Danelectro VS Fender(6)

2009-07-07 01:07:26 | Dano Column
ギター編最終回かな。今回は両社売却後のこと。

フェンダーは1965年にCBSに売却されたんだけど、やっぱり大企業が介入してダメになった典型なんだろうね。だんだん業績が伸び悩んで、70年代後半からは危機的な状況に陥ってしまい、CBSがフェンダーを手放したのが1985年のこと。そこから原点回帰を打ち出して再建を図り、かつての栄光を取り戻したといったところ。

フェンダーが迷走し始めた状況を如実に示したモデルが1969年のスウィンガー(ミュージックランダー)とマーヴェリック(カスタム)じゃないかと思う。




どちらもBass VとElectric XIIという、売れなかったモデルの余った部材を使いまわしてつくったもので、今となってはこれはこれで面白いと思うが、やっつけ仕事でつくった感は否めないし、まるでフェンダーがビザール化してしまったかのようだ。
この頃はジャガーやジャズマスターも時代遅れのギターとされていたようだし、これでジミ・ヘンドリックスが登場せず、ストラトキャスターを製造中止にしていたら、フェンダーはどうなっていたことだろうね。

対してダンエレクトロはというと、1966年にMCAに売却されたあと、ダンエレクトロブランドのほか、新たにコーラルというブランドを立ち上げた。



コーラル・ブランドではヴィンセント・ベルと共同でエレクトリック・シタールを開発するなど、唯一無二の独創性を発揮したりはしたんだけど、やはり方向性は変わってきていて、シンプルで独特なデザインのローコスト、低価格ギターではなく、例えばホーネットに代表されるような高級感のあるギターをつくるようになった。



ボディシェイプはフェンダーのジャガーに似た感じになり、ピックガードも装飾性の高いものになり、メゾナイトも使わなくなった。その他のモデルはカワイから供給されたボディを使用し、ヴァイオリン型やティアドロップ型など、どこかで見たようなデザインになっていった。日本製のボディを使った低価格ラインとフェンダーに似せた高級ラインというふうになっていった背後に、MCAの圧力というか、ビートルズやストーンズが流行ってるんだからやつらが使っている楽器に似たのをつくれとか、フェンダーに似せれば高く売れるんじゃないかとか、そういう類の貧しい発想が垣間見えもする。そんなこんなでダンエレクトロは1969年にその歴史の幕をいったん降ろすことになった。

こうして眺めてみると、エレクトリック・ギターが生まれたばかりの50年代には、いろんな可能性を模索する中で創意工夫に満ちたモデルが次々と生み出されてワクワクする感じだったのに、それが60年代中頃くらいから落ち着いてきてしまって、だんだん面白くなくなってしまうのが寂しいものですねえ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする