gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

尿路感染症 前立腺肥大症 残尿 漢方治療 滋腎通関丸と八味地黄湯加減治療 (腎病漢方治療364報)

2014-05-23 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

本案のような症例は以前、私が30代の頃までは日本にも多く見られましたが、現在では少ないようです。前立腺肥大症そのもののコントロールは西洋薬で充分可能です。現在では前立腺癌の早期発見、治療に主題が移行しつつあります。約20年前の中国では本案のようなご老人が多くいたことでしょう。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

知母15g 黄柏15g 肉桂10g滋腎通関丸と言いますが、知母は清熱潤燥、黄柏は斂陰清熱、肉桂は温裏散寒、補火助陽、引火帰源に作用します。知母と黄柏のカップリングは退虚熱で陰虚火旺時に用いられます、大熱の肉桂には養陰清熱作用などさらさらありません。つまり3者は陰陽倶虚に用いるのです。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

患者:程某 73歳 男性<o:p></o:p>

 

初診年月日:1993年4月27日<o:p></o:p>

 

主訴:頻尿、一回尿量減少約十年、尿は点滴状に出る、下腹部張痛二ヶ月<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は十年前から頻尿、一回尿量減少が出現、現地の病院で超音波検査により前立腺肥大症と診断されたが未治療。ここ2ヶ月、小便は点滴状で、下腹部の張痛、腰酸痛が出現。超音波検査にて前立腺肥大、大小5.94.33.6cmの前立腺肥大を認め、膀胱内に突出を認め、エコー像は不均一、点状のストロングエコー有り、膀胱内に200mlの残尿有り。尿検査:WBC3040/HP。終日導尿、患者は痛苦に耐え難い。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

脈弦かつやや数、舌質紅、苔少ない。(嘗て、多種の抗生物質の点滴静注を受けたが著効無し。八正散の類を百余剤服用したが、効果はまた不十分であった。)<o:p></o:p>

 

中医弁証:腎陽衰微(湿濁内蘊挟血瘀)<o:p></o:p>

 

西医診断:前立腺肥大症 合併 尿路感染症 残尿<o:p></o:p>

 

治法:調補腎中陰陽、清熱利湿、活血化瘀<o:p></o:p>

 

方薬滋腎通関丸 合 八味腎気丸加減:<o:p></o:p>

 

熟地黄25g 山茱萸15g 山薬15g 茯苓15g牡丹皮15g 澤瀉15g黄柏15g 知母15g 肉桂10g 附子10g 瞿麦20g 萹蓄20g 大黄7g 桃仁15g<o:p></o:p>

 

14剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

経過<o:p></o:p>

 

上方服用14剤で、導尿は必要なくなり、自力で小便の排出が可能になった。ただし、通暢感を感じるところまでは改善せず、腰酸痛があるが、下腹部の張痛は大減した。<o:p></o:p>

 

尿検査:WBC810/HP。継続服用するように患者に言う。<o:p></o:p>

 

再度服用14剤で、排尿は基本的に通暢となり、諸症は消失した。尿検査にても正常。患者の家族は再発を恐れ、自らさらに30余剤を服用したところ、夜間に遺尿が出現、治療を求め急患となった。<o:p></o:p>

 

以上の方から、瞿麦 萹蓄 車前子通利の品を去り益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)、補骨脂(辛苦大温 補腎壮陽 温脾止瀉 固精縮尿)、巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)何首烏補肝腎養血)烏薬(温腎散寒、行気止痛)等の温補腎陽固摂の品を加味し、治療して快癒した。患者の排尿は正常、かつ体力も著明に増加、半年後再診、再発無し。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

覚えておくと将来役に立ちますね。六味地黄丸+知母 黄柏は知柏地黄丸です。本来の腎気丸は六味地黄丸+附子+桂枝となりますが、桂枝を肉桂に変え、上下を重ね合わせると、六味地黄丸+滋腎通関丸+附子となります。知母 黄柏 附子 肉桂 大黄 桃仁(2剤で活血化瘀泄濁)+六味地黄丸加減ということになります。<o:p></o:p>

 

急場は治標で瞿麦 萹蓄 車前子も用い、治本は陰陽双補となるのです。<o:p></o:p>

 

腎陽衰微だけはありえません。ご老人は陰陽両虚となるのが老化の自然現象です。<o:p></o:p>

 

大黄と桃仁の組み合わせは活血化瘀泄濁の定番ですね。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

2014523日(金)<o:p></o:p>

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿