勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

光と影

2006-05-27 00:53:58 | Weblog
 
 上野不忍池で昨日から始まった「さつきフェスティバル」に行った。
鉢植えの見事なさつきが展示され、その美しさを競っている。

 盆栽としてのさつきの素晴らしさを堪能して帰る途中の公園で、男性に声をかけられた。

「この間の雨は凄かったねぇ」
「そうですね、雷もなりましたね」
「今日は大丈夫かな」
「何とか持ちそうですよ」

たわいのない会話でその場を立ち去ろうとすると、彼は言った。

「栃木から来たんだが、友達を探しているんだよ」
「どこにいるんですか?」
「この公園の中」
「えっ、どういう事?」
「ここで生活してる」
「ということは、ホームレス?」

 彼の友人は2週間前に家を出て、ここで生活をはじめたという。奥さんと一緒にいるのが嫌で出てきたそうだ。

 「連れ戻そうと思ってきたんだが、連絡が取れないんだよ」
携帯を持っているが通じないという。


 「これから探さなくちゃ」そう言って、持ってきたおにぎりを食べ始めた。(僕の大事な息子のおにぎりではない)
友達の分も持ってきているが食べるかと聞く。
遠慮したが、彼のいそうな場所を教えて(何故、僕が教えるのだろう?)その場を立ち去ると、公園内の噴水の傍にはなぜか多くのホームレスがいる。


 不思議に思いながら見ると、傍で一台のトラックから荷物を降ろしている。聞くと、キリスト教の団体が炊き出しをするのだという。


 週3回、ここで福音を説き、彼らに食事と飲み物を振る舞うのだそうだ。常時500人くらい、多い時には700人が集まるという。
もう一度彼のところに戻ってその事を告げ、友人が見つかる事を願いながら、家路についた。

 僕の知り合いに、ホームレスの終末ケアーの施設を運営している人がいる。過去に2度ほどその施設を訪れ、微力ながら届け物をしたことがある。
彼のような高い志は持つべくもないが、それまでホームレスに何の関心もなかった僕に、一つのきっかけを作ってくれた人でもある。彼の事はいつか取り上げようと思っている。


 ホームレスと一言では片付けられない、彼らには彼らの事情もあるようだ。


ここには人生の光と影が渦巻いている。

注・このテントは僕の住まいではありません、ここは上野公園ですので、念のため。
2006.05.27