快癒退院となった訳です。こう言っては何ですが、烏薬や益智仁の配伍もあったのですから、恐らくは、初診の弟子も、1週間以降は、苦寒の黄芩、山梔子を除いて巴戟天、或いは附子、沈香(高価ですしね)とは行かないまでも、橘核(行気散寒止痛)を加味するとかの工夫もしたと思います。1週間で結果を出せといわれるのも辛いところですね。張琪氏にしても、桂枝、附子等の配伍をしなかったわけですから、寒淋にしてもそれほど強い寒証ではなかったのでしょう。陰陽相済、陰中求陽など理屈はいくらでも後付けできますね。最初の方薬は無駄ではなかったとの印象を持ちました。<o:p></o:p>

 

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2014525日(日)<o:p></o:p>

 


尿路感染症 漢方治療 温陽法弁治 尿道総合症 1(腎病漢方治療365報)

2014-05-24 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

簡便に申し上げれば、尿道総合症(中国語では征を用いて尿道総合征と表記します)は、現代医学での無菌性膀胱炎、あるいは膀胱鏡検査と病理組織的検査を行い診断する間質性膀胱炎を含む、下腹部痛を主症状とする尿意切迫症候群を指す疾患群と理解できます。中医学的には原因(体質)別に各種の病因論がありますが、最も一般的な病因は「気陽虚」です。本日から5案にわたり、医案(症例報告)をご紹介します。<o:p></o:p>

 

患者:張某 42歳 女性<o:p></o:p>

 

初診年月日2005年6月13日<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は20年前新婚時代に泌尿器感染症を起こし、尿血が出現したが、治療により快癒。十年前に特別な誘因無く頻尿が出現、頻回の発作があった。尿検査で異常なし。尿細菌培養検査も全て陰性、西洋医を受診し排尿調節剤(薬剤名不詳)を服用後、症状加重、下腹部疼痛、排尿痛、尿道に収縮感を伴い、腰酸痛も合併、眼瞼浮腫、排尿無力、尿が出にくく、時に点滴状になる。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

舌質淡紅、舌苔薄白、脈象虚数。(北京市での治療は無効で、北京協和病院では膀胱鏡の検査を提案したが、患者は同意せず、ハルピン受診、中薬は全て清熱利尿痛淋の剤であった。)自覚症状は同上。<o:p></o:p>

 

中医弁証<o:p></o:p>

 

弁証は陽気不足“膀胱は州都の官、気化則出埃”。寒淋に属し、故に温陽化気、活血通淋の剤となる。<o:p></o:p>

 

西医診断尿道総合症<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝(通陽)15g 茴香理気和胃 散寒止痛)(桂枝 茴香は協調して温補腎陽、行気利水に作用)15g 川椒(辛 温中燥湿)15g 附子(補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)10g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)20g 猪苓(利水滲湿)20g 茯苓(健脾利水)20g 白朮(健脾燥湿)15g 土茯苓(清熱解毒)30g 白芍養営斂陰)30g 甘草20g 烏薬(温腎散寒 行気止痛)15g 桃仁(活血化瘀 潤腸通便)15g 丹参(活血化瘀)15g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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二診:2005年6月20日<o:p></o:p>

 

服薬7剤で、排尿困難、尿線の細さは好転、腰痛、下腹部下垂感減軽、下腹部の冷えも減軽。再診時体温37,2℃程度の発熱あり、腹部と右側のわき腹の張痛、会陰部の張痛時に大便がしたくなり、まだ頻尿が残存、舌質淡紅、苔白、脈象は緩に転じた。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝15g 茴香15g川椒15g 附子10g 橘核15 石葦(利水通淋、止咳 涼血止血)20g 茯苓30g 白朮15g 土茯苓30g 黄耆(益気)30g 甘草15g 川楝子(せんれんし 苦/寒 行気止痛)15g 桃仁15g 丹参20g 萹蓄(利水通淋)20g 瞿麦(活血利水通淋)20g 車前子(包煎)(清熱利水)30g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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三診:2005年7月13日。<o:p></o:p>

 

本人の受診は無かったが、本人の電話での病情説明では、服薬22剤で、排尿通暢、腰痛及び下腹部下垂感、尿道の収縮感が消失、発熱無し、腹部と右わき腹の張痛消失、会陰部張痛消失、全身有力、下腹部にまだ畏寒あり。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝15g 茴香15g川椒15g 附子10g 橘核15 石葦20g 茯苓30g 白朮15g 土茯苓30g 黄耆30g 甘草15g 川楝子15g 桃仁15g 丹参20g 萹蓄20g 瞿麦20g 車前子(包煎)30g 烏薬15g 王不留行(苦/平 おうふるぎょう 活血化瘀 通経 下乳)20g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

初診時の処方は、<o:p></o:p>

 

五苓散(通陽利水)に茴香 川椒 附子を加えて温陽利水、桃仁 丹参 烏薬で活血行気、芍薬と甘草の芍薬甘草湯で尿道の緊張や収縮を除くという配合です。<o:p></o:p>

 

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服薬7剤で、排尿困難、尿線の細さは好転、腰痛、下腹部下垂感減軽、下腹部の冷えも減軽したのは温薬の配伍と芍薬甘草湯の効果です。芍薬甘草湯単独ではここまでの早期改善は無いでしょう。やはり通陽 桂枝茴香、温腎助陽 附子 温腎行気止痛の烏薬等の温薬の配伍があってこその治療効果です。見事ですね。<o:p></o:p>

 

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「腹部と右側のわき腹の張痛、会陰部の張痛、頻尿が残存」に対して、温薬の理気薬の橘核、寒薬の理気薬の川楝子で寒熱のバランスを取り、行気止痛をはかり、頻尿に対する対症療法として車前子、瞿麦、萹蓄等の利水通淋剤を加味した流れです。寒薬を増やさない目的で、清熱解毒薬でもの性質を持つ土茯苓が用いられていますね。いわゆる排尿無力に対しては微温黄耆が用いられています。<o:p></o:p>

 

王不留行薬の活血剤にも工夫が感じられます。<o:p></o:p>

 

どうしても、涼寒の利尿通淋剤と苦寒の清熱解毒薬の使用が習慣になってしまっている漢方医にとってはコペルニクス的展開に思えたでしょうね。<o:p></o:p>

 

無菌性膀胱炎間質性膀胱炎治療ヒントのひとつになる医案であると思います。<o:p></o:p>

 

弁証の温腎助陽、理気活血と弁病の芍薬甘草湯の収縮を緩和する併用による見事な症例でした。<o:p></o:p>

 

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2014524日(土)<o:p></o:p>

 


尿路感染症 前立腺肥大症 残尿 漢方治療 滋腎通関丸と八味地黄湯加減治療 (腎病漢方治療364報)

2014-05-23 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

本案のような症例は以前、私が30代の頃までは日本にも多く見られましたが、現在では少ないようです。前立腺肥大症そのもののコントロールは西洋薬で充分可能です。現在では前立腺癌の早期発見、治療に主題が移行しつつあります。約20年前の中国では本案のようなご老人が多くいたことでしょう。<o:p></o:p>

 

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知母15g 黄柏15g 肉桂10g滋腎通関丸と言いますが、知母は清熱潤燥、黄柏は斂陰清熱、肉桂は温裏散寒、補火助陽、引火帰源に作用します。知母と黄柏のカップリングは退虚熱で陰虚火旺時に用いられます、大熱の肉桂には養陰清熱作用などさらさらありません。つまり3者は陰陽倶虚に用いるのです。<o:p></o:p>

 

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患者:程某 73歳 男性<o:p></o:p>

 

初診年月日:1993年4月27日<o:p></o:p>

 

主訴:頻尿、一回尿量減少約十年、尿は点滴状に出る、下腹部張痛二ヶ月<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は十年前から頻尿、一回尿量減少が出現、現地の病院で超音波検査により前立腺肥大症と診断されたが未治療。ここ2ヶ月、小便は点滴状で、下腹部の張痛、腰酸痛が出現。超音波検査にて前立腺肥大、大小5.94.33.6cmの前立腺肥大を認め、膀胱内に突出を認め、エコー像は不均一、点状のストロングエコー有り、膀胱内に200mlの残尿有り。尿検査:WBC3040/HP。終日導尿、患者は痛苦に耐え難い。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

脈弦かつやや数、舌質紅、苔少ない。(嘗て、多種の抗生物質の点滴静注を受けたが著効無し。八正散の類を百余剤服用したが、効果はまた不十分であった。)<o:p></o:p>

 

中医弁証:腎陽衰微(湿濁内蘊挟血瘀)<o:p></o:p>

 

西医診断:前立腺肥大症 合併 尿路感染症 残尿<o:p></o:p>

 

治法:調補腎中陰陽、清熱利湿、活血化瘀<o:p></o:p>

 

方薬滋腎通関丸 合 八味腎気丸加減:<o:p></o:p>

 

熟地黄25g 山茱萸15g 山薬15g 茯苓15g牡丹皮15g 澤瀉15g黄柏15g 知母15g 肉桂10g 附子10g 瞿麦20g 萹蓄20g 大黄7g 桃仁15g<o:p></o:p>

 

14剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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経過<o:p></o:p>

 

上方服用14剤で、導尿は必要なくなり、自力で小便の排出が可能になった。ただし、通暢感を感じるところまでは改善せず、腰酸痛があるが、下腹部の張痛は大減した。<o:p></o:p>

 

尿検査:WBC810/HP。継続服用するように患者に言う。<o:p></o:p>

 

再度服用14剤で、排尿は基本的に通暢となり、諸症は消失した。尿検査にても正常。患者の家族は再発を恐れ、自らさらに30余剤を服用したところ、夜間に遺尿が出現、治療を求め急患となった。<o:p></o:p>

 

以上の方から、瞿麦 萹蓄 車前子通利の品を去り益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)、補骨脂(辛苦大温 補腎壮陽 温脾止瀉 固精縮尿)、巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)何首烏補肝腎養血)烏薬(温腎散寒、行気止痛)等の温補腎陽固摂の品を加味し、治療して快癒した。患者の排尿は正常、かつ体力も著明に増加、半年後再診、再発無し。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

覚えておくと将来役に立ちますね。六味地黄丸+知母 黄柏は知柏地黄丸です。本来の腎気丸は六味地黄丸+附子+桂枝となりますが、桂枝を肉桂に変え、上下を重ね合わせると、六味地黄丸+滋腎通関丸+附子となります。知母 黄柏 附子 肉桂 大黄 桃仁(2剤で活血化瘀泄濁)+六味地黄丸加減ということになります。<o:p></o:p>

 

急場は治標で瞿麦 萹蓄 車前子も用い、治本は陰陽双補となるのです。<o:p></o:p>

 

腎陽衰微だけはありえません。ご老人は陰陽両虚となるのが老化の自然現象です。<o:p></o:p>

 

大黄と桃仁の組み合わせは活血化瘀泄濁の定番ですね。<o:p></o:p>

 

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2014523日(金)<o:p></o:p>

 


尿路感染症 頻尿 微熱 漢方治療 升陽益胃湯加味治療 (腎病漢方治療363報)

2014-05-22 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

患者?某 20歳 女性<o:p></o:p>

 

初診年月日:2003年5月2日<o:p></o:p>

 

主訴:陳旧性頻尿、微熱十年<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

1993年疲労累積(患者13歳時)にて頻尿が出現、微熱(37.2~37.6℃)、ハルピン医科大学付属第二病院受診、多種の抗生物質治療を受け、無効であり、故に再診しなかった。2002年9月頃、黒龍江省中医病院受診、尿中に白血球(WBC)、赤血球(RBC)陽性(具体数不詳)、三金片服用後、発熱腰痛緩解、その後、また再発、起床時36.8℃、夜間37.1~37.2℃、尿培養でブドウ球菌(+)、感受性薬物は使用されなかった。(感受性試験を経た抗生物質という意味でしょうか?)<o:p></o:p>

 

補記三金片は中成薬で、根、金(菝葜)、羊口、金沙藤、草を主成分として、抗菌消炎に作用し、下焦湿熱、熱淋に主に使用されます。)<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

身熱を自覚、手心多汗、胸悶、倦怠、乏力、尿黄、痩せ、頻尿、舌質淡紅、苔白厚満布、舌体大、脈弱。<o:p></o:p>

 

中医弁証:中気不足、挟有湿熱<o:p></o:p>

 

弁証付記:初診時の所見から漢方医の脳裏に走る病機を述べてみましょう。<o:p></o:p>

 

身熱を自覚(→熱証)、手心多汗(→気虚或いは湿熱の為?)、胸悶(→胸陽不振或いは湿熱内蘊による気機失調)、倦怠(→気虚)、乏力(→気虚)、尿黄(→膀胱湿熱?)、痩せ(後天の気血生化の源の脾の機能低下 脾虚→昇清降濁の失調→昇清、升陽が必要)、頻尿(膀胱湿熱、膀胱気化失司)、舌質淡紅、苔白厚満布、舌体大(→内湿停滞?)、脈弱(→気血両虚?)。<o:p></o:p>

 

以上のような病機連想から、脾虚(中気不足)、湿+熱→挟有湿熱となるのです。<o:p></o:p>

 

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西医診断:尿路感染<o:p></o:p>

 

治法:益気升陽除湿、収渋を補佐とする。<o:p></o:p>

 

方薬升陽益胃湯加味:<o:p></o:p>

 

西洋参(益気生津)15g 黄耆(益気健脾)30g 白朮(健脾燥湿)15g 黄連(清熱解毒利湿)10g 半夏(辛散温 化痰燥湿散結止嘔)15g 陳皮行気和中化湿)15g 茯苓(健脾利水)15g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)15g 防風祛風解表、勝湿、止痛、解痙)15g 独活祛風勝湿、止痛、解表)15g 柴胡(疏肝理気 清熱 升陽)15g 白芍養営斂陰)15g 生姜15g 大棗5個(生姜 大棗で健脾和胃) 土茯苓(清熱解毒)20g 萆薢(利水滲湿 化湿濁 祛(風)湿)20g 桑螵蛸補腎助陽、固精縮尿)15g 益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)15g