屋久島空港に着いたDH4機
雨の福岡空港を飛び立った80人乗りのプロペラ機は揺れに揺れた。いつものことながら、神様に祈る。無神論者の私ではあるが、いつも飛行機に乗ると神様にすがりつく。このときもそうだった。機体がねじれるのが分かる。嫌なきしみ音が響くたびに私の繊細な神経は凍りつく。船のように竜骨とでも言うのだろうか、胴体が疲労骨折しないことを願うだけなのだ。
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4年ぶりの屋久島だ。4年前に競争入札で残念ながら敗退した我が社に、相談があるから来て欲しいとの連絡が入ったのが数日前。どうも他社製品にトラブルが発生した模様だ。レスキューを自認している我が社にとっては、腕の見せ所になるかもしれない。とは言っても、正直飛行機は恐い。鉄の箱が空を飛ぶと言うのは理屈では分かっているが、世の中の真理を度外視したようで、無理をしているといつも感じる。
<o:p> 屋久島の南東側、尾之間地区から見た屋久島山間部とパパイヤ。</o:p>
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鹿児島で乗り継いで、屋久島へ。ところが屋久島に着く頃はすっかり天気も持ち直し、快適な空で神様へのお願いもすっかり忘れていた。私の性格だが、気楽なものだ。機内では世界遺産、宮之浦登山や屋久杉を目指すシニア世代があきもせずにおしゃべりしており、屋久島便の特異性が如実に表れていた。
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さて、仕事の方は順調に消化して、最終便で帰るべく屋久島空港に着いたのが定刻18時の30分前。密度の濃い仕事だったね、と同行のA課長と話しあっていたのだが、着いてびっくり。空港にはお客が誰もいない! JACの業務員が居るだけだった。最終便は欠航になっていたのだ。こんな事は始めてだ。飛行機が飛ばないのなら、船だ!と、鹿児島行きの快速艇トッピーの運行を調べると、これも波が荒くて欠航とのことで、お手上げ!。 いやおうもなく島に取り残された事になった。
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屋久島の業者に素泊まりの民宿を紹介してもらって、その晩は急遽懇親会となった。屋久島は海の幸に恵まれたところであり、色んな魚のお刺身がわんさか出た。写真に取れなかったのが実に残念だ。もう「お腹がはちきれんばかりになっていたところに、最後に鯛茶漬けのようにそれらの刺身が満載のお茶漬け! それも鉢が特大サイズ! 欲深な私でもとうとう全部を食べきれずに残してしまった。それにしても、幸せな夜でした。
朝焼けの海と、錦江湾からみた桜島
翌日の始発便は満席、2便しか空いてないと云う。ところが2便は14時だ。これでは時間のロスなので船に切り替えることにした。朝7時発のトッピー。 種子島を経由して鹿児島に向かう高速の水上翼船だ。この水上翼船は始めて乗る。80キロの速度と言うから速い。貴重な体験だと内心は嬉しかった。
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まだ暗い6時過ぎに港へ向かった。船が出る頃に朝日が昇った。だが風は強く、波も高い。波浪注意報が出ているかもしれないな、と思いながら乗船した。そして定刻に出航。昨日は欠航だったのだから今日は波も治まっているのだろうと勝手に解釈していたのだが、奔り出してびっくり。飛行機と同じようにきしむのだった。それに時々波が当たってガツンと響く! これも遭難するかも知れないと、おちおち寝てはいられない心境なのでした。それに船内は飛行機と同じようにシートベルトが義務付けられていた。高速の乗り物は危険と隣り合わせ、を実感したのでした。
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無事に鹿児島に着いて、それから九州新幹線を乗り継いで家に帰りついた。宿題をたくさんもらった出張ではあったが、思わぬ御馳走にもありつけた旅でした。まだお腹が張っているような気がします。
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